UoC UNIVERSITY of CREATIVITY 共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするInterFMの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。12月29日(水)の放送では、NHKエンタープライズのエグゼクティブ・プロデューサー、堅達京子(げんだつ・きょうこ)さんをお迎えしました。

(左から)Misa、堅達京子さん、Hide


1998年にNHKに入局し、2006年に報道番組のプロデューサーに就任。2021年8月に株式会社NHKエンタープライズに転籍しました。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動やSDGsをテーマに数多くの番組を制作。秋にはイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26の現地取材に出向き、脱炭素経営に必要な知識を伝えるセミナーを12月16日に実施しました。

◆COP26で結ばれた重要な合意とは?

Hide:堅達さんは、12月2日から5日まで開催したUoCの「CREATIVITY FUTURE FORUM 2021」のセッションに参加していただきました。僕も何度かレクチャーをいただいております。来年に向けてすごく大事な問題だと思うので、堅達さんからまずはCOP26のお話をしていただきたいです。

堅達:「COPってなんだ?」ってところからご説明しますね。元々、気候変動枠組条約というものがありまして、温暖化を防止するための対策を国際的に話し合おうっていう会議がCOPなんですね。その会議に参加している条約国の集まりが26回目ということで、COP26と名付けられています。有名なところですと、COP21で採択された「パリ協定」ですね。そこで気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(合意)が結ばれました。

COP26も歴史的なCOPと言われておりまして、実際に「グラスゴー気候合意」というものが結ばれました。人類にとって、とても重要な合意だったなと思います。

Hide:グラスゴー気候合意がどういった内容なのか教えていただけますか?

堅達:地球の温暖化が進んでいるのは、みなさんなんとなく肌で感じているとは思うんですよ。夏は暑いし、「何十年かに一度」レベルの水害が頻発するなど、異常気象も頻発しています。

Hide:そうですよね。世界中で火事がとても多かった1年でもありました。

堅達:それらを食い止めるためには、CO2を減らさないといけないんですよね。今年、世界の科学者たちが「地球温暖化は、人間の活動が原因で起きている」と断言したんですよ。ですので、CO2を減らすためにどれくらいの目標を立てるかという話し合いがありました。今回のCOP26では、 1.5℃未満に頑張って抑えようという決意を固めました。

Hide:日本の岸田首相をはじめ、世界中の首相が集まって、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えようと話されたわけですね。

堅達:はい。1.5℃に抑えようっていうのは「言うは易く行うは難し」でして、すごく難しいことなんです。なので、反対する意見ももちろんありました。最終的には合意となり、首の皮一枚で繋がった会議になりましたね。もし、COP26で決められなかったら、温暖化対策が手遅れになるリスクがあったんですよ。

Hide:1.5℃という数字は、大したことはないんじゃないかって感じる方もいらっしゃると思うんですけども、産業革命以降は1.1℃上がっているんですよ。そして、2℃上がっちゃうと、止められない領域に入ってしまうという説があるんですよね。

Misa:へええ!

Hide:そうなると、いろんなことがドミノ倒しのように連鎖していって、一気に4℃上昇する可能性があるそうです。

堅達:そうなんですよ。ドミノ倒しで温暖化が進む状態は「ホットハウス・アース」と呼ばれています。ティッピング・ポイント(臨界点)に到達してしまうと、人類が制御できない領域になってしまう。それが2℃前後だと科学者たちが言っているんですね。なので、「人類の防衛ラインを1.5℃に定めましょう」ということをCOP26で話し合いました。

Misa:なるほど。

◆気候変動問題に立ち向かう若者たちを密着取材

堅達:2022年1月10日(月)にNHK総合の特集番組では、気候変動を食い止めたいと思っている若者たちに密着しております。「Fridays For Future(未来のための金曜日)」という、グレタ・トゥーンベリさんが起こした運動がありますけども、日本でその活動に関わっている若者や、COP26に直接出向いた若者たちに密着しました。彼らは学校を休んでCOP26に行っているんだけど、すごくショックや刺激を受けてしまいましたね。

なにしろ、世界中の科学者、政治家、影響力のある人といった、いろんな人が来ている会議ですから。そして何よりも、気候変動によって被害を受けている人々の存在を知ったことが大きかったと思います。MAPA(most affected people and areas)という言葉があるんですけども。

Hide:気候変動によって一番影響を受けた人々とエリア?

