五十嵐カノアが使用するサーフボード「Sharpeye Surfboards(シャープアイ・サーフボード)」の創始者でありシェーパーの「マルシオ・ゾウビ」が来日。
新体制としてシャープアイ・ジャパンの代表となった、五十嵐カノアの父「五十嵐勉」氏とのトークショーが、オッシュマンズ原宿店にて開催された。

五十嵐カノアがシャープアイ・サーフボードを使用することになった理由や、トップライダー達とのリレーションシップ、シャープアイが掲げるブランドコンセプトなど、トークショーで語られたエピソードの一部を、THE SURF NEWSのインタビュー内容も交えつつ、抜粋して紹介。

Photo: THE SURF NEWS

2018年のJ-bayでシャープアイデビュー

五十嵐カノアが初めて公の場でシャープアイ・サーフボードを使用したのは、2018年CTの第6戦となった“J-bay”。
カノア曰くJ-bayは「サーフボードのクオリティが最も現れる場所」とのこと。そのJ-bayでシャープアイを使用した五十嵐カノアは、序盤から好調なサーフィンを見せる。
その後もラウンドを重ねる毎にエクセレントスコアを量産し、セミファイナル進出の3位でフィニッシュ。
その年、五十嵐カノアは世界ランキングでも10位に入り、飛躍の年となった。

2018年J-bayの五十嵐カノア。ラウンド4では9.67ptのハイエストスコアをマーク。セミファイナル進出の3位入賞を果たした Photo: WSL / Cestari

シャープアイを使用することになったキッカケ

17歳でCT入りを果たした五十嵐カノアはツアー2年目にしてパイプラインで2位入賞を果たすなど快挙を成し遂げたが、その年は年間ランキング22位でリクオリファイギリギリのライン。そしてツアー3年目となる2018年の前半は、第5戦までに最下位が3回と苦戦を強いられていた。

もっとCTにフォーカスし、さらにハイレベルのパフォーマンスを発揮するにはどうすべきか、自分のサーフボードに疑問を感じていた五十嵐カノアは、有名シェイパーのほとんどのボードをテストし、自身に合うサーフボードを探していたという。

そんな中、当時クイックシルバーのチームマネージャーだったチャド・ウェルズが、カノアの自宅に1本だけあったシャープアイ・サーフボードをボードバッグの空きスペースに入れてJ-bayに持たせた。結局、カノアは本番でそのシャープアイを使用し、3位入賞を果たす。そこから「マルシオ・ゾウビ」とのリレーションシップがスタートした。

CT選手には1試合につきおよそ15本のボードを提供しているというマルシオ・ゾウビ。チームメンバーがこれだけ増えても、その精神は変わらない Photo: THE SURF NEWS

トップライダーとのリレーションシップ

日本の五十嵐カノアや村上舜はもちろん、2022年ワールドチャンピオンのフィリッペ・トレドをはじめ、世界トップの選手達がシャープアイ・サーフボードを愛用。
世界最高峰のCTでも、現在シャープアイを使用している選手は11名、2020東京オリンピックの出場選手でも最多の9名が使用していた。

なぜ、ここまで多くのトップ選手がシャープアイを使用しているのか。その理由のひとつは、ライダーとの蜜なリレーションシップだとマルシオ氏は語る。

「トップレベルのコンペティターは、常に優れたサーフボードを求めています。そしてトップ選手であるほど、使用するサーフボードは非常に細かな調整が必要。最高のパフォーマンスを発揮するため、その要望に応えてくれるシェイパーを探しているんです。」

マルシオ氏はライダーとの密なコミュニケーションを重視しており、全11戦あるCTイベントのうち、8戦は実際に会場まで足を運んでライダーのサーフィンをチェックするという(自分が行けないイベントには代わりにブランドマネージャーが会場入りする)。

これは試合毎に各ライダーのフィードバックを受け、次のイベントに必要な準備するためというが、実際にここまで行っているシェイパーは、世界でもマルシオ氏のみとのこと。

またボードシェイプに至っても、削ったら終わりではなく、ラミネートやサンディングなど全工程のクオリティをマルシオ氏がチェックする。そのようなシェイパーは少ないという。

フィリッペ・トレドの要望で誕生した「インフェルノFT」は、世界初、クアッドフィンでワールドチャンピオンを獲得したモデルとなった Photo: THE SURF NEWS

コンセプトは、ブレない「ハイパフォーマンス」

シャープアイ・サーフボードのコンセプトは、トップレベルの選手達が満足できるクオリティのハイパフォーマンスボードを作り上げること。

他の有名サーフボードメーカーは、流行りのオルタナティブボードやミッドレングスも作るが、シャープアイはトップコンペティターが求めるショートボードのみを展開する。このビジョンはブレない。
だからこそ、多くのトップ選手達に支持されているのだという。

もちろん、一般販売されているモデルは、一般サーファーに合わせてデザインされているが、中上級〜プロサーファー手前のエキスパートまで、技術レベルの高いサーファーほど、その違いを実感できるとのこと。

五十嵐カノアが2022WSGで使用し金メダルを獲得した「ストームズ」は日本のスモールコンディションにも対応できるモデル。左のフルカーボンボードはコンディションを選ぶが、上級者ほどその違いが分かるという Photo: THE SURF NEWS

日本の匠の技術を世界へ

なお、このトークショー翌日には千葉に入り、シャープアイディーラーでもある小川直久プロのREGALO surfを訪問。
その後はサーフボードファクトリーなどを訪れて、クラフトマンの技術やシェイプマシンのクオリティなどをチェックしつつ情報交換を行う予定とのこと。

最後に「シャープアイ・ジャパン」の代表を務める五十嵐勉氏からは、今回来日の目的と今後の抱負が改めて語られた。

日本人が持つ細かな匠の技をマルシオさんに沢山見てもらって、日本からインスピレーションをもらって。
日本のファクトリーと、カリフォルニアのファクトリーの情報交換の場になる、今後はそんな役割になれたら良いなと思っています。
それがキッカケで、日本で作られたサーフボードが世界で使われるようなチャンスが生まれるかもしれない。
日本のウェットスーツのクオリティは世界で認められていますが、日本のサーフボード作りの技術も、絶対に世界に通用する。そのクオリティの良さを世界に伝えられるよう頑張りますので、応援をよろしくお願いします。

五十嵐勉

兼ねてよりシャープアイの将来性を期待していた勉氏は、カノアの弟キアヌのため10年前からシャープアイのボードをオーダーしていたという Photo: THE SURF NEWS

80年代半ばにブラジルからカリフォルニアへ移住したマルシオ・ゾウビ氏。
サーフボードのリペアからはじめた当初は、自身がワールドチャンピオンを生み出すシェイパーになるとは思っていなかったが、夢を信じて、30年かけて現在にたどり着いた。

新体制で新たなスタートとなる「シャープアイ・サーフボード・ジャパン」。
詳細情報は公式サイトをチェック。

シャープアイ・サーフボード・ジャパン
web: sharpeyesurfboards.jp
instagram: @sharpeyejapan

日本のサーファーのレベルは年々上がっている。優れた日本のサーファーをCTに送り込みたいと話していたマルシオ氏 Photo: THE SURF NEWS

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駆け付けたファンの皆さんとも交流 Photo: THE SURF NEWS

マルシオ・ゾウビ×五十嵐勉 Photo: THE SURF NEWS

(THE SURF NEWS編集部)