2018年全豪オープン
36歳にして、大会2連覇&GS20勝をマーク!

9月23日、イギリス・ロンドンにて開催されたレーバーカップを最後に現役引退したロジャー・フェデラー(スイス)。フェデラーがこれまで達成したグランドスラム優勝20回(全豪オープン6回、全仏オープン1回、ウィンブルドン8回、全米オープン5回)を、当時の写真とともに振り返る。

※『テニスクラシック・ブレーク』2018年3月号に掲載したものを再編集した記事になります



前年(2017年)では全豪オープン、ウィンブルドンのグランドスラム2勝を含むツアー7勝を挙げ、世界ランキングも年頭の17位から年末には2位まで戻していたフェデラー。36歳にして見事な復活を遂げ、この2018年全豪オープンでも優勝に絡む活躍が期待されていた。

前哨戦には出場しなかったフェデラーだったが、大会が始まると1回戦から準々決勝まですべてストレート勝ち。危なげなく勝ち上がり、準決勝では、4回戦で前年のシーズン後半に右ヒジを痛めて世界ランク14位まで下がっていたノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破って勝ち上がってきた韓国のチョン・ヒョンと対戦。しかし百戦錬磨のフェデラーを相手にするには、勢いがある若手といえどもグランドスラム初準決勝のチョンでは荷が重かった。試合中、右足のマメが潰れてしまったチョン。フェデラーが第1セットを6-1で取った後の2セット目、ゲームカウント5-2とフェデラーがリードした場面で、チョンが途中リタイアし、フェデラーは1セットも失うことなく決勝進出を決めた。

そして決勝で顔を合わせたのは、前年(2017年)のウィンブルドン決勝でも戦った第6シードのマリン・チリッチ(クロアチア)。チリッチは、準々決勝で第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)を破っての勝ち上がり(ナダルは、フェデラーと同様に、前年に全仏オープン、USオープンとグランドスラムで2勝し、世界ランク1位に返り咲いていた)。特にフォアハンドのボールに伸びがあり、また同大会でのサービスエースの本数でも最終的に2位(107本)につける活躍を見せていた。しかしながら、準決勝までの6試合の総試合時間はチリッチが17時間3分なのに対し、フェデラーは大幅に少ない10時間50分。さらに、2人の過去の対戦成績はフェデラーが8勝1敗と大きくリードしており、フェデラーにアドバンテージがあると見られた。

気温38度と蒸し暑く、規定により屋根が閉じられた状態で始まった決勝戦。第1セット、チリッチ・サーブの第1ゲームをフェデラーがいきなりブレークに成功する。チリッチはフェデラーのテンポの速いテニスについていけず、第1セットは6-2でフェデラーが奪取。しかし第2セットになると互いにブレークを許さず、タイブレークへ。そのタイブレークでは、ワンチャンスをモノにしたチリッチが7-5で取り、セットカウント1-1とした。

続く第3セットも第2セットと同様に拮抗した展開に。それを破ったのはやはりフェデラー。ゲームカウント3-2とフェデラーがリードしたチリッチ・サーブの第6ゲームで、フェデラーはバックハンド・スライスをチリッチのバック側に集めて、チリッチの強打を封じ込む作戦に。これが奏功し、フェデラーが3本のブレークチャンスを迎える。この場面で、フェデラーはリターンをチリッチの足元に沈めると、チリッチのミスを誘ってブレークに成功。その後もしっかりサービスキープしたフェデラーが3セット目を6-3で取り、セットカウント2-1とした。

第4セット、観客からの大声援を受けていたフェデラーは、チリッチ・サーブの第1ゲームを早々にブレーク。優勝に大きく近づいたものの、その後、お互いに2ゲームずつサービスキープをし、迎えたフェデラー・サーブの第6ゲーム。チリッチはフェデラーのセカンドサーブを強打してフェデラーのミスを誘うと、この試合で初めてのブレークに成功する。そして、チリッチが続く自身のサービスゲームをキープしゲームカウント4-3とリードすると、フェデラー・サーブの第8ゲームでフェデラーのセカンドサーブを攻めたチリッチが再びブレーク。続く第9ゲームをキープし、一気に5ゲームを連取したチリッチが、第4セットを6-3で取り返し、試合をイーブンに戻した。

運命の最終セット。嫌な流れを断ちたいフェデラーは第1ゲーム、自身のサーブで30-0とリードする。そのまますんなりとキープするかに思われたが、その後フェデラーにミスが出て、30-40とチリッチにブレークポイントを与えてしまう。しかし、ここで意地を見せるフェデラー。センターへ時速192kmのサーブを決めて、ピンチをしのぐ。これで流れを一気に引き寄せて第1ゲームをしっかりキープすると、次のチリッチ・サーブの第2ゲームをブレークに成功する。その後、互いにサービスキープするが、チリッチ・サーブの第6ゲームをフェデラーが再びブレーク。サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップの第7ゲームでは、フェデラーのサーブが次々に決まり、最後はアドコートからセカンドサーブをワイドに打ち込み、チリッチのリターンが返らず、ゲームセット。フェデラーは優勝を決めた瞬間、両手を掲げて涙を浮かべた。

表彰式でのスピーチでは、「ファンの皆さん、スタジアムが皆さんでいっぱいになると、私はちょっと緊張してしまいます。でも、だからこそ私は練習に励むのです。皆さんに(この優勝の)お礼を言いたいと思います」と素直な感謝の気持ちを述べ、再び涙を流したフェデラー。こうした感情的になった理由について、試合後の記者会見で「説明しづらいけど、感覚だよ。例えば、準々決勝のベルディッチ戦では負ける気がしていたんだ。ネガティブとかでなく、そう感じていた。準決勝の後、実は眠れなくて朝の3時まで起きていた。次の日は一日中、決勝のことを考えていたんだ。どう戦うべきか、20回目の優勝の気分は? いや、そんなこと考えるべきじゃない。負けたらどんなに嫌か。36時間以上、そんなことを思っていた。だから、(決勝では)いいスタートを切れた。セカンドセットはナーバスになって奪われたけど、すべてをケアできた」と明かしていた。

これでフェデラーは前年の優勝に続く大会2連覇を達成。また、20個目のグランドスラム・タイトルを獲得し、男子では唯一の20勝台をマークしたことに。さらに、全豪オープンに限れば、ロイ・エマーソン(オーストラリア)、ジョコビッチに並ぶ6度目の優勝となった*。

*=2022年現在では、ジョコビッチが全豪オープン優勝回数を9に更新

●グランドスラム・タイトル獲得数(2018年当時)
20個:ロジャー・フェデラー(スイス)
16個:ラファエル・ナダル(スペイン)
14個:ピート・サンプラス(アメリカ)
12個:ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ロイ・エマーソン(オーストラリア)
※この後、ナダルが22個、ジョコビッチが21個のグランドスラム・タイトルを獲得し、2022年現在ではフェデラーは3番目につけている

【2018年全豪オープン/フェデラーの試合結果】
決勝/対M.チリッチ(クロアチア) 6-2 6(5)-7 6-3 3-6 6-1
準決勝/対H.チョン(韓国) 6-1 5-2Ret
準々決勝/対T.ベルディッチ(チェコ) 7-6(1) 6-3 6-4
4回戦/対M.フクソービッチ(ハンガリー) 6-4 7-6(3) 6-2
3回戦/対R.ガスケ(フランス) 6-2 7-5 6-4
2回戦/対J-L.ストルフ(ドイツ) 6-4 6-4 7-6(4)
1回戦/対A.ベデネ(スロベニア) 6-3 6-4 6-3

著者:Tennis Classic 編集部