(長壁綾子撮影)


 2011年の春、絵描きのわたしの家の庭に、たぬきの一家が現れた。父と母、子どもたち、そして長老も。

 庭で繰り広げられたいのちの絆。わたしはそれを「たぬ記」という観察日記に書き続けた。その年3月11日からつけている地震日記とともに。たぬきたちは産み、育て、弔い、そして旅立っていく。

 東日本大震災から10年が過ぎた。毎年3月に津波の跡地を歩く著者は、被災地から帰り無条件に「生きる」をテーマに描きたいと思った。人も動物も、生きるために生まれる。いのちの美しさが水彩で繊細に描かれる。

 1760円。平凡社=電話03(3230)6572。