夕方ニュースのキャスターを務める東北放送の後藤舜アナウンサー。彼には、筋トレなどで鍛え上げた体の美しさを競う大会、ボディメイク大会に出場するという別の顔があります。忙しいアナウンス業務の中、厳しい減量を課し体を絞り込むワケとは?

ニュースキャスター、ボディメイク大会に出場する

8月27日、仙台市青葉区で宮城県ボディ・フィットネス選手権大会が開催され、「ビギナーズメンズフィジークOPEN」部門には、全身を鍛え上げ黒光りする24人が出場しました。

TBC

後藤舜アナウンサー:
「調子はかなりいいです。体調も良くて、きのうからご飯もたくさん食べて、体も元気なのでいいステージングができると思います」

その中に、東北放送の後藤舜アナウンサーの姿もありました。

TBC

後藤舜アナウンサーは、三重県出身の28歳、東北放送入社7年目。tbcテレビ夕方のニュース「Nスタみやぎ」メインキャスターで、朝の情報番組「THE TIME,」の列島中継で宮城担当リポーターも務めています。

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なぜ彼は、健康的で美しい引き締まった身体を作るのが目的の「ボディメイク」を始めたのでしょうか。

きっかけは新型コロナ

後藤舜アナウンサー:
「ボディメイクを始めたきっかけは、2020年に新型コロナが宮城県内でも流行し始めたことです。当時、かかってはいけないという思いが強く、仕事が終わったらもう直行で家に帰る、朝起きたら職場に行く、そして帰る、を繰り返していて。そんな時、YouTubeを見ていたら、たまたま、なかやまきんに君さんの3分でできる腹筋トレーニングみたいなものが出てきたんです。それで試しにやってみようと思って、1ヶ月毎日続けてみたところ、あれ、ちょっと筋肉ついてきたんじゃないっていう、わずかな変化を感じ取り、のめり込んでいったという感じです」

学生時代はバスケットボールをしていた後藤アナ、一番嫌いだったのが筋トレでした。

後藤アナ:
「部活動のときは、練習をして、つらい状態で最後に筋トレをする、ていうのが習慣でした。だから、筋トレ、イコールもつらいものだというイメージしかありませんでした」

嫌いだった筋トレを週3回ほどのペースで続けるうちに、確実に変化する自分の体が変化することに快感を覚えたと言います。

後藤アナ:
「気づいたんですよ、筋肉は裏切らないってことが」

TBC

そんな彼に、さらなる転機が訪れます。

初めて出たボディメイク大会

2022年年5月、たまたまラジオ番組で共演した、世界アジアボディビル・フィットネス選手権の優勝経験者、山下由美さんの紹介で、ボディメイク大会の宮城県ボディ・フィットネス選手権大会に出場することになりました。

後藤アナと山下由美さん

しかし・・・。

後藤アナ:
「去年は、うん。もう初戦で落ちてしまって、審査結果も後ほど見ることができたんですが、僕は13位で」

TBC

大会では、決勝に進めず1次審査で終わってしまいました。敗因は、減量期間が2か月しかなく、急激に体を絞りすぎて、筋肉が小さくなり見た目から元気がない状態で参加してしまったことでした。

そこから、後藤アナのハートに火が付きました。「たかが筋肉。されど筋肉」、後藤舜アナの真剣チャレンジがはじまりました。

後藤アナ:
「目標を立てました。1年かけて、筋肉を大きくして、また、大会に出ようと決めました」

ハードな筋トレ、そしてこだわりの食事

2023年8月の大会に向け後藤アナが実践したのは、前年9月から23年2月までを増量期間とし、目いっぱい食べ、トレーニングも週3回だったものを週5・6回とハードなものにしました。

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さらに、急激な減量で失敗した前年の轍を踏まないために、3月から8月までを減量期間に定め、通常1日3000キロカロリー摂取していた食事を、徐々に減らし直前には1日1800から2000キロカロリーまでもっていきました。

カロリーを減らすだけでなく、食事では三大栄養素のタンパク質・脂質・炭水化物の摂取を、それぞれ25%・15%・60%としてバランスに気を配りました。食材も鳥の胸肉、牛肉の赤身、アスパラガス、ブナシメジ、ピーマンなどに絞り、食べる前には食材1つ1つ、グラム数を計るという徹底ぶりでした。

TBC

後藤アナ:
「毎日食べるものが一緒なんですよ。変化がないっていうのがつらかったですね。特に甘いものが大好きなので、甘いものを食べられないというのが一つストレスにはなっていました」

摂取カロリーが消費カロリー下回る状態で、強度を落とさずに筋トレを続ける日々が半年続き、2月末に76キロあった体重は、大会直前に63.8キロまで絞り込まれました。課題だった筋肉も・・・。

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後藤アナ:
「足りなかった筋肉の大きさも、自分では、今回はいったと思いました」

