現地時間9月8日、カリフォルニアのローワー・トラッセルズ で2022年のワールドチャンピオンを決める「Rip Curl WSL Finals」が開催。

公式4-6ftレンジのサイズで朝は風が弱く、クリーンなフェイス。日中はこの時期特有の西〜南西風が吹き込み、タイトルマッチが行われたお昼頃には大分ヨレた難しいコンディションに変化。
しかし、世界のトップ選手は素晴らしいパフォーマンスを披露してメンズ、ウィメンズ共に記録樹立の感動的な一日。
MC席にケリーとミックも迎える特別な演出もあった。

「Rip Curl WSL Finals」フォーマット

まず、始めに「Rip Curl WSL Finals」のフォーマットを簡単に説明するとレギュラーシーズンのトップ5が進出。
ランキング毎にシードが上がり、最初に5位と4位が対戦。
勝った方が3位の選手と戦い、それが同じ形で2位、1位と続く。
つまり、上位の選手ほど戦うヒート数が少なく、タイトルに集中できるのだ。
そして、最後のタイトルマッチは3ヒート行われ、2ヒート先取の選手がワールドタイトル獲得となる。

「Rip Curl WSL Finals」進出者は以下。
今年は日本の五十嵐カノアが最終戦のタヒチでトップ5に滑り込み、大きな話題になった。

1位 フィリッペ・トレド(BRA)
2位 ジャック・ロビンソン(AUS)
3位 イーサン・ユーイング(AUS)
4位 イタロ・フェレイラ(BRA)
5位 五十嵐カノア(JPN)

1位 カリッサ・ムーア(HAW)
2位 ジョアン・ディファイ(FRA)
3位 タティアナ・ウェストン・ウェブ(BRA)
4位 ブリッサ・ヘネシー(CRI)
5位 ステファニー・ギルモア(AUS)

ステフが新記録達成

(このサーフィンで8度目を決めたステファニー)
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

ウィメンズサイドはステファニーがブリッサ、タティアナ、ジョアンを倒し、タイトルマッチは昨年5度目を決めたカリッサとレイン・ビーチェリーと並ぶ7度のワールドタイトルを持つステファニーのカードになった。

風の影響が入った難しいコンディションに手こずったカリッサに倒してステファニーは十八番のスタイリッシュなサーフィンで8.33を出してH1を勝利。
H2でもリズムを崩さず、8.00を出して2ヒート先取で8度目のワールドタイトルを決めた。

タイトル直後のインタビューではまさに泣き叫ぶという表現が当てはまるような感情だったステファニー。
ここ数年はカリッサや他選手の台頭によってタイトルから離れていただけにその嬉しさもひとしおだったようだ。

「今の気持ちを言葉で表すのは難しいわ。このフォーマットは大好きよ。もう耐えられないようなプレッシャーだった。タイトルを獲得出来て本当に嬉しい」

2022年は開幕戦の欠場から始まり、スロースタートになったステファニー。シーズン前半のランキングによるミッドシーズカットにも引っかかりそうな成績だったが、エルサルバドルで優勝、J-Bayで5位に入り、ギリギリでトップ5に滑り込んだ経緯がある。

(インタビュアーのストライダーの前で泣き叫ぶステファニー)
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

(ウィメンズ史上最高の8個目のトロフィーを獲得)
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

現在34歳のステファニーはメンズで言えばケリーのような特別な存在である。

2007年のルーキーイヤーにワールドタイトルを獲得するCT初の史上初の偉業を達成してから2010年まで4年連続でタイトルを獲得。
これはケリーさえも達成していない記録で、彼女がいたからこそ、ウィメンズサーフィンのベンチマークが上がり、現在のCTがこのレベルまで達しているという意見に異論があるものは少ないだろう。

2011年はオフシーズンにトラブルに巻き込まれて全治6週間の怪我を負い、シーズンでも不調が続いたが、2012年には復活して5度目のタイトルを重ねる。
この辺からカリッサとのライバル関係が始まり、2014年に6度目、2018年に7度目のタイトルでレイン・ビーチェリーの記録に並んだ。

