「勉強したいだけなのに何百万もの借金はおかしい」と奨学金返済の苦しさを話す元高校教員の女性=21日、東京・霞が関の文部科学省で


 若者の貧困問題に取り組む市民団体「奨学金帳消しプロジェクト」は21日、奨学金を借りた元学生の3割が返済の延滞を経験したとするウェブ上でのアンケート結果を発表した。同日、東京・霞が関の文部科学省で記者会見した市民団体のメンバーは「大卒でも良い仕事に就ける状況ではなく、返済に苦しむ人は多い」と若者を巡る現状を説明。政府に対し、返済猶予制度の見直しや、返済免除などを求めるとした。

「奨学金帳消しプロジェクト」が調査

 調査した「奨学金帳消しプロジェクト」は、若者の労働貧困問題に取り組むNPO法人「POSSE」と労働組合「総合サポートユニオン」が立ち上げた。

 調査は7〜9月、日本学生支援機構の奨学金を返済中か完済、または返せず自己破産した元学生を対象にウェブ上で呼びかけてアンケートを行った。回答数は2697件で8割が20〜30代。借りた額は200万〜500万円が6割を占めた。

「結婚は無理」「自殺未遂した」の声も

 延滞したことがあると答えた人は753人で全体の28%。理由(複数回答)は「収入が低い」が509人で67%に達した。日本学生支援機構には年収300万円以下なら最長10年まで返済猶予できる制度があるが、現在の年収が300万円以上と答えた人の21%が延滞を経験していた。

 自己破産を検討した人は278人で、全体の10%。「自己破産した」と答えた人も34人いた。自由記述には「生活が厳しくダブルワークした」「結婚は無理」「自殺未遂した」などの声があった。

体調不良で退職 失業中でも続く返済

 会見に同席した元高校家庭科教員の女性(25)は、私大進学のため400万円を借りた。4人きょうだいの2人目で、全員が奨学金を借りた。卒業後に教員になったが、体調不良で退職し、現在失業中。減額制度で返済月額を1万7000円から6000円にしている。女性は「死んでチャラにするしかないとも思った。勉強したいだけなのに何百万も借金しなければ、なんておかしい」と訴えた。

 プロジェクトのメンバーで上智大4年の岩本菜々さん(23)は「給料が上がらない現状で、個人的に解決するのは不可能。社会構造を変えなければ。米バイデン政権のような奨学金債務帳消しが求められる」と指摘する。

10月1日に返済中の人向けワークショップ

 プロジェクトではオンライン署名を集めるほか、10月1日午後1時から返済中の人らを対象にオンラインワークショップを開く。「奨学金帳消しプロジェクト」のnoteのページで詳細を紹介し、申し込みも受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月21日