占いの運勢は気にしなくても、自分の誕生日を表す星座を知っている人は多いようです。たとえば9月生まれなら、乙女座か天秤座。「せっかくの誕生日だから、今夜は自分の星座をさがしてみよう♪」なんてロマンチックなことを考える方もいらっしゃるかもしれませんね。ところが! 夜空を見上げても、誕生日の星座は見当らないのです。これはいったいどういうこと⁉︎ そもそも星座って、何のために作られて、全部でいくつあるのでしょうか。調べてみると、星座にはいろいろ複雑な事情が…。

星座は全部で88個!どんな星座があるの?

星座は、いつからあるのでしょう。フランスの有名な「ラスコー洞窟」の壁画には、2万年も前にクロマニョン人が描いた星座が!?というニュースも話題になりました。太古の昔から、人は夜空を見上げ、よく光る星と星とを結んでいたのかもしれませんね。星の動きは、暦のない時代に作物の種まきや刈り入れの時季をはかる大切な目印にもなっていたようです。日本でも、飛鳥時代の頃にはすでに中国から「星宿」が伝わっていたといい、「キトラ古墳」の内部に天文図も発見されています。西洋の星座が用いられるようになったのは文明開化以降のことだそうです。
西洋の星座は、古代メソポタミア(現在のイラク付近)で考えられ世界に広まった、といわれています。古代エジプトでは、農業に欠かせないナイル川の氾濫時期を星で知り、独自の星座も作られていたそうです。古代ギリシャでは、神話と結びついてたくさんの星座が空にあげられました。ロマンあふれる星座物語は、ここからはじまったのですね! また、2世紀には天文学者プトレマイオスが、当時の星座を48個に大整理。なんと1500年もの間変わることなく世界に伝えられ、現在もそのほとんどの星座が用いられています。
近世になると、新しい星座がつぎつぎと追加されていきました。なぜなら、望遠鏡などの発明により「今まで暗くて見えなかったけど、この方角にもイイ星あった!」と気づいたり、大航海時代がやってきたりしたから…。船乗りたちは、南半球で初めて出会う星々に名前をつけ、その輝きを頼りに旅をしたのですね。こうして天文学界では新しい星座作りが流行しました。ところが、あまりに盛んに星座が作られたため、いつしか夜空は混乱状態に。区画整理が必要となり、1930年の国際天文学連合で88個の星座が制定される運びとなったのです。ちなみに、各星座は「範囲(境界線)」が決められているだけで、正式な「つなぎかた」や「構図」などは決められていないそうです。
88個のなかには、星占いでおなじみの12星座やギリシャ神話に登場する神々をはじめ、大航海時代を思わせる「羅針盤」「六分儀(ろくぶんぎ)」、南半球の香りがする「南十字」や「カメレオン」「かじき」、当時の最新機器「顕微鏡」「時計」「ポンプ」など個性さまざま! 一覧表を眺めていると、星を名付けた人の興奮が時を越えて伝わってくるようですね。
※星座名の一覧はこちら(国立天文台HP)


誕生日には星座が見られない!? その理由とは

星占いに使われる12星座は、88個の星座の中で最初に作られた星座です。たとえば8月23日〜9月22日に生まれたなら、星占いでは「おとめ座」。今日のおとめ座の運勢は気にしないという人も、夜空に輝くおとめ座をみつけたら、きっと感動することでしょう。ところが、誕生日の星空をさがしても、自分の星座が見当たらない…!? これはいったいどうしてなのでしょうか。
じつは誕生日の夜には、星座は太陽と一緒に沈んでいたのです。太陽は1年かけて星空の中を通り、また同じ位置に戻ってきます。その通り道(黄道)に位置する星を結んで作られたのが「黄道12星座」。誕生日の星座とは、「自分が生まれた日に太陽が輝く星座」という意味です。ということは…夜空で見たいと思っても、太陽の方角にいるから見ることができない!のですね。自分の星座は、だいたい誕生日から4ヵ月くらい前が見頃となるようです。おとめ座なら春。誕生日の夜空で見られないのは残念ですが、「今頃お日様とともにいるんだなあ」と思えば、なんだか誇らしい気分にも?
ところがところが。いま太陽のおそばにいるのは、おとめ座ではないらしいのです…。
星座は季節の移り変わりや種まき・刈り入れ時季の目印に使われてきましたが、それと同時に、天の星や惑星が国の運命を握っているとも信じられていました。占星術がおこなわれるようになった約2千年前と比べて、地球の回転軸の向きはだんだん変化しています。その結果、なんと現在では自分の誕生日に輝くのは「1つ前の星座」だというのです。隣り合わせの星座って、性格イメージが真逆なこともしばしばですよね…自分が「繊細で几帳面な乙女」だと思って生きてきたのに、実際の星では「勇猛大胆な獅子」だったとは!? …そんなふうに、占い的にはちょっと複雑な状況になっています。
ただ、占星術には黄道を30度ずつ12等分した「黄道12宮」という区分が使われています(本来の星座を区分にすると大きさが違ってしまうため)。現在の星占いは、実際の星空にある星座の動きではなく「星座宮」を使って計算しているのだそうです。な、なるほど…星占いの星座と、実際に夜空で輝いている星座は別物、といえるのかもしれませんね。とはいえ、「自分が生まれたときに太陽が輝いていた」という星の存在って、特別に愛おしく思えてしまいませんか?
※「黄道12宮」の詳細はこちら(国立天文台HP)

王族が勢ぞろい!秋の夜空を見上げてみよう

夜空には線が引かれているわけでも、絵が描かれているわけでもないというのに。季節ごとに見える星の連なりに、誰もが同じ形を思い浮かべることができるなんて! 『〇〇座流星群』と名付けられて流れ星がみつけやすくなるのは、88星座で決められた「星の住所」で探しあてられるおかげなのですね。秋の夜空は、「アンドロメダ」「カシオペヤ」「ケフェウス」「ペルセウス」など、古代エチオピア王家物語の登場人物が勢ぞろい! 晴れた夜には空を見上げて、星々の物語に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

<参考サイト・文献>
国立天文台HP
『星座の見つけ方と神話がわかる 星空図鑑』永田美絵(成美堂出版)
『星を楽しむ 星座の見つけかた』大野裕明・榎本 司(誠文堂新光社)