今日から二十四節気小暑の末候、鷹乃学習(鷹すなわちわざを習う)に入ります。
今年生まれた幼い鷹が飛ぶことを覚えて空に飛び立つ、という意味です。
ようやく親鳥と同じくらいになった幼鷹が、巣の中で羽ばたきを繰り返しながら近くの木々の枝に飛び移り、少しずつ飛ぶことを覚え巣立ちの準備をしていくのです。
若鷹とは生まれてから1歳までの鷹のことです。やがて独り立ちの時をむかえると力強く飛び立っていきます。

鷹(たか)と鷲(わし)と鳶(とび)、似てるけど違いはなに?

翼を大きく広げて風に乗るように飛んでいる大きな鳥は鷹? 鷲? それとも鳶? そんな疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか? 見た目は似てますね。どこが違うのかはなかなかわかりません。
調べてみますと生物学の分類で鷹はタカ目タカ科。鷲もタカ目タカ科。鳶もタカ目タカ科。あれ? みんな同じ分類なのかしら? それじゃ違いは何?
違いはどうやら大きさのようです。タカ目タカ科の中で比較的大型のものを「鷲」、中・小型のものを「鷹」と古くからこのように呼ぶ慣習が日本にはあったようです。トビは鷹の仲間ですが尾先にくぼみがあるのが特徴ということです。鷲の中には鷹よりも小さなものや、鷹の中にも鷲と同じくらいの大きさのものもありますが、一つの目安にはなりそうです。
大きさが違えばやはりイメージも違いますね。鷲といえば「どう猛なハンター」という感じがしますし、鷹も「鵜の目鷹の目」と抜け目なさそうです。そこへいくと鳶は「ぴーひょろひょろ」と青空をのんびりと飛ぶようすはのどかささえ感じます。この大型の鳥たちは食物連鎖の頂点に立っています。


鷹、といえば強さの象徴ですが実は天敵がいます!

鷹のなかでもクマタカは、凶暴で貪欲な人のおそろしい目つきのたとえ熊鷹眼(くまたかまなこ)にも使われています。そして「森の王者」と呼ばれる強い鷹です。こんな最強の鷹に敵無し! という気がしますが、生物には必ず天敵といって繁殖を阻む力があるのです。さて、こんなに強い鷹を襲うことができるのは何でしょうか?
驚くことにそれは同じ鷹なんです。自分より弱い生まれたばかりのヒナを同じ巣にいるヒナが突き殺したり、親以外の成鳥が襲ってきたりします。もちろん卵やヒナはカラスやその他の動物たちの餌食となってしまう可能性もありますが、なんと鷹同士が喧嘩をして殺し合うというように、鷹は同じ仲間が脅威となるのです。私たち人間がお互いに攻撃しあい争う姿を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
鋭い嘴と足の爪を持ち空中では食物連鎖の頂点に立つ鷹ですが、実は負けてしまうこともあるのです。それはカラスの集団だそうです。カラスは縄張りをもっていますから、そこに入ってきた鷹を追いだそうと仲間を集めるのです。1羽2羽では負けてしまうカラスも数が集まれば、集団の力で鷹はその場から退散せざるを得なくなるということです。弱い者が集まり徒党を組んで強いものに対抗するのは生き物の世界ではどこも同じことなのですね。鷹やカラスの世界が少し身近になりませんか?

鷹はやはり強さのシンボルですが活躍は?

強さのシンボルとして「鷹」は多くのところに使われていると思って調べてみました。どうやら大きい「鷲」が圧倒的に多いようです。ヨーロッパに君臨したハプスブルグ帝国のシンボルが「双頭の鷲」は有名ですね。アメリカ合衆国のシンボルもハクトウワシですし、エジプトやメキシコの国旗にも鷲が使われています。国を表すとなると大空を滑空する鷲の大きさは鳥の王としてふさわしいのでしょう。
世界中でヒットしたハリーポッターシリーズ。みなさんご存じのハリーがホグワーズ魔法学校で暮らす寮の名前が「グリフィンドール」(黄金のグリフィン)です。このグリフィンは上半身が鷲、下半身はライオンの身体をもつ伝説上の生物です。そしてこの寮に住むのは「勇気ある者、勇猛果敢な騎士道」と高潔と勇気のイメージを鷲とライオンに託しています。
どうも「鷲」に一歩引けをとっているようですが、どこかに「鷹」がシンボルのところはないのでしょうか……と思いさがしてみると、ありました「福岡ソフトバンクホークス」です。今年のリーグ戦も頑張っているようで、成績を見てみると現在2位。さて1位は? なんと「東北楽天ゴールデンイーグルス」です。ここでも「鷹」は「鷲」に先を譲っているようです。「頑張れホークス!」と鷹も空から応援しているかもしれませんよ!
昔から大型の鳥を使った狩猟の方法として鷹狩りがありました。アジア大陸に起源があるといわれていますが日本でも古くから行われていたそうです。江戸時代は鷹匠(たかじょう)という職名が幕府、諸藩にあり飼育から調練、鷹狩りを仕切っていました。人間からみたら、その狩猟能力は大変魅力的であったにちがいありません。素早い動作に鋭い目とくちばし、爪を持つ大きな鳥ですが、みごとに飼い慣らし生活に取りいれていたとは素晴らしいと思いませんか?
今年生まれた鷹もいよいよ大空へ飛び立つ準備を始めます。健やかな羽ばたきを祈りましょう。
参考:
「鳥類図鑑」本山 賢司 上田 恵介
ブリタニカ国際大百科事典
日本国語大辞典
「鷹の生態」
※一部内容を加筆・修正しました。