全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道函館市の「だがし屋ささき商店」です。
宮永篤史の駄菓子屋探訪12北海道函館市だがし屋ささき商店1

以前訪れた時は小売店だった


前回登場した「いっせ(いっせん)」で、仕入れについて店主と話していた際に、「ササキさんが配達してくれる」「ササキさんに聞けばわかる」と、問屋として名前が出てきたササキさん。聞けば、大門(松風町)にあるとのこと。そこにある駄菓子関連のササキさんといえば「だがし屋ささき商店」で、以前訪ねたことがありますが、普通の小売店だったはずです。「小売店から仕入れてるってどういうこと?」と思い、この謎を解決するべく、早速伺ってきました。
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函館駅の西側に広がる、大門と呼ばれる商業地域。多目的スペースも兼ねた歩道「グリーンプラザ」沿いの商店街の中に、だがし屋ささき商店があります。木の風合いや切り文字の店名がおしゃれな外観。店内は、間口の印象よりもかなり奥行きがある造りで、白を基調とした内装や、整った陳列には清潔な印象を受けます。
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やはりパッと見は、以前と変わらず小売店のままの様子。再訪の挨拶もそこそこに、卸売りのことについて店主の佐々木さんに尋ねると、昨年起こった函館の駄菓子業界の危機について教えてくれました。
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駄菓子問屋と駄菓子屋の兼業に


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2020年9月、函館市唯一の駄菓子問屋「カクタ商会」が廃業することになり、ささき商店を含め、地域の多くのお店が仕入れ場所を失う見通しに。そこで佐々木さんは「うちで引き継げないものか」と考え、カクタ商会と交渉。話し合いを重ねた結果、事業承継できることになり、10月以降は駄菓子問屋と駄菓子屋の兼業になったそうです。
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「継業はどちらかというと、自分が駄菓子屋を続けていくための選択だったんですが(笑)、結果的に地域の役に立っているなら嬉しいです。カクタ商会さんには、円滑に引き継げるようにかなり配慮していただきました。ただ、発注や会計など昔ながらの商習慣もあったので、慣れるまではなかなか大変でした」
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新しく駄菓子屋を開店させていくことが今後の目標


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「問屋になっていろんなことがわかったんですが、例えば同じ函館でもお店によって売れるものがぜんぜん違うんですよ。そういった気付きを自分のお店にも活かせますし、ほかのお店に伝えたりすることもできます。兼業の良さを発揮していきたいですね。始めたからには、やり抜きます。駄菓子屋がすでに消滅してしまった地域に、新しく駄菓子屋を開店させていくことが今後の目標です」
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駄菓子屋、問屋、メーカーなど、後継者がいないことで衰退している一面がある駄菓子業界に、新たな事業承継の例を示してくれた佐々木さん。その選択が、地域の駄菓子屋の未来を変えたのは間違いありません。だがし屋ささき商店は、佐々木さんとお母さんのお二人による運営ですが、継業後は納品で配達に出るようになり、ひとりの時間が増えて親子ゲンカが減ったとのこと(笑)。実務以外でも思わぬ良い影響があったようです。
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だがし屋ささき商店
住所:北海道函館市松風町10-5
電話:0138-85-8621
営業時間:4月から9月9:00〜18:30、10月から3月10:00〜18:00
定休日:火曜日

[All photos by Atsushi Miyanaga]