堅達:そう。たとえばアマゾンの先住民だったり、台風被害に遭ったフィリンピンの方々だったり、山火事の被害を受けている地域の人々を指す言葉です。MAPAの若者たちと直接触れ合うことで、ものすごい刺激を受けていましたね。

Hide:その人たちもCOP26に参加されたんですね。

堅達:はい。今回は全部合わせると、世界中でのべ4万人の方が参加しました。みんなが集まって「地球の未来をどうするか」を話し合いました。

◆自分たちができる身近な温暖化対策は?

Misa:普段の生活で(温暖化を抑えるために)できることって何でしょうか?

堅達:たとえば、エコバッグやマイボトルを持って買い物に行くことですね。一人ひとりがやっていると小さいことのように思えるけども、1億人がやったらすごいことじゃないですか。だから、全然小さい行動ではないんです。

私が一番感じているのは、フードロスの問題です。市民ができる一番の温暖化対策だと思います。フードロスを削減するということは、温暖化対策に効果的なんですよ。

Hide:(温室効果ガスの削減量でトップ10に入った対策で)3位でしたっけ?

堅達:そうなんですよ。1位が冷媒と言って、冷凍のショーケースとかクーラーですね。私たちが買い物に行く前に、冷蔵庫を開けて(確認して)無駄なものを買わないようにしたり、スーパーでは手前のものから取ったりするようにする。奥のものって賞味期限が先だから、ついつい取ってしまいがちなんですけども(笑)。

Misa:(笑)。

堅達:その行動を、まずやめることが大事ですよね。そういった行動を全国民ができるようになれば、それだけでも変化を起こせるんです。小さなことだと思っていることが、実は企業を変えることに繋がっていくんですよ。そういうところから(温暖化対策を)始めていくのは大切だと思いますよ。

◆1つの問題を多角的に捉えて解決策を導くことが重要

Hide:今ってにっちもさっちもいかない、大転換の時代になっているじゃないですか。そのなかで、動き始めている人がいっぱいいる。そこに自分も行動し始めると、そこの仲間に入ることができるんですよね。

UoCに入ってくれる仲間もそうですけど、誰かの行動に触発されて「自分もやってみよう」という存在は大きいですよね。

堅達:そうですよね。SDGsにも繋がる話です。気候変動の問題は、気候変動の分野に得意な人だけで解決できるわけではないですから。防災、少子高齢化、ジェンダーの問題などを考えている方たちと一緒に考えていくと、他の問題も一挙に解決できるかもしれないですよね。いわゆるトータルソリューションと呼ばれているものです。

COP26に行った若者たちが驚いていたことですが、ジェンダー平等の問題や格差といったいろんな課題と気候変動って繋がり合っているんですよね。「ジェンダーと気候変動がどう繋がっているの?」と思われる方もいるかもしれません。水不足で困っている地域があったとしたら、少なくなった水のために遠い場所の水汲み場に行くのは女性だったりするわけですよ。

Hide:子どもだったりね。

堅達:そう。弱い立場の方に一番のしわ寄せが行く。あと日本の話で言うならば、変わろうとしている人がいっぱいいるなかで、ストップをかけているおじさんやおじいさんが多いんですよ。職場で問題提起しようものなら、「そんなものは前のままでいいんだ」というタイプはおじさんが多い感覚があります。

もちろん、おばさんもいると思いますけども。女性がいる職場のほうが、新しいチャレンジだったり声があげやすかったりすると思います。そういった考え方が、脱炭素革命にも関係してくるんですよね。

Hide:いわゆる男社会が、政策やいろんなことを膠着化(こうちゃくか)させているということですね。旧来型の、資本主義のやり方をやってきていると。

堅達:「孫のために何とか頑張る!」みたいな気持ちになってくれたらいいですよね。

次回2022年1月5日(水)のゲストは、日本ホリスティックビューティ協会代表理事・岸 紅子さんをお迎えします。お楽しみに!

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聴取期限 2022年1月6日(木)AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/mandala