新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の流行に伴い、子どもの感染者が急増している。子どもは軽症で済むケースが多いが、重症化する可能性も否定できない。厚生労働省は20日にも、米ファイザー製の5〜11歳向けワクチンを承認する見通しだが、オミクロン株から子どもたちを守れるのかー。

子どもの感染増加 あす特例承認の予定

 「今後の新規感染者は、ワクチン接種がなされていない11歳以下の年齢群の割合が、さらに増加する可能性がある」。厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の13日の会合で、そんな見解が国立感染症研究所から示された。

表 5〜11歳の新型コロナ感染状況

 厚労省によると、全国で11日までの1週間に感染した10歳未満は2238人。前週の353人の6.3倍だ。全国の新規感染者の84%はデルタ株ではなく、感染力の強いオミクロン株に感染していると推定されており、子どもたちにも広がっている。

 承認される見通しの米ファイザー製の5〜11歳向けワクチンは、どれぐらいの効果があるのか。海外の臨床試験では、発症予防効果が90.7%だった。20日の厚労省専門部会で了承後に同省が特例承認し、同省ワクチン分科会で運用指針などをまとめた上で3月以降に接種が始まる予定だ。

副反応は? 米国では3人に1人が発熱 

 気になるのが副反応。昨年11月に接種が始まった米国で、米疾病対策センター(CDC)が約4万1千人を調べたところ、2人に1人が接種部位の痛みを訴え、3人に1人が発熱した。多くは軽度で一部が中等度。治療が必要だったのは約1%にとどまった。厚労省によると、フランスやドイツは、5〜11歳向けワクチンを基礎疾患があるなど重症化リスクのある子どもに限って推奨している。米国、カナダ、イスラエルはそうした限定を設けずに接種を推奨する。

 専門家組織座長の脇田隆字・感染研所長は「小児(子ども)のワクチンが承認されたら、接種を希望する小児は保護者ともよく相談し、接種していただく必要があるだろう」と話す。

重症化リスクある子のメリットは大きい

 ワクチンのオミクロン株への感染予防効果は下がったものの、発症や重症化を防ぐ効果はあると専門家の多くがみている。

 長崎大の森内浩幸教授(小児科学)は「オミクロン株への有効性はまだはっきりしないが、しんどい思いを防げるのであれば、子どもが接種する意義はあるだろう。副反応を過度に心配する必要はなさそう。特に重症化リスクのある子どもにとって接種のメリットは大きい」と考える。

 その上で、「恐怖感や不安感を抱えたまま打つべきではない。ワクチンにはメリットがある一方、副反応のリスクがあることも理解し、納得した上で打つことが大切だ」と強調した。

 ワクチンには一定の効果があるが、子どもを守るには基本的な感染対策が重要という。「マスクを正しく着用し、しっかり手洗いする。学校でのクラスターを防ぐためにも、体調が悪ければ登校を控えるということを徹底してほしい」と求めた。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年1月19日]