東日本大震災をテーマにしたアニメ映画「すずめの戸締まり」が、28日、映画の中でも登場する宮城県気仙沼市で上映されました。上映後には新海誠監督が舞台あいさつし震災を描いた思いについて語りました。
観客:
「監督が来てくれるということですごく楽しみ」

気仙沼市民会館で開かれたプレミアム上映会。客席1000席は、上映30分前にはすべて埋まりました。

「すずめの戸締まり」は、地震で母親を亡くした高校生、鈴芽(すずめ)が「災い」がやってくる扉を閉じるため、日本各地を旅する冒険物語です。気仙沼市の「道の駅大谷海岸」をモデルにしたシーンも出てきます。国内では観客動員数1110万人、興行収入147億円を突破する大ヒットを記録しています。

上映後、会場には新海誠監督が登場。上映会を企画した有志の会が、新海監督に手紙を送ったことで実現しました。
新海監督は「ずっと地震にとらわれ続けきた」
手紙を送った佐藤光一さん:
「新海監督にとっても、気仙沼は思いの地だと信じました」

新海誠監督:
「本当にお呼びいただきありがとうございました」

新海誠監督:
「会長(佐藤さん)から頂いた手紙に『私たちは被災者だけれども、あの時地震を見て、自分たちに手を差し伸べてくれた人や何かを祈ってくれた人、心を痛めた人、全てが被災者と言えるのではないでしょうか』とお手紙に書いてくださっていて、その時はじめて自分が被災者とは言えないが、ずっと地震にとらわれ続けきたということを認めて頂けた気がして、是非お邪魔したいとその手紙を読んで思った。こんな素敵な機会を頂いてありがとうございました」

会場で語ったのは、震災当時の葛藤です。
「震災が起きた時に自分はほかに何の仕事も出来なくてこの仕事でいいのだろうかと悩んでいた時期があって、でも悩んでいても仕方がないのでアニメーションを作ろうとアニメーションを作り続けてきた。アニメでしかできないような災害への向き合い方のようなものがどこかにないかと思いここ何年か手探りのようにやって来たのが『君の名は』『天気の子』『すずめの戸締まり』という映画だった。制作のきっかけは12年前の東日本大震災だったような気がする」
観客:
「地震をテーマとした映画で心に来るものはあったが、観ていて楽しかったし、新海監督が凄いと感じた」
「気仙沼に寄り添って、私たちを傷つけない表現方法でやってくれてすごくよかった」

28日の上映会は当初1回の予定でしたが来場者が多く急遽、2回上映されました。