国枝慎吾をサポートする小野誠佳コーチ

USオープン車いすテニス男子シングルス、第1シードの国枝慎吾(ユニクロ/世界ランク2位)は決勝に進出。年間グランドスラムがかかった試合に挑んだものの、アルフィー・ヒュウェット(イギリス/同1位)に惜敗。昨年の借りを返された結果となった。その国枝のコーチとしてサポートしていたのが、小野誠佳コーチ。チーム入りしてから1年という今の思いを聞いてみた。



Q.惜しくも準優勝となりました。

「いろいろな要素がありますが、戦略的に相手が一歩上でした。ヒュウェット選手はフォアハンドもバックハンド共に調子が良くサーブもしっかり入り、ポイント奪取率も良かったです。ミスが全然出なかったので、こんなに入ることがあるのか? と本当にびっくりしていました。こちらも色々とやったのですが、相手は外さなかったですね。(出だしが良く)行けるかな? と思ったのですが相手がそれ以上に良かったです。

対策はいくつかありました。それ以上に相手がすごかった。あそこまでいいプレーをされてしまっては、どうすることもできなかったですね。今大会は年間グランドスラムがかかった大会で、生涯グランドスラムがかかったウィンブルドンと同じような緊張感の中で迎えた試合でした」

Q.試合中のアイコンタクトやポイント間の掛け声からも国枝選手の小野コーチに対する信頼が伺えました。

「信頼してもらえてるのはすごくありがたいですね。少しでも力になれればと毎回思ってます。国枝選手はすごいオープンマインドで何でも受け入れて試してみて、という感じなので選手としてはもちろん、人間としても、本当に素晴らしい方だなと思います」

Q.コーチに就くきっかけは何だったのでしょうか?

「まず岩見亮コーチが2018年から務められていて、契約終了のタイミングで引き継いで欲しいとお話をいただきました。僕自身、国枝選手がよく練習をしているTTC(吉田記念センター)でお会いしていましたが、車いすテニスのコーチングはやっていなかったので一から勉強して始めてみたという感じです」

Q.若い世代の台頭もありますが、まだまだ国枝選手には第一線で頑張っていただきたいなと思います。

「16歳の小田凱人(東海理化/同5位)など若手も伸びて来ています。だからこそ、国枝選手がずっと戦っていけるようなサポートをしたいと思います」

Q.車いすテニスの魅力について教えてください。

「昨年の12月から国枝選手のコーチを始め、深く実際に生で試合を見るとすごくおもしろいんです。車いすテニスのおもしろさを色々な方に知っていただきたいなと思います。もちろん健常者のテニスのほうが全体的にスピードが速いですが、車いすテニスは2バウンドまでOKで拾える範囲が広くあれだけ動いて、拾ってというところは見ていておもしろいはずです。あとは見る機会だと思うので、グランドスラムなどの車いすテニスの大会で見てもらえる機会が増えればいいなと思います」

Q.チームの中では、どんな話しをするのでしょうか。

「テニスのことも話したりしますが日常会話とかが多いですね」

Q.小野コーチから見て、国枝選手はどんな方でしょうか?

「本当に尊敬出来てカッコいい人です。オンコートオフコートともに素晴らしい人だと思います」

Q.少し話がそれますが、車いすテニスに携わっている中で日本テニスはどう見えていますか?

「僕自身アメリカで育っていて、錦織圭(ユニクロ/同740位)選手や大坂なおみ(フリー/同48位)選手の活躍を見て盛り上がりを感じていました。だから、熱が冷めない内に次の選手がどんどん出てきてくれたらいいな、と思います。

日本人選手の場合、全ショットが上手い。サーブやフォアハンド、バックハンド、すべてに欠点はないけれど、逆に秀でたショットが少ないのかなと思います。体格差もありますが、そういった部分で海外と差があるのかなと感じる部分もあります。

それでも、錦織選手や西岡良仁(ミキハウス/同54位)選手も身長があるわけではない。戦略を活かすことで、あれだけの結果を出しているわけですから、人種、体格関係なく、勝てるチャンスはあると思っています」

Q.最後に、小野さんのテニスコーチとしての今後の展望を教えてください

「まず車いすテニスに携わる機会をいただきました。引き続き国枝選手をサポートしながら、健常者のプロ選手もコーチングしているので、そちらの方もグランドスラムに出られるレベルに強化できたらいいなと思います」

著者:知花泰三