100周年を迎えるセンターコートで
トロフィーを掲げるのは誰になるか!?

6月27日〜7月10日まで今年で第135回大会となる「ウィンブルドン」が開催される。
テニスファンのみならず、多くの人が知っている「ウィンブルドン」(正式には「ザ・チャンピオンシップス ウィンブルドン」)。その歴史が始まったのは1877年7月9日。AELTC(オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ)が、誰でも参加ができるアマチュア大会を開いたというのが始まりだ。“クローケー”という言葉が名前に入っているのは、元はクロケット用に作られたクラブだから。1869年に設立され、その後、テニスの人気が高まったことで“テニスのウィンブルドン”になったわけだ。



その設立以来、スター選手たちによって数々の名勝負が繰り広げられてきたウィンブルドン。2022年大会は、センターコート100周年という記念すべき年になる。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻もあって、ウィンブルドンはロシア人、ベラルーシ人選手のエントリー拒否を発表。これを受けて、男女のテニス統括団体であるATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)は、今大会でポイント付与をしないと決定。特別な年の大会は、異例な形での開催となる。

“エキジビション化”とも形容される今大会。ただ、2013年大会、2016年大会覇者のアンディ・マレー(イギリス/世界ランク51位)は、「ウィンブルドンのセンターコートで観戦するほとんどの人は、3回戦を勝った選手が何ポイントもらえるかなんて知らないし、気にも留めていないだろう。それでも、誰が勝ったかは覚えているはず。ウィンブルドンは決してエキジビションではないし、エキジビションのように感じることもないだろう」と、大事なのは誰が勝ったかでポイントではないし、ウィンブルドンの価値が下がることはないと反論している。ロシア人、ベラルーシ人選手の不在は残念ではあるが、蓋を開けてみれば、今大会も豪華なメンバーがそろったと言ってもいい。より素晴らしい戦いが見られることを期待したい。



前回大会優勝のジョコビッチ(写真右)とベレッティーニ(写真左)


<男子シングルス>
男子本命は過去6度優勝の
ジョコビッチと見るべきか!?

では今大会、優勝するのは誰になるのか? 男子シングルスの優勝候補筆頭は、昨年の王者で第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア/同3位)だろう。2018年大会、2019年大会、2021年大会と2020年大会中止を挟んで3大会連続優勝中で過去6度優勝とウィンブルドンの戦い方は熟知している。

ATPマスターズ1000「BNLイタリア国際」で優勝して乗り込んだ全仏オープンでは、準々決勝で“クレーキング”ラファエル・ナダル(スペイン/同4位)と激戦を繰り広げて敗戦。もし、そこをクリアしていたら大会連覇というのも十分ありえたはず。出場大会数は少ないものの、プレーレベルは維持しており、今大会でも有力と言える。



優勝すれば年間グランドスラムに王手となるナダル


そのジョコビッチを全仏オープンで下したナダルは、第2シード。全豪オープンと全仏オープンを制し、今回ウィンブルドンを制覇することになれば、1968年のオープン化以降では、ロッド・レーバー(オーストラリア)が1969年に達成して以来2人目となる年間グランドスラムの可能性も出てくる。

気になるのは、左足のコンディションだ。全仏オープンでは、主治医を連れて臨み、注射をして麻痺をさせながらプレー。14度目のタイトル獲得し、男子では史上最多22度目のグランドスラム優勝を成し遂げた。大会後、スペイン・バルセロナで高周波を当てる治療を行なって“良い反応が出ている”と明らかにしているが、優勝までには5セットマッチを7試合乗り越える必要がある。もし、プレーレベルをキープできるならば、2008年、2010年大会以来の頂点も見えてくる。

もう一人、第8シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア/同11位)も優勝候補にあげるべきだろう。前回大会準優勝のベレッティーニは、今年3月下旬に右腕を痛めて手術。クレーコート・シーズンを休養することになったが、復帰戦の「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト/ATP250)でいきなり優勝を果たすと、翌週開催の「シンチ選手権」(イギリス・ロンドン/ATP500)でも連覇と比の打ちどころがないプレーを見せている。ビッグサーブ、爆発力あるフォアハンドは健在で、ジョコビッチに対して昨年の借りを返したいという思いも強いはずだ。共に順調に勝ち上がると、ベレッティーニは準決勝でナダルと対戦することになる。

そのほか、昨年、そのベレッティーニに準決勝で敗れている第7シードのフベルト・フルカチュ(ポーランド/同10位)や同じくベスト4で芝を得意とする第13シード、デニス・シャポバロフ(カナダ/同16位)、2017年準優勝者で全仏オープンでもベスト4に入るなど復調を見せている第14シードのマリン・チリッチ(クロアチア)はおもしろい存在になるはず。

今季成長著しい第5シードのカルロス・アルカラス(スペイン/同7位)は、芝での経験は、昨年の2試合(昨年2回戦敗退)だけと未知数だ。ツアー屈指のフットワークを持っているだけに、うまく大会に入ることができれば、台風の目となるかもしれない。そして、ここに来て調子をあげているニック・キリオス(オーストラリア/同45位)も大会を盛り上げそうな予感がする。

