大阪湾で約1か月にわたって目撃されたクジラについて19日、専門家らが調査を行い、死んでいるのが確認されました。クジラは、マッコウクジラのオスとみられていて、大阪府が今後の処理方法を決める会議を開く予定です。
専門家は「クジラの死骸を発見した場合もむやみに近づかないでほしい」と話します。その危険性とは、宮城県に漂着したクジラのケースです。

クジラの死骸から「脂」流出

去年2月4日、宮城県石巻市の北上川河口に漂着したマッコウクジラの死骸。

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オスと見られ、推定で体長およそ12メートル、重さは20トンです。死因は、外傷によるものか病気があったのかは分からないといいます。

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石巻市は、6日朝から業者の協力のもと重機を入れ埋却作業を開始しました。

我妻優記者:「クジラの死骸から脂が流出していて、この様に砂浜に塊で漂着しています」

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こうした中、懸念されるのが漁業被害です。

ワカメ養殖など、漁業者不安つのる

クジラが流れ着いた砂浜からおよそ2キロ先では、ワカメなどの養殖が盛んに行われていて、漁業者からも不安の声が聞かれました。

追波湾で養殖ワカメをする小椋圭史さん:「これから養殖ワカメの刈り抜きが始まるところだったので、脂が流れてきてワカメに被害が出なければいいなと思ってまして」

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このため、石巻市はクジラの周りに80メートルのオイルフェンスを設置しました。

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石巻市産業部水産課 阿部毅課長:「クジラから出る脂で漁業被害が考えられる流出、拡散させないのが狙い」

クジラは近くの砂浜に埋められる予定で順調に作業が進めば7日にも終了するということです。

石巻市産業部水産課 阿部毅課長:「クジラの傷み具合がどの程度かということで、クジラにロープをかけて引っ張るときに状態を見ながら傷めないように崩さないように運ぶのがポイントになる」

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クジラの死骸の漂着について専門家は、珍しいことではないといいます。

日本鯨類研究所 茂越敏弘さん:「一般の方から寄せてもらった情報をもとにすると(国内では)年間5頭くらいは(漂着が)あってもおかしくない。この一年に関していうとそれよりも少し多く情報を寄せていただいている」

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では、マッコウクジラの生態とはいったい・・・。

漏れ出したのはクジラの「脳油」だった

日本鯨類研究所 茂越敏弘さん:「(マッコウクジラは)太平洋全般に広く生息している種類のクジラです。オスで12メートルくらいだと成熟し始めている(個体)じゃないか、というような大きさではないか」

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エサを求め深海に潜るというマッコウクジラ。深海にいる巨大なイカなどを捕食するといいます。

日本鯨類研究所 茂越敏弘さん:「マッコウクジラの主なエサはイカ類です。そのイカを食べるために深く潜るということが知られている。ダイオウイカなどのイカ類ですね、いろんな種類のイカを食べている」

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さらに特徴は、その大きな頭です。この頭には、油の袋が入っていて、石巻市がオイルフェンスを設置したのも、頭から流れ出る油による漁業被害を防ぐためだということです。

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日本鯨類研究所 茂越敏弘さん:「体長の3分の1くらいになる大きな頭部を持っています。その中身は脳油という脂の袋、脳油袋となっている。その油が流出すると網についたり船体についたりということも懸念される」

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では、クジラの脳油は何のためにあるのでしょうか。

脳油でクジラは潜水をしていた

茂越さんによると、400メートル以上潜水するマッコウクジラにとって、脳油は潜水の道具になるというのです。クジラは、水温を利用して脳油を固めたり溶かしたりすることで比重を変え、潜水や上昇の助けにしています。

また、脳油はマッコウクジラが出す音の衝撃波(呼吸音)の音響レンズとして使われている、という研究結果があるといいます。「エコロケーション」といって、暗い深海で自分の位置を測る行為です。音の跳ね返りで自分の位置やエサになる生き物がいる場所を測っていて、時にその比重を変えることによって、衝撃波をピンポイントに伝え、イカを失神させ捕食します。

茂越さんは、このクジラが自然死や突然死したことで、北上川に流れ着いたのではとしたうえで、今後、クジラの死骸を発見した場合もむやみに近づかないでほしいと話します。

腐敗ガスで破裂の危険性が

日本鯨類研究所 茂越敏弘さん:「死後変化で腐敗ガスが体内に溜まり内圧が上がってそれを破裂させてしまうことにもつながる。むやみに触らない、近よらないという十分な配慮があってのものだと思う」

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茂越さんによると、死骸に近寄った時に腐敗ガスによる破裂に巻き込まれたり、また、むやみに触ってしまうことで破裂を引き起こす危険性があり、気を付けてほしいとしています。

石巻市の北上川河口に漂着したのは、オスのマッコウクジラと見られています。マッコウクジラは、大型鯨類の一種で、体長は大きいもので15メートル、体重は30トンにもなるといわれています。これだけの巨体なので、埋却するには相当の労力がかかりそうです。

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そして、7日、膨張による破裂を防ぐため事前に体内の腐敗ガスが抜かれました。

死因特定できずも埋却処分完了、「注意点」も

宮城県石巻市の北上川河口に打ち上げられたマッコウクジラの死骸は7日、近くの砂浜に埋められその上にコンクリートが敷かれました。

我妻優記者:「北上川河口に打ち上げられたマッコウクジラは、この後およそ100m離れた砂浜に埋められるということです」

午前8時から行われた作業では、石巻市の職員と業者らがクジラを波打ち際から引き上げようと尾ひれにワイヤーを巻きつけていきました。

我妻優記者:「クジラの大きな体がいま、重機に引っ張られゆっくりと砂浜へと引き上げられています」

重さ20tと推定されるオスのマッコウクジラ。重機2台が引っ張ったり押したりして埋められる予定の場所まで慎重に運びました。現場には、クジラを見送ろうと地元の人が集まっていました。

地元の人:「同じ哺乳類だからね可哀想だな」

石巻市産業部水産課 伊藤貴之課長補佐:「想定ですと2mほど掘って埋却したい。血や脂が流れ出ないように丁寧に作業したい」

埋める前に、市の職員と牡鹿ホエールランドの学芸員による死骸の調査が1時間ほど行われ、クジラの体長が▼13.2mだったことが分かりました。

石巻市産業部水産課 伊藤貴之課長補佐:「DNA鑑定のための皮膚の採取と上の(歯)の採取を貴重なものだということで今後、ホエールランドで調査をする。外傷はなかったようなのですが死因は特定できないということです」

そして、午後0時半過ぎ・・・。
膨張による破裂を防ぐためクジラは、体内に溜まっている腐敗ガスなどを抜いてから2mほど掘られた穴に埋められました。

水が湧き出て死骸が浮いてこないよう埋めた場所を砂で1.5mほどかさ上げし、その上にコンクリートブロックを敷きました。

石巻市の職員:「何とか引っ張ることができて、ほぼ予定通り作業を完了することができました。クジラを微生物などが分解するのに時間がかかようですので、市の方で経過観察をしていきたい」

石巻市はこの場所には、「なるべく近寄らないように」と呼びかけています。