クロアチア・ドブロブニクで行われる「ダブボウル」
大会の基本的情報や参加するメリット、近隣情報などを紹介!

「スムリクバボウル」に続き、クロアチアで開催されるジュニアの世界大会「ダブボウル(Dub Bowl)」。毎年7月に開催される同大会には(今年は7月11日〜17日に実施)、大会が開催されるようになった2014年以来、世界65ヶ国から1,000人以上のジュニアたちが優勝を目指し集まっている。そこで、前後編にわたって「ダブボウル」の概要や歴史、大会中に感じた外国人選手と日本人選手のプレーの違いなどについて紹介する。



U11&U13の世界大会「ダブボウル」の歴史と概要



過去の優勝者が会場内に掲示されている

「ダブボウル」は2014年からクロアチアのドブロブニクで開催されるようになった、比較的新しい大会だ。とはいえ、世界中から選手が集まる貴重な大会で、6月下旬に同じくクロアチアで開催される「スムリクバボウル」と併せて参加する選手も多い。特に、アジアの国々から来ている選手は“せっかくクロアチアまで行くのだから”ということで、どちらの大会にも参加しているケースが見られた。過去の出場者としては、ラファ・ナダル・アカデミーに所属し、17歳にして世界ランキング317位をマークしたフィリピンの女子選手、アレックス・イーラが優勝している。

〈「ダブボウル」大会公式ホームページ〉
https://tenisdubrovnik.com/dubrovnik-dub-bowl/

大会の参加費用は、1選手につき100ユーロ(約1万4,000円)。ドブロブニク・テニス・センターとドブロブニク・テニス・クラブの2会場で行われ、参加選手は総当たり戦で2〜3試合、本戦あるいはコンソレーショントーナメントで最低1試合プレーすることができる。ダブルス(トーナメント形式)に参加する場合は、さらに試合数が増える。期間は月曜日から日曜日までの7日間で、その間できるだけ長く選手がプレーし続けられるように工夫されている。


エントリーを済ませるとTシャツなどがもらえる。選手カードは常に携帯しておかなければならない

大会期間中は、初日に行われるウェルカムパーティーやムービーナイト(映画鑑賞会)、ドブロブニク旧市街への訪問など、さまざまなイベントが用意されている。日によって、ピザやドーナツが振る舞われることもあった。


総当たり戦が終了した日に旧市街で行われたイベントの様子。翌日から始まる本戦とコンソレーションに備え、注意事項の説明などが行われた

大会を主催するパスコ氏は元テニス選手で、その後コーチに転身したという。大会期間中は、パスコ氏の家族が保有するアパートに滞在することも可能。希望する場合は、大会にエントリーする際に併せて問い合わせよう。

〈パスコ氏について〉
https://tenisdubrovnik.com/others/coaches/pasko-barovic/

参加選手の国籍はさまざま

年齢のカテゴリーについては、男女別で11歳以下と13歳以下がある。また、それぞれシングルスとダブルスの試合が行われる。クロアチアやセルビア、マケドニアなど開催地国や近辺の国から訪れる選手が多いが、ニュージーランドや香港からの選手も参加していた。

日本からも「キッズテニス」が主催するサマーキャンプの一環で「ダブボウル」に参加している選手がいた。ニューヨーク在住の日本人も参加するなど、選手のバックグラウンドの多様性が魅力の大会だ。ダブルスでは国籍を問わず、試合相手や会場で出会った選手とパートナーになるなど、選手同士の交流が盛んに行われていた。


テニスを通じてすぐに友達ができるのも魅力。写真右の選手はロジャー・フェデラー(スイス)のコーチの名を冠したリュビチッチ・テニス・アカデミーでトレーニングしているオーストラリア人選手

「ダブボウル」に出場するメリット

有名な国際大会であるとはいえ、日本からは決して近いとは言えない場所、クロアチアで行われる「ダブボウル」。日本在住のジュニアにとっては気軽に参加できる大会というものでもないだろう。そこで「ダブボウル」に出場するメリットを紹介したい。

●日本では希少なクレーコートでの試合を経験できる
日本はもちろん、アジアにおいてクレーコートでの試合はそれほど多くない。ヨーロッパで試合をするメリットの一つがクレーコートでの試合を体験できることだろう。

クレーコートでは高くボールが弾む反面、ハードコートのように速いボールでウィナーを取ることが難しくなる。そのため、相手をコートの外に追い出すショットやヘビートップスピン、前に出て相手の時間を奪うプレーなどを含めた戦略が必要になる。また、ハードコートや砂入り人工芝(オムニ)コートとは異なるフットワークも必要となるため、将来、国際的なレベルで活躍したい選手にとっては貴重な体験となるだろう。


