2017年ウィンブルドン
記録ずくめの優勝を果たし、“芝の王者”復活!

9月23日、イギリス・ロンドンにて開催されたレーバーカップを最後に現役引退したロジャー・フェデラー(スイス)。フェデラーがこれまで達成したグランドスラム優勝20回(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を、当時の写真とともに振り返る。

※『テニスクラシック・ブレーク』2017年9月号に掲載したものを再編集した記事になります



前年(2016年)のウィンブルドン準決勝でヒザのケガを負い、残りのシーズンを治療と休養のためにすべて欠場。2017年シーズンに向けて準備してきたフェデラーは、いざ新シーズンが始まると最初のグランドスラムである全豪オープンでいきなり優勝し、その後もさらに3大会(ATPマスターズ1000インディアンウェルズ大会、ATPマスターズ1000マイアミ大会、ATP500ハレ大会)を制するなど、復活を強烈にアピールしていた。そして、ウィンブルドンに焦点を当てクレーシーズンをスキップし、満を持して大会に登場した。

そうしたフェデラーへの期待が高まる中、このウィンブルドンではトップシードのアンディ・マレー(イギリス)と第2シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)がそれぞれ準々決勝で敗退。また直近の全仏オープンを制し、男子単独2位となる14個目のグランドスラム・タイトルを獲得した第4シードのラファエル・ナダル(スペイン)も4回戦負けを喫するなど、“ビッグ4”のうち3人が準決勝の前に姿を消す展開に。その一方で、フェデラーはすべての試合をストレートで勝ち進み、圧倒的な強さで決勝に進出することとなった。

決勝戦で対峙したのは、抜群の仕上がりで勝ち上がってきた第7シードのマリン・チリッチ(クロアチア)。試合は第1セット序盤、切迫した展開を見せるも、フェデラーが第5ゲームでブレークに成功。すると、このあたりからチリッチの動きが悪くなっていき、第1セットはフェデラーが6-3で奪取する。続く第2セットの第2ゲーム、ここでも早々にフェデラーがブレークし、次の自身のサービスゲームをキープして3-0とリードすると、このエンドチェンジで自分のベンチに戻ったチリッチが急に泣き出すハプニングが発生した。

タオルを頭からかぶって、涙を流すチリッチ。それは、準決勝から悪化した左足裏の水膨れがさらに悪化し、ベストなプレーができないことへの涙だった。「この数ヶ月、どれだけ準備してきたことか。チームに対しても申し訳なかった」「私のテニスキャリアの中で、こんな大事な場面で最高のテニスができないことがわかったという感情だった」と試合後に話したチリッチ。トレーナーとドクターが呼ばれ、彼らから言葉をかけられた後、何とかチリッチはコートに戻ったのだが、そうした状況でもフェデラーは「僕はただ、自分のゲームに集中し、プレーを続けるだけ。そう言い聞かせていたよ」と冷静さを失わなかった。

その言葉どおり、フェデラーはその後も完璧なプレーを続け、第2セットを6-1で取ると、第3セットも6-4で奪い、結局3-0で勝利。5年ぶりにウィンブルドンのタイトルを手にした。マッチポイントでの自身のサーブがセンターに突き刺さるや、目に涙を湛えながら両手を何度も高く突き上げ、ベンチに戻ると感極まり、むせび泣いたフェデラー。終わってみれば、1回戦から決勝まで1セットも落とすことなく、すべてストレート勝ちで優勝。1976年のビヨン・ボルグ(スウェーデン)さん以来、史上2人目の快挙となった。また35歳での優勝は、1975年に31歳で優勝したアーサー・アッシュ(アメリカ)さんを抜く史上最年長優勝。さらに、単独最多となるウィンブルドン8度目のタイトル、そして自身が持つ記録を塗り替えるグランドスラム19度目のタイトル獲得と、記録ずくめでの優勝を成し遂げた。

「ここでプレーすることは夢なんだ。来年も帰ってきて連覇を狙いたい」と試合後に語っていたフェデラー。35歳にして失セット0の完全優勝という、あらためて“芝の王者”として強さを見せつけた大会だった。

●2017年ウィンブルドンでフェデラーが達成した記録
・ウィンブルドン単独最多8度目の優勝
・1976年のビヨン・ボルグ以来、史上2人目となる失セット0の完全優勝
・1975年のアーサー・アッシュ(31歳)を抜く、史上最年長優勝(35歳)
・グランドスラム・タイトル獲得数は男子最多の19に更新
※上記の記録のうち、グランドスラム・タイトル獲得数のみ記録が破られている(2022年現在ナダルが22、ジョコビッチが21のタイトルを保持しており、フェデラーは3番目)

【2017年ウィンブルドン/フェデラーの試合結果】
決勝/対M.チリッチ(クロアチア) 6-3 6-1 6-4
準決勝/対T.ベルディッチ(チェコ) 7-6(4) 7-6(4) 6-4
準々決勝/対M.ラオニッチ(カナダ) 6-4 6-2 7-6(4)
4回戦/対G.ディミトロフ(ブルガリア) 6-4 6-2 6-4
3回戦/対M.ズベレフ(ドイツ) 7-6(3) 6-4 6-4
2回戦/対D.ラヨビッチ(セルビア) 7-6(0) 6-3 6-2
1回戦/対A.ドルゴポロフ(ウクライナ) 6-3 3-0Ret

〈次回[2018年全豪オープン]へ続く〉






著者:Tennis Classic 編集部