宮城県女川町の小学5年生の男子児童2人が、学校のみんなの活躍と健康を祈り、地元で「獅子振り」と呼ばれる獅子舞いを校内で行なっています。これまでに100回ほど披露していて、躍動感たっぷりの舞いで評判になっています。
獅子振りを舞うのは小学5年生
女川小学校の校長室に、2学期が始まったこの日、獅子が現れました。元気いっぱいの舞いを行ない、校長たちの頭をがぶり。

5年生の鈴木碧虎(あおと)くんと佐藤弥里(いより)くんが披露しました。

女川小 熊谷雅幸校長:
「きょうからがんばろうという気持ちがみなぎって来た」
2人は、下級生への獅子舞いの体験授業を見学したのをきっかけに、今年1月、「女川小獅子振り隊」を結成。先生や学校のみんなを励まそうと、校内での披露を続けています。
佐藤弥里くん:
「活躍と健康を祈ってやりました」
鈴木碧虎くん:
「給食室の前や保健室、校長先生の部屋や教室でやっていた。(全部で)100回超えているかな」
震災後も受け継がれる「獅子振り」
女川町では、無病息災や商売繁盛を願う獅子振りが盛んに行なわれ、東日本大震災で被災した後も各地で受け継がれています。

震災の2年後に生まれた2人も、獅子振りは身近な存在でした。鈴木くんは、「小さいころは獅子が怖かった」そうですが、熱心に取り組んでいた祖父の姿に、次第に憧れるようになりました。

鈴木碧虎くん:
「うちのおじいさんが格好良く獅子振りをしていて、格好いいなと思ったから始めた」

2歳ごろまで、プレハブ仮設住宅で暮らしていた佐藤くん。

精巧な作りの獅子頭に興味を持ち、動画投稿サイト、ユーチューブで獅子の動きを研究しました。

佐藤弥里くん:
「いとこのお父さんが、獅子舞いをやっていて、その動画を見て格好いいな、やりたいなと思ったから始めました」
2人は保育園からの友達
給食の時間。佐藤くんは遠慮がちに食べますが、活発な鈴木くんは何杯もおかわりします。
鈴木碧虎くん:
「(給食が)ご飯の時はマンガ盛りにしている。山みたいになっている」

保育園からの友だちで、今でも大の仲良しの2人。お互いを特別な存在と認め合うからこそ、一緒に獅子振りを続けているのです。
鈴木碧虎くん:
「相棒ですね。最高だしうれしいです」
佐藤弥里くん:
「ふつうに違う人と(獅子振りを)やっても楽しいけど、碧虎とやるともっと楽しい」
名人の称号を持つ2人に4人の「弟子」
「女川小獅子振り隊」で名人の称号を持つ2人は、4人の「弟子」も抱えています。休み時間や放課後には、クラスメートを交えながら指導も行ない、仲間を増やそうと懸命に取り組んでいます。

弟子(1年生):
「弥里と碧虎くんが格好良くて、獅子がうまいので格好いいと思っています」

女川町教委 坂本忠厚教育指導員(笛で協力):
「2人の友情が深まっていくと同時に、日を追うごとに技術的にも進歩をしてそれが学校全体にも活気を与えていい雰囲気になっている」

東京の小学生を招いた交流会でも披露する機会がありました。お囃子に合わせた躍動感たっぷりの舞い。じっとしていられないとばかりに、飛び入り参加をする大人も。厄払いにとここでも頭をがぶり。初めて見たという子どもからは本音も飛び出しました。

東京の小学生:
「めっちゃ怖かった」
「獅子舞いを初めて見て子どもでも出来るんだと思った。もっとみんなに喜んでほしい」
獅子振り名人たちの夢
獅子振り名人たちの思いは広がるばかりです。
鈴木碧虎くん:
「県外に行って獅子振りを見せたい。ステージの上でもやってみたい」
佐藤弥里くん:
「獅子振りをやってみんなを健康にしたいし、良い神様となって悪を追い払ってあげたい」

震災後に生まれた2人の小学生は、これからも被災地を元気にします。

集合写真:
「それではみなさん、あしたからも頑張っぺし」