神奈川県川崎市内の2つの保育園が、新型コロナウイルスの感染拡大を恐れた保育士の退職が相次いで運営困難となり、3月31日で閉園に追い込まれたことが、関係者への取材で分かった。園児計21人は市内の系列園が受け入れ、保育を継続する。

3月31日に突然閉園となった「チャイルドランド新城園」=川崎市中原区で



「メロディ宮前平」「チャイルドランド新城園」系列8園で十数人

 閉園したのは、川崎市宮前区の認可外保育園「メロディ宮前平」と、川崎市中原区の企業主導型保育園「チャイルドランド新城園」で、いずれも同じ企業グループが運営していた。

 このグループは川崎市内で、閉園した保育園を含め8園を運営。グループ全体では、3月後半以降に退職した保育士が十数人に上っていた。

在宅勤務中の保護者が子どもを預ける…休園できずに濃厚接触

 系列園の職員によると、感染を防ぐために在宅勤務中の保護者が子どもを預けるケースが多く、休園できない事情がある。その上、密閉空間で保育士と園児の濃厚接触が避けられないため、感染への不安を抱える保育士は少なくないという。

 職員は「換気や消毒に気を付けていても、いつ、どこで感染するか分からない。著名な芸能人も感染し、『怖い』と辞めた人がここにきて続いた」と説明。保護者への閉園連絡は前日の30日だったが、1日にはトラブルはほとんどなかったという。

市への閉園通知は前日 1年前求める関連要綱に違反 運営会社を指導へ 

保護者からの連絡で市が確認

 川崎市宮前区の認可外保育施設「メロディ宮前平」と中原区の企業主導型保育施設「チャイルドランド新城園」が3月31日に突然閉園した問題で、市が閉園前日に知ることになったのは市の関連要綱に違反していることが分かった。罰則はないが、市は運営会社を指導していくという。

 市保育課によると、宮前区で閉園した園は国の基準に基づく認可保育園ではないが、市独自で認定して保護者に保育料を補助する「認定保育園」だった。認定保育園に関する市の要綱で、閉園はその1年以上前に市に届けを出すことを定めている。

 両園は同じ代表者がグループ経営。今回は同30日に園側から閉園の連絡を受けた保護者から、情報が市に寄せられ、市が運営側に確認して分かったという。

 同課の担当者は「要綱は、突然の閉園で保護者が困惑しないようにするため。再発防止に向けて園の運営会社を指導する」と説明した。

受け入れ先の園「トラブルはなかった」

 一方、閉園した二園に通っていた園児全員が系列園で受け入れられたことを、市も4月1日、確認した。この問題で保護者から市への苦情が31日には複数寄せられたが、1日にはなかった。

 メロディ宮前平の全園児を1日から受け入れた「メロディ宮崎台園」の職員は「閉園が急な話で保護者の方は驚かれたと思う。でも今日お話をさせていただき、トラブルがなかった」と胸をなで下ろした。この新旧二園の中間帯に自宅がある保護者も多く、登園の園バス利用や自家用車での送迎に大きな違いが出なかった事情もあるようだ。

 系列園の職員によると、閉園の背景には新型コロナウイルスの感染拡大を恐れて保育士の退職が相次いだことがあった。閉園した2園は比較的定員を満たしていない小規模園だったという。

閉園の2園「他の施設よりも空きが多い状況」

 市保育課によると、認可保育園を除き、市内の保育施設では、0歳児の受け入れ枠に余裕が出ている。国の制度改正で育児休業を取得しやすくなったことで、1歳児になるまでは園に入れずに育てる親が増えているという。

 31日に閉園した2園も、宮前区の園で定員28人に対して13人、中原区で定員21人のところ8人にとどまり、「他の施設に比べても空きが多い状況」(同課の担当者)だった。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年4月2日]