宮城県石巻市のイチゴ農家の男性が、ある特技で、周囲の人たちを驚かせています。「みんなを笑顔に」をモットーに、二刀流の活動を続ける男性を取材しました。

イチゴ農家のもう一つの顔

真っ赤に実った大きなイチゴ。石巻市の農家、渡邊一弘さん(35)です。およそ1万本の苗が植えられたハウスで、収穫の時期を迎えた「とちおとめ」を摘み取ります。

イチゴ農家 渡邊一弘さん:
「今の時期、大きいですかね、こんな感じで。ハウスの中は晴れの日が続くとイチゴも甘くなるので今年はかなり良い出来です」

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渡邊さん、両親が営むイチゴ農家の後継ぎですが、ふだんの姿からは想像ができない別の顔も持っていました。

実は渡邊さん、プロのマジシャンとしても活動をしているのです。

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着物を身につけたこの日のステージ。風船を飲み込んだりする不思議なマジックを連発し、会場を湧かせます。

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観客:
「とても楽しく見ました。農家の人がマジックをするのは大したもんだなと」
渡邊一弘さん:
「ずっと静かだった人が、(マジックで)笑顔になって笑ってくれるところを見るとやっていて良かったなと思う」

マジックは「本当の魔法」

人前で始めたきっかけは、東日本大震災でした。避難生活をしていた親類の子どもに、覚えたてのマジックを見せたところ、暗く沈んでいた表情がたちまち笑顔に変わったのです。

渡邊一弘さん:
「(当時)マジック歴は3カ月ぐらいで、その場で見せてあげたらすごく喜んでくれた。その子はその時から笑顔になった。マジックはどんな状況でも笑顔にしてくれる本当の魔法」

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復興支援団体からの依頼で、仮設住宅でも披露しました。被災した人たちを笑顔にするつもりが、励まされることもありました。

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渡邊一弘さん:
「(被災した人たちは)最高に笑顔ですね。もちろんウケなかった時もたくさんあり、挫折しそうになったこともあったが、逆にすごく喜んでくれて次も頑張ろうと元気づけられた時もある」

一弘さんの親も応援

イチゴ農家とマジシャン。二刀流を続ける息子に、両親もエールを送ります。

一弘の父 渡邊理紀雄さん:
「やりたいことをやって、人を楽しませる人生もいいのかなと思う」

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農家マジシャンの最高の瞬間

本格的にマジックを始めて10年。この日、依頼を受けたステージは、角田市で開かれた地域の新年会です。

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60種類以上のレパートリーを持つ渡邊さん。「みんなを笑顔にする魔法」を惜しみなく披露します。

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観客:
「楽しかった。不思議なことができるんだなと思った」

渡邊さん、マジックを一番見せたい人がいます。

渡邊一弘さん:
「客が笑顔になる瞬間、これが一番自分にとってうれしい瞬間。一番見てほしい人たちは、生でマジックを見ることが難しい人たち。都会から離れたまちでマジックを実際に見たことがない人たちにマジックを見せて笑顔にしたい」

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イチゴを食べた人も、マジックを見た人もみんな笑顔に。渡邊さんは、被災地から笑顔の魔法を発信します。

渡邊さんは、大学の就職活動中に名古屋市のマジックショップに立ち寄り、そこで見たのがきっかけで興味を持つようになりました。それから、独学でレパートリーを増やしていき、今ではステージで使う大道具は自分で作るようになりました。現在は月に10回ほどショーをこなすこともあるそうです。今後も、イチゴ農家とマジシャンの二刀流を続けたいと話していました。