川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMの番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学から、最先端の農学研究を紹介します。4月5日(火)の放送では、農村開発協力研究室の杉原たまえ教授に、自身が進める研究や活動について伺いました。


(左から)川瀬良子、杉原たまえ教授


◆被災したトンガ復興の一助に

杉原教授は、主に南西諸島やオセアニア研究フィールドに、島嶼(とうしょ)地域の農村開発に関する社会学的研究をおこなっています。なかでも、今年1月に海底火山の大噴火で甚大な被害を受けたトンガ王国の在来的な果物「ブレッドフルーツ」をトンガの農業・農村発展に結びつけるプロジェクトに長年携わっています。

トンガでは元々、ヤムやタロなどのイモ類、魚、ヤシの実、ブレッドフルーツなどを中心とした食生活を送っていました。そのため、伝統的にとても筋肉質な体格の人々が多かったのですが、近年は食の西洋化が進んだ影響で世界有数の“肥満大国”に。

世界の肥満率ランキングで、南太平洋の国々が上位に並んでいることから、杉原教授ら研究チームは、健康食として期待がもてるブレッドフルーツに着目し、伝統食を利活用することがトンガの発展につながると考えました。ブレッドフルーツには炭水化物が多く含まれており、果実は1つ2kgぐらいと非常に大きいのが特徴で、「トンガや周辺国では、ブレッドフルーツやタロ・ヤムなどのイモ類を焼いた石の上に置き、それをバナナの葉っぱで被せて、蒸し焼きにして召し上がるのが伝統的な食べ方」と言います。ブレッドフルーツは、まるで栗とサツマイモを足して2で割ったような味わいで「とてもおいしい」と感想を述べます。

太平洋諸島諸国においては、昔から庭先や畑で自給的に作られていたものの、実のなる時期がとても集中しているために食べ切ることができず、「最近の食生活の変化などによって約7割が無駄になっており、落ちて腐るのを待つか豚の餌になっている」と現状を紹介し、「そういった無駄にされていたものを再利用しながら、何か新しい展開ができないかと考え始め、保存性と付加価値が高まる粉製品を開発した」と振り返ります。

そして、研究を進めていくうちに「ブレッドフルーツは、栄養学的に非常に有用性を持っていることが分かってきた」と杉原教授。グルテンフリーであることから、アレルギー除去食としても有用であり、「特に近くのニュージーランドやオーストラリアなどの先進国では、小麦の食事をずっと続けていらっしゃる方にアレルギーが多いので、輸出品としても役立てていけるのではないか」と期待を寄せます。

さらに、「ポリフェノールや食物繊維が豊富で、また食後の血中糖度が上がりにくい性質もあるため、今トンガの方々が抱えている問題の1つである肥満問題を軽減するための健康食として、見直していただければ良いのではないか」と力を込めます。

今年1月、海底火山大噴火による降灰と津波で、トンガでは多くの農作物が大きな被害を受けました。ブレッドフルーツも例外ではなく「たくさんの灰をかぶり、たくさんの葉を落としました。けれども、1週間したら新しい芽がニョキっと出てきてくれました。復興の兆しが見えているところで、(その生命力に)トンガのみなさんは元気づけられていると思います」と近況を教えてくれました。

それを聞いた川瀬は、「その生命力は、きっとトンガ王国のみなさんにとっても見て分かるので、すごく力になりますよね」と大きくうなずき、「杉原教授の活動が、今回の災害を乗り越えてトンガの発展につながることを期待しています!」と願いを込めていました。


トンガの女性とブレッドフルーツ



次回4月26日(火)の放送も、どうぞお楽しみに!

<番組概要>
番組名:あぐりずむ
放送日時:毎週火曜 15:50〜16:00(番組「THE TRAD」内)
パーソナリティ:川瀬良子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/agrizm/