夏になると食べたくなるところてん。その歴史は古く、奈良時代〜平安時代初期に、大陸から日本に伝わったとされています。
食感はツルッ、見た目は透明で涼しげなところてんですが、あなたは何をかけて食べますか? 酢じょうゆが一般的だと思っている人が多いと思いますが、実はそれ以外のものをかけて食べる地域がけっこうあるようです。

酢じょうゆ+からしが一般的。白ゴマ、青ノリ、刻みノリをかけたり

ところてんにかけるものといえば、酢じょうゆが一般的です。からしを添えたり、白ゴマをかけたりなど、アレンジも可能。
でも、1000年以上も前に京都や奈良に伝わったところてんは、もともとはからし酢をかけて食べられていたそうです。
ところが、江戸時代に千葉などでしょう油づくりがはじまると、しょう油味のところてんが登場。それとともに、酢を使う江戸前寿司なども広まって酢の人気も上昇。そこで関東では、しょう油と酢を使って、ところてんを食べるようになったといわれています。
ただ、宮城県あたりだと、酢じょうゆに砂糖を加えて食べたり、秋田県では生姜じょうゆで食べたりするようですが、いずれにせよ、関西以外では、ところてんは“甘いもの”というスタンスではなく、しょう油をベースにした「おかず」的なもののようです。


関西では黒蜜をかける。きなこもかけて、葛きりのように食べる

関西出身の人に、ところてんに何をかけて食べるかをたずねると、ほとんどの人が黒蜜と答えるのではないでしょうか。しかも、黒蜜のほかにきなこをかけたりして、まるで葛きりかわらび餅のような、和菓子といった扱いです。関東の人からしたら、ちょっと想像がつかない味の組み合わせかもしれません。
奈良〜平安時代、貴族の間では、大陸から輸入された砂糖が流行していました。しかし、庶民に砂糖が出回るようになったのは、江戸時代の中期以降。当時、砂糖はまだまだ高価な品物で、薬としても扱われていました。大阪には薬問屋が集中しており、庶民にも砂糖を使った甘味文化が根づいたようです。また、関西では茶の湯が発達していたため、菓子などの甘味が人々に広まっていました。さらに、琉球から黒砂糖が運ばれ、白い砂糖よりも安価な黒砂糖を使った菓子類が作られるようになり、関西ではところてんに黒蜜がかけられるようになったのでは、といわれています。

とろ〜り黒蜜。
とろ〜り黒蜜。

四国ではだし汁。おろし生姜をのせて、冷やし麺のように食べることも

酢じょうゆの関東、黒蜜の関西。それ以外の地域を見てみると、四国では、ところてんにだし汁や麺つゆをかけて、冷やし麺のようにして食べる地域もあるようです。
特に、カツオ漁が盛んな高知では、カツオだしをきかせた麺つゆに、おろし生姜やあさつきなどをのせて食べます。
関西では黒蜜をかけて甘いものとして食べられるところてんですが、四国では麺つゆをかけて、まるで冷たい麺類のようにして食べられているようです。

めんつゆなどをかけて、まるで冷やし麺。
めんつゆなどをかけて、まるで冷やし麺。

参考
日本経済新聞2014年6月25日 :ところてん、関西ではなぜ黒蜜?
伊豆河童:とこマップ
マイ大阪ガス:炎の探偵社「黒蜜? それとも酢じょうゆ? 東西で異なるところてんの食べ方」
夏になるとツルツルッと食べたくなるところてん。そののどごしは、むし暑くて食欲がない時の助けにもなるといえるでしょう。ところてんそのものには、強い味はありませんが、同じところてんでも、食卓のおかずになったり、甘いものになったりと、地域によって食べ方が様々。とても懐が深い食材といえるのではないでしょうか。あなたの住む地域では、ところてんに何をかけて食べますか?

何をかけて食べる?
何をかけて食べる?