小中高校教員の長時間勤務に歯止めをかけようと、教育研究者の有志20人が呼びかけ人となり、教員に残業代を支給することなどを求める署名を5月30日から始めた。呼びかけ人の一人、中嶋哲彦・愛知工業大教授(教育行政学)は「このままでは教師を志す若者が減ってしまう。教師の労働条件は子どもの教育条件。子どもに豊かな学校生活を保障するには、教師の多忙さを解消しなければ」と訴えた。

自民案には反対の立場

 署名の要望は

  1. 教員に残業代を支給する
  2. 学校の業務量に見合った教職員を配置する
  3. これらを実現できるように教育予算を増額する

―の3項目。

 有志の研究者らは教職を志す学生を教える機会も多く、強い危機感がある。専門分野はさまざまで、教員の長時間勤務を巡っては意見が異なる。残業代を支払わない代わりに月給4%相当の教職調整額を支給すると定めた教職員給与特別措置法(給特法)にも「廃止」「法制度は触らず改革」などの意見がある。

 署名募集にあたり、議論を経て3項目を一致点とした。教職調整額を「10%以上に増額する」とした自民党の提言には「反対で一致している」(小玉重夫東京大教授)という。

 ネットと紙の署名を併用し、今秋と本年度末に集約し、首相や文部科学相などへの提出を想定している。署名の名称は「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名」。詳細は「Change.org」のサイトで案内している。