作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00〜19:55)。5月30日(日)の放送は、「村上RADIO〜RAY CHARLES SONG BOOK〜」と題して、アメリカのソウルシンガー、レイ・チャールズの楽曲に焦点を当てた特集をお送りしました。村上さんが選曲したレイ・チャールズの名曲や、さまざまなアーティストによるカバーバージョンもオンエア。この記事では、中盤3曲についてお話された概要を紹介します。


村上RADIO


◆Elvis Presley「I Got a Woman」
次は「I Got a Woman」。これも僕はレイ・チャールズより先にエルヴィス・プレスリーの歌で聴いてます。『Elvis Presley』という彼の最初のLPに入ってました。あとになってレイ・チャールズの歌で聴いて、「ああ、これはレイ・チャールズの歌だったんだ」とわかりました。エルヴィスのバージョンもなかなかご機嫌ですけどね。

『Elvis Presley』に入っていたこの曲は、まるで風呂場で歌っているみたいに、ずぶずぶにエコーが入っていたんですが、CD化されたときにエコーがすっかりとられて、すっきりすっぴん状態になっていて、かなりびっくりしました。今日は、そのからっとしたCDのほうで聴いてください。僕は個人的には「風呂場バージョン」、わりに好きなんですけどね。

◆Diane Schuur & B.B.King「I Can't Stop Loving You」
◆Lisa Ono「I Can't Stop Loving You」

現在、地上最強の男女デュエットと言ってもいい、ダイアン・シューアとB.B.キングの歌う「愛さずにはいられない」、「I Can't Stop Loving You」。これはもう「濃ゆい」の極致というか、ソースどぼどぼの世界ですね。そのあとで、小野リサさんがボサノヴァで歌う「愛さずにはいられない」をかけます。こちらはどちらかといえば、あっさり醤油味の世界です。
同じ曲でもずいぶん違うものだなと、感心しちゃいます。続けて聴いてください。
     


僕はアメリカにいるときに一度、B.B.キングのライブを聴いたことがあります。僕が所属していたマサチューセッツにあるタフツ大学のキャンパスで、卒業式の午後にガーデン・パーティーみたいな感じで、彼のグループが演奏しまして。みんなでビールを飲みながら、芝生に寝っ転がって聴いてました。そういうのってなかなかいいです。
    


中学生のとき、この曲の歌詞を暗記しました。そのなかに「They say that time heals the a broken heart(ときが、傷ついた心を癒やしてくれると人は言う)」という一節がありまして、その文句がそれ以来ずっと頭にこびりついて残っていました。確かに時間の力って大きいですよね。それは人生の過程で、しばしば実感しました。でもこの曲では、そのあと「君が去って以来、時間はじっと止まったままなんだ」と続きます。悲しい失恋の歌です。

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聴取期限:2021年6月7日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO〜RAY CHARLES SONG BOOK〜
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:5月30日(日)19:00〜19:55(※放送日時が異なる局があります)
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/