9月20日から26日は、国が定めた動物愛護週間です。仙台市内のある住宅で38匹ものネコが劣悪な環境で暮らす「多頭飼育崩壊」が起きました。9月16日、仙台市の団体が繁殖し過ぎたネコの保護に着手しました。
多頭飼育崩壊の家
1人の女性が、声をあげました。「一匹確保!」。
「確保できたんですか」との記者の問いかけに、女性は「はい、いま一匹。女の子だと思います、この子は」と答えます。女性が追いかけていたのはネコです。

70代の女性が一人で暮らす仙台市内のとある住宅。アンモニア臭が充満しネコの毛や排泄物などが層になって固まっています。多くのネコが劣悪な環境で暮らす「多頭飼育崩壊」の現場です。
フッセジャパン仙台 阿部文子さん:
「きょうは、明日の手術の子たちを捕まえて、シェルターに運んで、出張で来てくれる先生に手術をしてもらいます。10匹くらい。頑張ります」

ネコの保護活動などをおこなうフッセジャパン仙台の阿部文子(あやこ)さんです。
阿部さんによると、この家のネコは、最初は3匹ほどだったと言います。しかし、避妊・去勢手術をしなかったため、6年間で38匹にまで繁殖し、手が付けられなくなってしまいました。
ネコの捕獲開始
同行した記者が、階段の上の方から視線を感じました。
記者:
「うわぁ、めちゃくちゃ見てますね。すごい見てる。みんな同じ顔ですね」

劣悪な環境に暮らすネコの体内にはウイルスや寄生虫が潜んでいる恐れもあります。獣医師に診察してもらい、避妊・去勢手術を施すため、阿部さんたちはネコの捕獲に踏み切りました。

記者:
「この子(ネコ)はわりと大人しい?」
阿部文子さん:
「そうです、このドジくん(ネコの名前)は…、あっ」

その瞬間、ネコは逃亡してしまいました。
ネコ10匹捕獲成功
記者:
「オスメスで大体何匹くらい?」
阿部文子さん:
「大体半々くらいみたいです。飼い主さんは全部把握していて、一匹一匹に名前もついている。何でこうなっちゃったかな…」
阿部さんたちは素早いネコの動きに悪戦苦闘しながらも、洗濯ネットや網を使い4人がかりでネコを捕まえていきました。

阿部文子さん:
「もう満員じゃん!ちょっと待って、ここに入れたいな。はい、終了です!暑い!」
今回は合わせて10匹の捕獲に成功しました。

阿部文子さん:
「これだけ数を捕まえられるとは思わなかった。手術をして里親さんにつなぐことがこの子たちの最終的な幸せだと私は思っている」
ネコたちは、その日のうちにフッセジャパン仙台の拠点に移されました。
途中で投げ出すわけにはいかない
そして、翌日。見知らぬ場所に来たネコたちはまさに「借りてきた猫」の状態。

フッセジャパン仙台 阿部文子さん:
「ぴょーんって跳んでくるかな。『またかよ、おれまたネット?』みたいな」
この日は獣医師に拠点まで足を運んでもらい、麻酔をかけ、1匹ずつ避妊・去勢手術を施しました。

フッセジャパン仙台 阿部文子さん:
「術後の経過を観察して、検査関係に問題が無ければ、慣れている子から順次譲渡会などで里親さんを探していくことになる」
あの住宅には今も、まだ20匹を超えるネコたちが暮らしています。保護活動の長い道のりはまだまだ続きます。
フッセジャパン仙台 阿部文子さん:
「やったからには途中で投げ出すわけにはいかないし、対するのは命なので。やるしかないな」

阿部さんらのネコの保護はボランティアで行われていて、活動費は賛同者からの支援金で賄われています。集まった支援金は、手術や検査の費用などに充てているということです。

また、阿部さんらの拠点には他にも多くの保護ネコがいるため、フッセジャパン仙台は現在、他の相談の受付を停止しているということです。