背骨がねじれながら左右に曲がってしまう病気「脊柱側彎(そくわん)症」。患者の約8割が原因不明の特発性で、10歳以上の女子に多いとされる。曲がりが大きくなれば、矯正具を着けたり、手術を受けたりと治療が大掛かりになるため、進行する前に見つけることが大切。学校の健康診断で発見されることが多いが、専門医は「家庭でも定期的にセルフチェックを」と呼び掛ける。

曲がり具合が40度を超えたら矯正手術

 愛知県内の女児(12)は昨年9月、学校の健診で背骨の曲がりを指摘され、整形外科の専門医に診てもらうよう促された。ただ、わずかな曲がりで、コロナ禍で病院に行きづらいこともあり、受診を見合わせていた。今も痛みは出ていないが、母親(45)は「成長期で一気に体が大きくなっているし、進んでいないか心配」と思い始め、近く娘を病院に連れて行くことにしたという。

 脊柱側彎症は、体を正面から見た際に背骨がねじれを伴いながら左右に曲がる病気。日本人の発症率は2〜3%で、特に思春期の女子の発症が多い。背骨が大きく曲がると、姿勢や容姿に悪影響が出て、精神的なストレスにつながることも少なくない。あばら骨や胸郭などにも変形が生じれば、肺が圧迫されて、呼吸機能の低下を招く可能性もある。

 一宮西病院(愛知県一宮市)脊椎・側彎センター長の整形外科医、川上紀明さん(65)によると、側彎症と診断されるのは、エックス線検査の画像で、背骨の曲がり具合を表す「コブ角」が10度以上の場合。一般的に20〜25度は経過観察し、25〜40度ならコルセットなどの装具治療を始める。40度を超えるまで進行していたら、背骨に金属製のねじや棒などを取り付ける矯正手術が必要になることが多い。川上さんは「できる限り早く気付き、進行を抑えることが大切」と訴える。

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川上紀明医師


健診だけでは見逃しも 前屈テストを

 全国の学校では学校保健安全法の施行規則に基づき、年1回の健診で側彎症のチェックが必須となっている。ただ、専用の検査機器を導入する自治体や学校はまだ少なく、学校医が目視で確認していることが多い。学校医には専門性や診療経験に差があり、発症の予兆が見逃されるケースも少なくない。

 側彎症は、曲がりが小さい初期段階では痛みがほとんどないため、本人も気付きにくい。一方で、体が出来上がっていない成長期や初潮前に発症すると、進行しやすいとされる。成長のスピードは人それぞれで、健診と健診の間に症状が現れることも。川上さんは、前かがみになり背中の左右差を見る「前屈テスト」=上の図を参照=を家庭で実施し、保護者が定期的に状態を確認するように呼び掛ける。

遺伝的な要因も? 姿勢や栄養は無関係

 特発性の側彎症は長く原因不明とされてきたが、最新の研究で、遺伝的な要因がある程度関与していることが分かりつつある。以前、要因としてよく指摘された日頃の姿勢や栄養バランスの悪さは直接関係ないと考えられている。

 新型コロナウイルスの影響で、学校健診が延期されたり、病院の受診控えが広がったりと、早期発見しにくい環境も生まれている。川上さんは「適切な治療時期を見逃すと、子どもの将来に関わる。家庭でも意識し、変化を感じたら、整形外科専門医のいる医療機関に相談を」と強調する。