コロナ禍での新しい旅のカタチとして浸透しているのが、人混みを避けた穴場スポットを巡る「ずらし旅」。公共交通機関ではアクセスしづらい場所へ訪れるなら、観光タクシーの利用がおすすめです。この特集では石川県のラグジュアリータクシー「観光グランキャブ」で駆け巡る加賀の國をご紹介。ここでは能美(のみ)市の旅をお届けします。


加賀の國をもっと深掘りしてみる?旅のツウが唸る穴場観光スポットも満載
 

悠久の歴史に抱かれた能美市


石川県南部、加賀平野のほぼ中央に位置する「能美市」。九谷焼の中心的な産地であり、能美古墳群をはじめ数々の遺跡が密集している地域としても名を馳せます。

さらに開湯1400年の歴史を持つ「辰口温泉」や、ホワイトタイガーやユキヒョウを飼育する「いしかわ動物園」など見どころは多彩。ちなみに松井秀喜さんの出身地でもあり、「松井秀喜ベースボールミュージアム」は県内外から多くのファンが訪れる名所です。

KAM 能美市九谷焼美術館




日本のみならず、海外でも広く知られる九谷焼。そんな石川県が誇る伝統工芸品の魅力を身近に体感できるのが「KAM 能美市九谷焼美術館」です。メイン棟「五彩館」では、17世紀半ばに始まった九谷焼の歴史や、時代ごとに変化していった様式の経過を学べます。



展示室は九谷焼に用いられる緑、黄、赤、紫、紺青ごとに色分けされて構成。「紺青の間」では江戸時代から伝わる名作を展示しています。こちらの器は江戸時代前期に製作された、九谷焼の前身である「古九谷」。写実的に描かれた鮮やかな模様が特徴です。

江戸時代、徳川家に次ぐ巨大な石高を有していた加賀藩。幕府から絶えず警戒の目を向けられていたため、その経済力を文化政策に投入することで保身に努めました。石川県に金箔や加賀友禅、輪島塗など伝統工芸が息づいているのはこの政策が影響しているのです。当時の加賀は文化人の交流の場として栄え、「古九谷」もこの時期に誕生しました。



明治政府による輸出振興政策の一環として、明治6年(1873年)のウィーン万国博覧会に出品された九谷焼。これにより「ジャパンクタニ」としてその名が一気に世界に広まりました。「朱赤の間」ではこの頃に製作された九谷焼を展示。金で絵付けする技法「金襴手」が用いられた絢爛豪華な器は圧巻の一言です。



ミュージアムショップも併設。九谷焼をモチーフとしたアクセサリーや雑貨などがズラリと並びます。中でもおすすめは九谷焼をプリントした紙皿。鮮やかな色彩美は一見、本物に見えてしまうほど! ホームパーティやアウトドアで使えば、雰囲気も一気に格上げされること間違いなしでしょう。

九谷陶器村




美術館の目の前には10軒の九谷焼店舗が並ぶ「九谷陶器村」があり、鑑賞後の買い物にぴったり。それぞれ個性が際立つので、一軒ずつ回ってお気に入りを探すのもいいでしょう。こちらは九谷焼を代表する窯元から若手作家、人間国宝の作品までそろえる「北野陶寿堂」。時期によってはお値打ち商品を集めたワゴンも登場するそう。



デザイナーやアニメとのコラボレーション作品も数多し。なんとドラえもんバージョンも! このほかディズニーデザインやオリジナルの器なども充実しています。

能美ふるさとミュージアム




2020年にオープンした市立の総合博物館。旧石器時代から昭和までの能美市の歴史を、出土品や模型、映像とともに展示しています。能美古墳群から発掘された石器や大正時代の民家を再現したブースなど、幅広い世代が楽しめる内容に。



筆者が思わず見入ったのが、縄文時代の土器と料理を紹介するコーナー。古の人々はどんぐりの粉やキノコ、肉を炊いて、シチューのように食べていたそう。調理法のイメージ動画も実にリアル。意外に(?)栄養バランスが良さそうでおいしそうでした。



白砂青松の海岸線や霊峰白山に連なる能美丘陵など、豊かな自然に恵まれた能美市。そんな自然美をジオラマで伝えるブースもあります。隣接する和田山古墳の景色も楽しめるようにと、壁一面に窓が配されていて、ジオラマと本物の自然が融和する姿もまた魅力。

宮本酒造




清らかな伏流水、上質な米、そして美しい里山に恵まれた能美市は、古くから酒造りが盛ん。こちらは日本酒「夢醸(むじょう」や「福の宮」で知られる明治9年創業の「宮本酒造」。6代目の後藤由梨さんと夫の仁さんのご夫婦で珠玉の酒造りを守り続けています。



事前予約すれば酒蔵の見学も可能です。筆者が訪れた日はちょうど日本酒の仕込み中。大きなタンクでぷくぷく音を立てながら発酵するもろみの様子を観察できました。由梨さんによる酒造りのよもやま話も面白く、まさに大人の社会見学!

夕刻の酒蔵は凍てつくほどの極寒。しかしながら仕込み作業を行う早朝はもっと冷え込むそう。「もはや寒いというより“痛い”くらい(笑)。ですがこの北陸の寒さこそがおいしい日本酒造りに不可欠なんです」と由梨さんはいいます。



直売所でのお土産選びもまた楽しいひととき。作りたての「夢醸」やここだけしか入手できない純米生原酒など、日本酒ファン必見のアイテムが勢揃い。



お酒に弱い人にいちおしなのが酒粕。搾りすぎないため酒感がほどよく残っていて、甘酒としてはもちろん、お料理にも威力を発揮します。トースターで軽く焼くと甘みが増し、お菓子感覚で堪能できますよ。

大口食堂




そしてお腹がすいたら能美市のお隣町、川北町のソウルフード「かわきた味噌豚どん」をぜひ。同町の名産品であるイチジクを使用したジャムと、地元産大豆を用いた味噌を豚肉にからめた丼ぶりです。町内の10店舗ほどで提供していて、こちらの「大口食堂」もそのひとつ。



お味噌汁、お新香が付いて750円というお値打ち価格もうれしいところ。淡い色合いながら味噌のコクとイチヂクの甘みが豚肉しっかり効いて、ご飯がどんどん進んでしまうおいしさ。半熟卵を少しずつ崩し、マイルドに味変しながら食べるのがおすすめです。


加賀が誇る九谷焼、いにしえの歴史を知れる博物館、珠玉の酒造りを継承する酒蔵……。次の北陸旅は、心弾む体験がひしめく能美市を訪れてみてはいかがでしょうか。

KAM能美市九谷焼美術館
住所 〒923-1111 石川県能美市泉台町南5
TEL 0761-58-6100
http://www.kutaniyaki.or.jp/


 
九谷陶芸村
住所 〒923-1111 石川県能美市泉台町南22
TEL 0761-58-6102
http://kutani-danchi.org/


 
能美ふるさとミュージアム
住所 〒923-1121 石川県能美市寺井町を1−1
TEL 0761-58-5250
https://www.city.nomi.ishikawa.jp/www/genre/1000100000265/index.html


 
宮本酒造店
住所 〒923-1205 石川県能美市宮竹町イ74
TEL 0761-51-3333
http://www.mujou.co.jp/



 
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