ミッドシーズンカットによってメンズ24名、ウィメンズ12名に選手数が絞られたツアー一行は中米最小の国、エルサルバドルからブラジルへ移動。

3年ぶりとなるブラジルでのCTイベント、第8戦『Oi Rio Pro』が現地時間6月23日に開幕して6月28日に全てのスケジュールが終了した。

ブラジル戦はCTでも歴史があり、開催地もサクアレマ、サンタカリーナ、リオデジャネイロなど移動してきたが、2016年にリオデジャネイロの水質汚染が問題になって以降、2017年からはリオデジャネイロから東へ73km離れたサクアレマに定着している。

CTで使用するブレイクはライト、レフト共にあるビーチブレイク「Itauna」がメイン会場。
バックアップ会場は数年前にジェティーが建設されてから出来るようになったライトのポイントブレイク「Barrinha」で、今年は全て「Itauna」で進行していた。

ビーチブレイクらしくトリッキーながらバレルやエアーセクションがあるパワフルなブレイクで、メンズはブラジリアンの強さが際立ったイベントだった。

ブラジルで3連覇を達成したフィリッペ

(高々と飛び、10ポイントを獲得したフィリッペ)
PHOTO: © WSL/Daniel Smorigo

初日からブラジリアンが活躍していた今イベント。
他国では考えられないような大観衆を巻き込んでの彼らの勢いはコロナ禍で溜め込んでいたものを一気に発散するように爆発。

敗者復活戦のElimination Roundではブラジルの英雄、3xワールドチャンピオンのガブリエル・メディナがエアーで失敗してMCL(内側側副靭帯)を損傷。このヒートで敗退したのに加え、次の南アフリカも欠場が決まってしまうバッドニュースがあったが、ブラジリアンのトップ3と呼ばれているフィリッペ・トレド、イタロ・フェレイラが危なげなく勝ち上がり、なんとQFに残った8名の内、6名がブラジリアン。
更にSFに残った4名が全てブラジリアンという記録が生まれていた。

(兄ミゲルと共にツアーを回っているサミュエル)
PHOTO: © WSL/Daniel Smorigo

誰が勝っても母国の選手というシチュエーションで迎えたファイナルデイは公式4-6ftレンジの「Itauna」らしいコンディション。

フィリッペとルーキーのサミュエル・プーポが最後に残り、フィリッペがエンドセクションで信じられないような高さのフルローテーションをメイクして10ポイントを獲得。
バレルとエアーリバースで8.67も重ね、サミュエルに圧勝して2018年、2019年に続き、ブラジルで3連覇を達成した。

「トップというポジションにいることや、この瞬間を家族、友人、そして素晴らしい観客と分かち合えること。完全に祝福されていると感じているよ。SFに進出したサミュエル、ヤゴ、イタロにもおめでとうと言いたい。我々ブラジル人アスリートにとって歴史的な瞬間であり、観客も一流だった。ツアー参加者全員に愛情を注ぎ、これまでで最も素晴らしいイベントの一つになったよ」

(サミュエル&フィリッペ)
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

フィリッペは3連覇プラス、2015年にも優勝しているため、4度目の優勝。
これはオージーのデイブ・マコーレーの記録に並ぶ最多で、今後更新する可能性も十分にある。

見事なフィリッペ劇場で幕を閉じたファイナル終了後は弟のような存在であるサミュエルと並んでビーチ凱旋を行い、家族やスタッフ、そして大観衆と喜びを分かち合っていた。

ランキングではフィリッペがトップを固め、すでにトップ5でワールドタイトルを争う「The Rip Curl WSL Finals」進出が確定。
Elimination Roundで敗退した日本の五十嵐カノアは5位から6位にダウンしている。
3位のイタロから下は僅差のため、残り2イベントになったランキング争いが面白くなりそうだ。

(カノアは今季2度目の最下位だがトップ5入りのチャンスはまだある)
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

CT第8戦『Oi Rio Pro』結果
1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 サミュエル・プーポ(BRA)
3位 イタロ・フェレイラ(BRA)、ヤゴ・ドラ(BRA)
5位 マテウス・ハーディ(BRA)、ミゲル・プーポ(BRA)、コナー・オレアリー(AUS)、カラム・ロブソン(AUS)

『Oi Rio Pro』終了後のランキング
1位 フィリッペ・トレド(BRA) 50,040pt
2位 ジャック・ロビンソン(AUS) 40,225pt
3位 イタロ・フェレイラ(BRA) 34,385pt
4位 グリフィン・コラピント(USA) 33,480pt
5位 イーサン・ユーイング(AUS) 30,970pt

今年も強いカリッサ

(勝負を決めたバックハンド)
PHOTO: © WSL/Daniel Smorigo

ウィメンズサイドでは昨年5度目のワールドタイトルを獲得して今年もG-Landからカレントリーダーの座を維持しているカリッサ・ムーア(HAW)が今シーズン4度目のファイナル進出。

まだ優勝はしていないカリッサだったが、ジョアン・ディファイ(FRA)とのファイナルではパワフルなバックハンドで大きなスプレーを上げ続け、イベントのハイエストとなる9.50をマーク。
CT通算25勝目を決めて「The Rip Curl WSL Finals」進出も確定させ、まずはトップ5入りというプレッシャーから解放された。

(カリッサ&ジョアン)
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

「親友のジョアン・ディファイとの対戦はいつも厳しいわ。彼女はG-Landで優勝したし、今年一番の強敵だと感じているの。ファイナルも彼女に抑えられていたのでまた2位かと思っていたのよ。でも、私のものになったわ。この1週間は友人たちと一緒に過ごす素晴らしい時間を持てた。最高の観客から沢山の愛をサポートを感じ、この優勝が更に特別なものになったわ」

ウィメンズも3位のレイキーから下は僅差のため、入れ替わる可能性が十分にある。
特に最終戦のタヒチは大きなウネリが入ると得意不得意が明確に出そうだ。

CT第8戦『Oi Rio Pro』結果
1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 ジョアン・ディファイ(FRA)
3位 ガブリエラ・ブライアン(HAW)、タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
5位 サリー・フィッツギボンズ(AUS)、レイキー・ピーターソン(USA)、キャロライン・マークス(USA)、イザベラ・ニコルス(AUS)

『Oi Rio Pro』終了後のランキング
1位 カリッサ・ムーア(HAW) 46,840pt
2位 ジョアン・ディファイ(FRA) 42,865pt
3位 レイキー・ピーターソン(USA) 36,395pt
4位 ステファニー・ギルモア(AUS) 35,540pt
4位 ブリッサ・ヘネシー(CRI) 35,540pt

第1回Mano Ziul Award

(第1回Mano Ziul Award」はカリッサとフィリッペが受賞)
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

ASP時代にデジタルのスコアリングシステムを開発。現在は当たり前になっているライブ中継の先駆者となったブラジルのマノ・ジウル。
先日亡くなったばかりの彼に敬意を表した「第1回Mano Ziul Award」がイベントのハイエストヒートスコアを出したカリッサとフィリッペに贈呈された。

2022年CTは7月の2戦でトップ5が決まり、9月のトラッセルズでワールドタイトルが決まる。
次の第9戦『Corona Open J-Bay』は7月12日〜21日に南アフリカのJ-Bayで3年ぶりに開催される。

WSL公式サイト
http://www.worldsurfleague.com/

(空海)