胎児の検査の精度を上げるBillionToOne

BillionToOne
Co-founder & CEO  Oguzhan Atay 胎児の検査の精度を上げるBillionToOne

妊娠中に胎児に障害があるかを検査することができる技術を提供するBillionToOne。嚢胞性線維症や脊髄性筋萎縮症、鎌状赤血球症、βサラセミアなどダウン症よりも検査が難しい疾患をセルフリーDNA検査により割り出す。CEOのOguzhan Atay氏に話を聞いた。

セルフリーDNAが診断を変える

―どのような技術を使っているのでしょうか。

 個人の細胞を数えるMolecular Counterというものを作っています。血液中に存在するセルフリーDNAを検査します。6年ほど前にこのセルフリーDNAを検査する方法が広まったことによって、妊娠中や腫瘍に対しての診断は大きく進みました。癌などの原因となる突然変異を見つけることができ、個々人に対してどの治療が適しているかが分かるようになったのです。

―何が変わったのでしょうか。

 直接腫瘍にアクセスしてサンプルをとらないといけない生体組織検査は、半数近くはそもそも実施が困難です。

 数千から数百万ものDNA分子を同時に配列決定可能な強力な基盤技術「次世代シーケンシング:Next-Generation Sequencing: NGS」が可能になり、15年ほど前は配列を読み取るのに数十億ドル単位でコストがかかったのが、数千ドルになりました。次世代シーケンシングが様々な分析などを可能にし、その1つがセルフリーDNAによる検査です。

羊水検査の比率を減らす

―これによって何が可能になったのですか。

 以前はたとえば胎児のダウン症などのリスクがあるかどうかを調べる検査は、25ケース陽性反応が出ても実際に症状があるのはそのうち1ケースといった貧弱なものでした。実際に障害があるかを知るには、腹部に長い針を刺して羊水を採る検査をする必要がありました。

 それが次世代シーケンシングによって、リスクがある人を正確に簡単に割り出せるようになり、羊水検査の比率を劇的に減らしました。

ダウン症より見極めにくい障害

―独自性はどこにありますか。

 プリンストン大学にいたときに、共同創業者と、この技術をどのように使え、次のレベルに持っていけるかを考えていました。遺伝子というのは巨大な図書館のようなもので、その中のたった1つの本の1つの文章の1文字だけが変わることによって、多くの障害が引き起こされます。

 ダウン症というのは、1文字だけではなく、ある程度大きなセクションが変わることによって引き起こされるので特定がしやすいのですが、たった1文字のものでも特定ができないかと考えました。それが私たちのやっていることです。

―具体的にはどのような障害が特定できるのでしょうか。

 個々の細胞を数え、どれが突然変異を起こしているかを調べます。嚢胞性線維症や脊髄性筋萎縮症、鎌状赤血球症、βサラセミアなどではこの小さな変化が致命的になるからです。これらの疾患は非常に深刻なものですが、特定ができれば治療や改善が可能なものでもあります。

 調べるだけではなく、実際に変化をもたらすことが見込めることもあり、妊娠中に特定することが重要ではないかと考えたのです。実際に子供に障害が見つかった時にどうするかは文化や宗教、両親の考えによりますが、何もしないとしても準備することができますし、治療可能なものもあります。

父親がいなくても検査可能

―プロセスも簡単になっていますか。

 通常、推奨されている妊娠中の検査では、まず母親がキャリアかどうかを検査します。10-11%はキャリアである可能性があります。それから父親を見ます。父親もキャリアであれば、子供に障害がでる可能性は25%です。

 ただ米国では40%がシングルマザーで、実の父親の検査が必要ですが、そもそも誰が父親かわからないケースも一定割合あります。母親はMedicateの対象になることも多いのですが、父親はならない。しかも、母親がキャリアだとしても、95%以上は何も問題がないのです。なので、5%の可能性について知るために、皆自費でやりたくはない。父親がいて、お金を出せる家庭のみが検査できるということになってしまいます。なので、私たちはキャリアの母親に対して一回の検査で子供に障害があるかどうかを調べられるようにして、このプロセスを省いています。

―どのようなビジネスモデルなのでしょうか。

 ビジネスモデルは払い戻しです。保険の払い戻しを得るには効率的な方法を採ったことを示す必要があり、実際に払い戻しがはじまるのは2〜3年後になると思います。10年スパンでは、グローバル展開していきたいと考えています。