(カリッサ・ムーア)
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

「最初にブリッサに勝てたことを誇りに思う。タティアナ、ジョアンは世界で最も素晴らしい女性サーファーよ。そして、最後のカリッサとの対戦。彼女は今年の真のチャンピオンだと私は思っている。だから、彼女に勝てたら最高よねと考えていたのよ」

現在CTでは最年長のステファニーだが、そのスタイルは年を重ねる毎に磨きがかかっているし、これからもインスピレーションを与え続けることだろう。

ちなみにステファニーの背番号「88」は映画「キルビル」のキャラクター・クレイジー88に因んで付けられたそうだ。
その年齢とタイトルにも8が揃ったことで引退の二文字が出ることも考えられるが、今はただ彼女のタイトルを心から祝福したい。

フィリッペが念願の初タイトルを獲得

(夢を夢で終わらせなかったフィリッペ)
PHOTO: © WSL/Thiago Diz

2013年にCTクオリファイを果たしたフィリッペは9年間も苦しんでいた。

毎年のように手のつけられないような優勝をして通算13勝。タイトル争いにも絡んでいたが、あと一歩が足りず。同じブラジリアンのガブリエル、イタロがワールドチャンピオンのトロフィーを獲得するのを横目で見ながら執念を燃やし続けていたのだ。

今年は昨年「Rip Curl WSL Finals」のタイトルマッチを戦ったガブリエルが不在だったことが大きかったが、レギュラーシーズンでは10戦中2勝。2位が3回と最もコンスタントな成績でカレントリーダーの座を守り続けた。

そして、「Rip Curl WSL Finals」ではイタロとのタイトルマッチに見事に競り勝った。
最後まで諦めずに戦ったイタロも凄かったが、それをフィリッペが気迫で上回り、2ヒート先行で念願のワールドチャンピオンに輝いたのだ。

(全てが終わった直後のイタロとフィリッペ )
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

「もう、これ以上のことはないよ。ブラジルのため、家族のため、ここにいるみんなのためのタイトルさ。まず、神様に感謝したい。私の人生と今年、この1週間私にしてくれたこと。神に助けられ、冷静さを保ったんだ。昨晩はジョン ・テリー牧師と一時を過ごした。彼が妻、家族全員に与えてくれた二つの言葉は’平和と力’だった。一日を通してその言葉を胸に戦ってきたんだ」

タイトルマッチ終了後は家族全員、77のキャップを被ったサポーターと喜びを共有、特にいつも側にいる父親とは長いハグでこの9年間の苦しさと全てが報われた瞬間を分かち合っていました。

「夢は追いかければ必ず報われる。辛いことも疲れることもあるし、浮き沈みが激しかったり、嫌な思いをすることもあるけど、自分はやり遂げた。私たちはやり遂げたんだ」

(現在のホームであるロワーズでタイトルを獲得したフィリッペ )
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

五十嵐カノアは5位でフィニッシュ

(タイトルの夢は来年以降に持ち越しになった)
PHOTO: © WSL/Pat Nolan

2018年にランキング10位になってから2019年に6位、2022年に5位と着実に世界トップへの道を歩んでいる日本の五十嵐カノア。

今年は最終戦のタヒチでの鳥肌が出るような大逆転劇で「Rip Curl WSL Finals」進出を果たしていた。
オープニングヒートは東京五輪のファイナルの再来となるイタロとのカード。
クリーンなトラッセルズの波にカービングとエアーのコンビネーションでスコアを重ねていたが、バックサイドのローテーションエアーをメイクして8.17を出したイタロに敗退。
ワールドタイトル獲得の夢は来年以降に持ち越しになった。

「目標が達成出来なかったことは悔しいけど、今年を振り返ると凄い年でした。サーフィンも上手くなったと思うし、まだこれからに向けて頑張りたいので応援を宜しくお願いします。今回のトップ5は凄い良い経験になりました。みんなのメッセージの力でファイナルまで行けると思ったんですけど、コンテストはこういうものです。目標は達成出来なかったけど、また来年に向けて頑張ります」

カノアの次の舞台はハンティンンビーチで開幕するISAのWSG。
約1週間後の9月16日に開幕する。

WSL公式サイト

(空海)