正月のおせちや節分のイワシ、ひな祭りのお吸い物…。日本には季節ごとに、多くの行事食がある。「赤ちゃんは食べられない」と思いがちだが、調理途中で取り分けるといった一工夫で離乳食になるものも。食育教室「テーブル悠」(名古屋市天白区)で行事食の講座を開く管理栄養士、高瀬美佐子さんにポイントを教わった。

「家族と同じ物」がうれしい

 行事食には「健康で暮らせますように」といった願いが込められている。「大好きな家族と同じ物を食べられるのはうれしい」と高瀬さん。「大人のかむ動作や食器の使い方を見て学ぶ機会にもなる」と促す。

 例えば、冬至の日にカボチャを食べると、風邪をひかないといわれる。カボチャは粘膜を守るカロテンが豊富なため、栄養学的にも風邪予防にぴったりだ。

 紹介するのは冬至のカボチャの煮物、正月の雑煮や煮しめ、1月7日の七草がゆ。調理途中で少量を取り分けるなどして、大人用と離乳食を同時に作った。

大人用の味付け前に取り出して

 ポイントは主に二つだ。一つ目は、みりんやしょうゆなどで大人用の味付けをする前に、離乳食分を取り出すこと。カボチャの煮物の場合、離乳初期(目安は生後5〜6カ月)、中期(7〜8カ月)は取り出してからさらに煮て、親指と薬指でつぶせるぐらいまで軟らかくする。二つ目は、雑煮の肉や魚など、赤ちゃんが食べられない食材は大人用に後で加えることだ。

 初めての食材はアレルギー症状が出る場合があるため、少量にとどめる。食べ慣れない食材にも注意したい。七草がゆの場合、セリなどの青菜はすりつぶせば初期から食べられる。しかし、苦味でおかゆそのものを嫌いになる恐れがあるため、後期(9〜11カ月)以降に、食べたがったら刻んで上にのせるのがいい。

 他にも、節分のイワシは焼いてほぐしたり、つみれ汁にしたりすれば後期からOK。桃の節句に欠かせない貝の吸い物は、汁だけなら後期から、貝は刻んで完了期(12〜18カ月)からだ。端午の節句で祝い魚として食べるタイは初期・中期はゆで、初期はさらにつぶす。後期からは焼いてほぐすといい。七夕のそうめんは、初期・中期は2回ゆでて塩分を落とし、細かく刻む。初期はやはりつぶす作業が必要だ。

カボチャの煮物(離乳初期、中期)

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<1>カボチャを軟らかく煮て、大人用の味付けをする前に取り出す
<2>さらに煮たら、初期は裏ごしする。中期は2〜3ミリの角切りに。

正月料理 (離乳後期)

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煮しめ

<1>ニンジン、サトイモの皮をむいて適当な大きさに切り、軟らかくゆでる
<2>だし汁、しょうゆで薄味に調えたら子ども用を取り出し、5ミリの角切りにする。大人用は酒などで好みの味付けをする。

錦玉子

<1>ゆで卵を作る
<2>白身は片栗粉少々を加え、フードプロセッサーでかくはんする
<3>黄身は裏ごしし、片栗粉少々を加える
<4>大人用は(2)(3)に砂糖と塩も足してラップを敷いた耐熱容器に入れる
<5>(2)(3)をラップで直径2センチの茶巾絞りにし、(4)と一緒に5分蒸す。

雑煮

<1>だしを取り、しょうゆで薄味に調えて取り分ける
<2>子ども用は、ゆでて細かく刻んだ青菜と餅に見立てた麩(ふ)を入れる。大人用は塩、酒などで味付けし、餅や好みの具材を入れる。

七草がゆ(離乳初期)

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<1>10倍がゆ(米の10倍量の水で炊いたかゆ)を作ったら、子ども用を取り出してつぶす
<2>スズナ(カブ)とスズシロ(ダイコン)の白い部分の皮をむいたら半分に切ってゆで、子ども用を取り出してつぶす
<3>(1)に(2)をのせる。

※中期は7倍がゆで、ゆでたスズナ、スズシロは2〜3ミリの角切り。後期は5倍がゆを作り、5ミリの角切りにしたスズナ、スズシロとゆでた七草の葉部分を細かく刻んでのせる。大人用は、10倍、7倍、5倍がゆに、ゆでて刻んだ七草を加える。