そのほか、クレーシーズンのほとんどを欠場して芝シーズンに向けてトレーニングを積んできたアンディ・マレー(イギリス/同51位)が、どれだけ勝ち進むかも注目したい。6月6日から開催されたATP250「ボス・オープン」(ドイツ・シュツットガルト)で準優勝となったマレーだが、その決勝で腹部を負傷。同21日に「治ってきているが、まだ完璧ではない。(腹部の問題で)練習できないショットもあった」と語っており、まずは大会に出場できるのかが気がかりではある。だが、グランドスラム制覇やロンドン五輪金メダル獲得に貢献したコーチのイワン・レンドル氏と共にトレーニングを積んできた成果をぜひとも見たいところだ。

もちろん、日本人2選手も注目。西岡良仁(ミキハウス/同101位)はエミル・ルースブオリ(フィンランド/同48位)と、ダニエル太郎(エイブル/同123位)は第31シードのセバスチャン・バエズ(アルゼンチン/同36位)とそれぞれ1回戦を戦う。まずは初戦を勝ち上がって、勢いつけてほしいところである。


<女子シングルス>
混迷の女子、35連勝中の
シフォンテクを止められるのは?

過去5大会、すべて異なる選手がチャンピオンとなっている混迷の女子シングルス。その本命となるのは第1シード、イガ・シフォンテク(ポーランド/同1位)だ。全仏オープンでは、2年ぶり2度目の優勝を果たし、2月のWTA1000「カタール大会」から負けなしの35連勝中と無敵の強さを発揮中。ウィンブルドンは今回が出場3度目で、ベストリザルトは昨年のベスト16と未知数な部分はあるものの、2018年にウィンブルドンジュニアを制した実績はある。連勝記録を伸ばして優勝となるか? それとも倒す選手が現れるのだろうか?



35連勝中のシフォンテク、ウィンブルドン初優勝となるか?


対抗馬は誰になるのか? 前回準優勝で第6シードのカロリーナ・プリシコワ(チェコ/同7位)は出場するものの、前哨戦では結果を出せず。2019年大会女王で第16シードのシモーナ・ハレプ(ルーマニア/同19位)、2018年大会女王で第15シードのアンゲリーク・ケルバー(ドイツ/同18位)、2017年大会女王で第9シードのガルビネ・ムグルザ(スペイン/同10位)と歴代チャンピオンも出場となるが、今季の戦いぶりを見る限り、7試合を勝ち抜く力があるかというと疑問符が付いてしまう。

そういう意味では、全仏オープンで準優勝となった第11シードのココ・ガウフ(アメリカ/同12位)やこの6月に自己最高ランキングを更新した第2シードのアネット・コンタベイト(エストニア/同2位)、第3シードのオンス・ジャバー(チュニジア/同3位)といった選手はおもしろい存在になりそうだ。



全仏オープン準優勝のガウフはおもしろい存在


技巧派ジャバーに関しては、芝で効果的なバックハンドスライスも得意としている。それだけにもっと推したいところだが、今週開催のWTA500「ロスシー国際イーストボーン」(イギリス・イーストボーン)で右ヒザを痛めてダブルスを欠場というニュースが入ってきている。この問題が大きなものでなければいいのだが。

そのジャバーとダブルスを組んでいたのが、ウィンブルドンで過去7度優勝のセリーナ・ウイリアムズ(アメリカ/同1204位)。昨年のウィンブルドン以来から1年ぶりのシングルス出場となる。前哨戦のダブルスでは好プレーも見られたものの、40歳で迎えるグランドスラムで勝ち上がるのは決して簡単ではないはずだ。

地元勢で注目は、19歳のUSオープン女王、第10シードのエマ・ラドゥカヌ(イギリス/同11位)。前回大会、ワイルドカード(主催者推薦)でグランドスラムデビューを果たすと、ベスト16に進出。アイラ・トムヤノビッチ(オーストラリア)と対戦したものの、第2セット途中で過呼吸となって途中棄権と悔しい幕切れとなっている。ケガばかりでなかなか良い状態が作れていない今季だが、昨年きっかけを掴んだ今大会で仕切り直したいところだろう。

日本人女子では、土居美咲(ミキハウス/同100位)が第33シードのジャン・シューアイ(中国/同41位)と、予選を勝ち抜き、初のグランドスラム本戦を迎える本玉真唯(島津製作所/同138位)がクララ・タウソン(デンマーク/同54位)と1回戦を戦う。両者共に勝ち上がりを祈りたい。


■ウィンブルドン2022 [THE CHAMPIONSHIP WIMBLEDON]
・大会日程/2022年6月27日(月)〜7月10日(日)
・開催地/イギリス・ウィンブルドン:オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(時差8時間)
・賞金総額/4035万ポンド(66億6160万円)
・男女シングルス優勝賞金/200万ポンド(3億3030万円)
・サーフェス/グラス(芝)コート
・TV中継・放送予定/WOWOW、NHK
・男女シングルス日程(予定)/
1回戦:6月27日(月)〜28日(火)
2回戦:6月29日(水)〜30日(木)
3回戦:7月1日(金)〜2日(土)
4回戦:7月3日(日)〜4日(月)
準々決勝:7月5日(火)〜6日(水)
女子準決勝:7月7日(木)
男子準決勝:7月8日(金)
女子決勝:7月9日(土)
男子決勝:7月10日(日)




著者:Tennis Classic 編集部