ずらりと駄菓子が並ぶ「ぎふ屋」=東京都中野区で(佐藤哲紀撮影)


 穀物や石油の価格高騰による食品や菓子の値上げが止まらない。4月からは駄菓子の定番「うまい棒」も1本10円から12円に値上がりしたが、都内の駄菓子屋には利益を度外視して値段を据え置く店も。一方で値上げに慣れてもらおうと考える店もあり、対応は分かれる。子どもたちや地域住民が集う場でもある駄菓子屋は、この物価高を乗り越えられるのか。

干ばつで穀物価格が高騰 円安も重なり…

 「うまい棒 小学生1本10円(税込) 大人1本12円+税」。そんな値札を掲示するのは、中野区で駄菓子やたばこを扱う「ぎふ屋」。小学生には値上げ前の価格で販売を続けている。店は、子どもたちが待ち合わせをしたり、高学年の子が年下の子に買い物の仕方を教えたりと、放課後の社交場になっている。

 店主の土屋芳昭さん(66)は価格を据え置くことに「仕入れ値で流す感じになる。赤字ではないがもうかりもしない」と明かす。「でも、お金を握り締めてくる小学生からは、あまり取りたくないから」。かごに菓子を放り込んでいく子どもたちを見ながら苦笑した。

 土屋さんによると、うまい棒以外にも「値上げした商品は多い」。要因の1つが北南米の干ばつなどによる穀物価格の高騰だ。うまい棒の原料でもあるトウモロコシは、シカゴ市場の先物価格が直近2年で2倍以上に。ほかにも駄菓子の原料になる小麦、植物油が軒並み値上がりした。石油からつくる包装製品や物流のコストなども上昇している。ロシアのウクライナ侵攻や円安も重なり、さらなる高騰も予想される。

メーカー側は「我慢するより値上げを」

 値上げを受け入れる店もある。「駄菓子屋はボランティアみたいなもの。値上げしないとやっていけない」。親や祖父母の世代も集まる葛飾区の「梅原牛乳店」を営む梅原ふみいさん(69)は、そう笑い飛ばして「値上がりが気になるのは最初だけで、子どもはすぐ順応する」と続けた。

 先の見えない物価高に、大手駄菓子メーカー関係者は「今の大人たちが子どもの頃に交流したような、昔ながらの『駄菓子屋さん』は減ってきた。値上げ前の価格で販売する店主も多いと聞くが、我慢しきれなくなって店を畳むより、値上げをしてほしい」と訴える。

 うまい棒を販売するやおきん(東京都)も発売42年で初の値上げに踏み切った際、公式サイトなどで「なくなっちゃうほうが、悲しいから」と題したメッセージを公開。「利益を出すことで駄菓子文化の存続と発展に努めたい」と値上げに理解を求めた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月6日