職場の同僚は後藤アナをどう見ている?意外な声

そこまでして、ボディメイク大会に打ち込む後藤アナですが、職場の同僚は、彼をどう見ているのでしょうか。

佐々木淳吾アナウンサー:
「どんな仕事を頼んでも堅実にこなすアナウンス部の良い戦力です」
松尾武アナウンサー:
「アバウトに投げた案件でもきっちりやってくれる」

TBC

仕事では、高い評価を得ている一方で、アナウンサーといえば、やはり前に前に出ていくタイプが多く、キャラが濃いイメージがありますが・・・。意外な声が聞かれました。

Nスタみやぎでコンビを組む 熊谷望那アナウンサー:
「穏やかで、クセがないんです」
根本宣彦アナウンサー
「わきまえる時は、きちんとわきまえることができる人です」

佐々木淳吾アナウンサー:
「後藤くん、(アナウンサーでは)ひかえめですよね・・・」

自己顕示欲が強くない、と評される後藤アナ。自分ではどう思っているのか。

後藤アナ:
「確かに、前に前に出るタイプではないと思いますね。周りを伺う癖があるというか、どう見られてるんだろうなということを考えてしまいがちなので、あまり突っ走らないようにはしていますね」

「ひかえめじゃない」別の自分

このように分析しながらも、相反する自分にも気づいていました。

後藤アナ:
「このボディメイク大会っていうのは、もう全身さらけ出すような競技じゃないですか。それに出るっていうのは、矛盾してるようでもあり…、いや、本性はこっちなのかな。要はやっぱり、アピールしたい出たいっていう…。実際に大会に出てみて思ったのが、やっぱり負けたくないし、自分の体だけを見てくれって、ステージ上で思うんですね。多分、あの気持ちは、嘘偽りのないもの、僕の本当に思ってることだと思うんですよ」

8月27日、迎えた宮城県ボディ・フィットネス選手権大会の当日。
会場には、この日まで自分を追い込み続けた猛者達が集結しました。

TBC

後藤アナの心境は・・・。

後藤アナ:
「調子はかなりいいです。体調も良くて、きのうからご飯もたくさん食べて、体も元気なので、いいステージングができると思います。去年、かなりまわりの空気に飲まれたというのがあった。それを経験しているからこそ、自分のペースで臨めています」

TBC

会場はボディメイク大会独特の掛け声とともに、盛り上がり十分です。

ついに出番がやってきました。

1次審査後、後藤アナ弱気になる?

アナウンス:
「59番、後藤舜選手」

TBC

出場した競技は、去年と同じ「ビギナーズメンズフィジーク」。審査基準のコンセプトは、「海が似合う男」で、体のウエストが細く、背中と肩が広がってゆくVシェイプ、つまり逆三角形になっていることなどが重要なポイントとなります。

TBC

後藤舜、全身全霊で作り上げたボディを使い、ポージングです。

でも、競技後、舞台袖での後藤アナは少し弱気でした。

後藤アナ:
「(結果は)わからない、ちょっと。決勝に上がれるか上がれないか…。結構みんな(筋肉の)サイズ大きかったですね、やっぱり…」

TBC

結果はすぐに貼り出されます。果たして−。

念願の決勝、そして次のステージへ

後藤アナ:
「通過しました!嬉しい〜よっしゃ。つぎは12人で決勝。気を抜かずにちゃんとしっかりパンプして頑張ります」

TBC

出場者24人のうち決勝に進める12人選ばれました。去年叶わなかった1次審査を突破し、念願の決勝ステージです。

決勝でも、強力なライバルたちが並ぶ中、後藤アナはこれまでのトレーニングの成果を、これでもかと披露しました。

TBC

ついに、結果発表の瞬間、下位から順に発表されます。

場内アナウンス:
「10位は、59番 後藤舜選手」

決勝の舞台に進んだものの、やはり上位陣の壁はぶ厚かったのです。12人中10位で入賞を果たしましたが、本人は納得していませんでした。

TBC

後藤アナ:
「正直に言うと、悔しいですし、満足はしていないです。かなりビッグマウスになるんですが、優勝を目指してやっていたので、10位入賞でやったっていう気持ちにはなれないです。一番大きな差は、大胸筋、私はそこが正直弱点部位で、改善すべき大きな課題だなと感じています」

TBC

早くも来年への宿題を見つけた後藤アナ、ボディメイクで自分の中で変わったことがあると言います。

後藤舜アナウンサー:
「この大会に出るようなってから、すごくポジティブになりました。以前は、仕事がうまくできなかったなとか、思うことがあったとき、結構翌日まで、引きずるというか、ちょっと考えてしまう自分がいたんですけど、今は、すぐに切り替えられるようになった。ずっと考えていても、何も変わるわけではないので、次、同じミスをしないように、どうするべきかという、改善のための方法を考えるようになりました」

来年こそ優勝と語る後藤舜、ボディメイクは仕事の原動力であり、アナウンサーとはまた別の自己表現の1つなのです。