家庭の貧困が子どもの学習理解や進学を阻んでいる実態が内閣府の調査で鮮明になり、専門家などから政府に対策を求める声が上がっている。SNS上では、子が親を選べないことをもじった「親ガチャ」との表現が拡散しているが、専門家は責任は保護者でなく、貧困対策に力を入れてこなかった国にあるので、むしろ「国ガチャと言える」と指摘する。SNSでも「自己責任論で片付けたら、子どもの幸せは実現できない」などの意見が広がる。

貧困層 「授業がわからない」24%に

 内閣府が全国の中学2年生とその保護者5000組に実施した調査では、貧困層で学校の授業が「ほとんどわからない」「わからないことが多い」と答えたのは計24%。暮らしが比較的安定している層の3.3倍に上った。進学希望では、貧困層の33.9%が「中学・高校まで」と回答し、安定層の4.3倍に達した。

 「親ガチャ」はオンラインゲームの電子くじ「ガチャ」と保護者を掛け合わせた言葉。東京すくすくを運営する東京新聞が今月6日朝刊で調査結果を報じた記事に対し、SNSでは「親ガチャにハズレた」などの書き込みが相次いだ。一方、一人親世帯を中心として貧困層への政府の支援が弱いとして「行政による学習・教育支援の不十分さを『親ガチャ』というのはやめませんか」「『国ガチャ』にハズレた」といった意見も広がった。

「親に責任を帰しているのは、政府」

 日本では、かねて子育て関連の公的支出の低さが指摘されている。国内総生産(GDP)に対する支出割合は国と地方を合わせて2019年度で約1.7%。スウェーデン(2017年度で3.4%)、英国(同約3.2%)、フランス(同約2.9%)の半分ほどにとどまる。

 子どもの貧困問題に詳しい日本大の末冨芳(かおり)教授(教育行政学)は「『親ガチャ』は親に責任を帰する言葉で、社会の構造的課題を隠してしまう。親に責任を帰しているのは、わが国の政府なので『国ガチャ』と言うほうがましだ」と強調。子どもの貧困対策として、児童扶養手当の拡充や教育・医療の無償化など公的支援の充実を求め、子どもが精神的、社会的に良い状態にあることを指す「ウェルビーイング」を高める必要性も訴えた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年5月13日