会場の隅に置かれた優勝トロフィー

●身長が非常に高い選手と試合をすることができる
平均身長が高いことで知られるクロアチア人。周辺の国々の選手も同様であるため、参加者の中には、U13カテゴリーですでに170cmを越えるような身長の選手も存在する。アジアにおいては、同年代のカテゴリーでこれほど身長差がある選手と真剣勝負をする機会はそう多くないだろう。世界を目指す選手にとって、早い段階で彼らの高い打点からのサーブやパワーのあるボールを返球する経験を積むことは、非常に有意義であると言える。

●優勝者はIMGでのトレーニングが無料に
優勝者にはさまざまな特典が用意されている。IMGでの練習を無料で受けることができる権利や「ビディバドゥ(BIDI BADU)」のウェア、そしてU11優勝者にはアメリカで行われるジュニア世界大会「リトル・モー(Little Mo)」の、U13優勝者にはフランスで行われるU14世界最高峰のジュニア大会「プチザス(Les Petits As)」へのワイルドカードなどが与えられる。

●ヨネックスの担当者も試合観戦
ヨネックスの担当者が試合を見に訪れており、優勝者はヨネックスとの契約が可能だ。「スムリクバボウル」や「ダブボウル」など有名な国際大会に出場すると、スポンサーと知り合う機会を得ることもできる。特に、ヨネックスは大坂なおみ(フリー/世界ランキング40位)をはじめキャスパー・ルード(ノルウェー/同6位)やニック・キリオス(オーストラリア/同47位)ら多くのトップ選手と契約を結んでいる。選手に好まれる品質もさることながら、ヨネックス側の選手を見る目も確かなようだ。

●開催地自体が魅力的な観光地
クロアチアのドブロブニクは、『魔女の宅急便』のモデルとなった都市の一つであると言われており、アドリア海の美しさを堪能できる素晴らしい町だ。アメリカのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の舞台となったロクルム島にもドブロブニク市内から半日で行くことができる。

とはいえ、アジアから行くには遠く、この大会だけ出場するために訪れるのはなかなか難しいだろう。そのため、同大会に出場する選手の多くが、6月末に同じくクロアチアで開催される「スムリクバボウル」と併せてスケジュールを組んでいる。


会場のドブロブニク・テニス・センターから一番近いベルビュー・ビーチ。徒歩5分の距離にあるので、多くの選手が試合や練習後に訪れていた


澄んだ海で泳ぐことで、試合で疲れた体をクールダウンできる

練習コートについて

ドブロブニク市内にはテニスコートが2ヶ所しかない。次に近いのは空港近くにあるテニスコートだが、「ダブボウル」が行われる市内の会場から車で約30分、料金はUberで片道170クーナ(約3,160円)近くかかる。

大会が開始してからは練習コートが朝と夕方に無料で開放されるため問題ないのだが、大会前に早めに到着した場合、多くの選手が練習場所を確保しようとするため混雑して、なかなかコートの予約が取れない。大会が行われる会場で練習したい場合は早めに主催者に連絡を取り、現地で行われるグループレッスンや、所属するコーチとのプライベートレッスンをお願いするなどして練習時間を確保するようにしたい。


ドブロブニク・テニス・センターとともに会場として使用されるドブロブニク・テニス・クラブ

会場内について

●カフェでは食事は提供されていない!
会場内にはカフェがあり、飲み物やアイスクリームを購入することができる。コートの予約やボールの購入もこのカフェで済ませることができる。飲み物は250mlのボトルで15クーナ(約280円)。コーヒーの自動販売機もカフェ内に設置されている。ただ、このカフェでは食事を提供していないため、ランチなどは各自で持参する必要がある。


会場内にあるカフェ。コートの予約やボールの購入ができる

●ストリンガーが常駐
大会期間中、メイン会場となるドブロブニク・テニス・センターにはストリンガーが常駐している。ストリングを持参する場合、ラケット1本につき10ユーロ(約1,400円)。ストリングを持参しない場合は20ユーロ(約2,800円)となる。張り替えにかかる時間は、大体1時間から2時間程度。試合が近い場合は最短20分で仕上げることも可能なようだ。ラケットを多く持参していない遠方から来る選手にとっては非常にありがたい。

旧市街にある教会でドロー抽選会が行われる
旧市街にある教会でドロー抽選会が行われる

以上、前編では「ダブボウル」の大会概要や大会へ参加するメリットなどを紹介した。次の後編では、2022年大会で活躍した日本人選手や外国人選手のプレーの特徴、近隣のレストランや宿泊施設などについてレポートする。〈後編に続く〉

著者:山根ゆずか