笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの新番組「DIGITAL VORN 笹川友里のDIGITAL LIFE」。この番組では日々進化するデジタル、ITの最新技術にフォーカスを当て、変化していく私たちの生活について考えていきます。4月10日(土)の放送は、前回に引き続き、Webマガジン「IoT News」代表の小泉耕二さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)小泉耕二さん、笹川友里



◆日本に押し寄せるDXの波
今回、まず小泉さんに伺ったのはDX(デジタルトランスフォーメーション)について。DXとは、デジタル技術の進化による組織やビジネスモデルの変革を指します。

小泉さんは、DXを語るうえで“外国の圧力が非常に大きい”と明かします。「外国で最近出てきた会社がどんどん大きくなっている」と言い、その例としてUber社を挙げます。同社はテクノロジーを活用し、ユーザーと自動車を所有する登録者をマッチングする新たな配車サービスを提供しています。

この企業の面白いところは「すべての仕組みを“スマホありき”で作っていること」と小泉さん。クラウドによるサービス提供のため、通常のタクシー会社のように車両を所有する必要がないうえ、配送する側も運賃メーターを取り付ける必要がないため、「誰でも始められることから一気に広まった。スマートフォン(以下、スマホ)の普及とこうした新たなサービスの登場によって、日本でも副業が流行り始めている」と言います。

また、Uber社があるアメリカのタクシー業界は、そのあおりを受けて苦境に立たされているようで「いままで既得権益ビジネスで成り立っていたような業界も、インターネットとデジタル技術を使うことによって、まったく異なるビジネスモデルでサービス展開をされてしまうことで、つらい状況に追い込まれている」と話します。

こうしたテクノロジーを活用した新たなサービスが台頭してくると、「結局のところ、選ぶのは消費者。そうなると消費者心理は“便利なほうを使おう”“より割安なほうを使おう”と動くので、駆逐されていくものもある」と指摘。そうならないためにも「デジタルによって、ビジネスをトランスフォーム変形していくこと。これをしていかないと、いろいろな産業分野においてUber社のような企業がどんどん出てきて取って代わられてしまう」と危惧します。

◆クルマの自動運転の未来は?
DXは私たちの生活基盤である街づくりにも関係しています。小泉さんが、ここ最近で一番大きなニュースとして挙げたのは、トヨタ自動車が発表した、東富士工場跡地に建設予定の未来都市「Woven City(ウーブン・シティ)」建設のニュース。

小泉さんいわく、この街は“まったく新しい街”と位置付けられているそうで「例えば、地表面は人とクルマが共存できるような形になっていて、クルマは自動運転でたいした速度は出ないのですが、クルマのなかにはコンビニエンスストアやカラオケ店のようなものが入っていたり、さまざまな形で移動をしながら街の人たちの生活を支えていく」と説明しますが、笹川はキョトンとして「すごい話だけど、どういうこと!?」と戸惑い気味。

ただ、今回のトヨタ自動車のように「まったくのゼロから(街を)作り変える取り組みは、(世界的に見ても)それほど多くはない」と小泉さん。

というのも「そこまで踏み込もうとする人(や企業)がいない。あと、住人がいる状態では自治体と話し合いながらになってしまう」。それに対してトヨタ自動車の場合は、自社の工場跡地を利用するため「彼らの好きにできる。なので、ゼロから作れる強みはすごい。これで街の1つの形ができれば、“街自体を輸出する”という日本の新たな輸出産業ができるかもしれない」と期待を込めます。

また、自動運転の技術については、近年進化を遂げてはいるものの「法制度の変更など、自動車の性能とは違うところで問題がおきているので、(本格的な実装については)なかなか難しい」と見解を示します。

◆「MaaS」によるメリット
続いて小泉さんに語っていただいたのは、「MaaS(マース/Mobility as a Service)」について。これは、電車、バス、タクシーなどのさまざまな交通手段による移動を“統合する”という、フィンランドが導入した移動サービスです。

フィンランドでは公共交通機関だけでなく、レンタカー、バイクシェアサービスなどのあらゆる交通手段の情報公開(路線、時刻表、料金など)を義務化。これらのデータを1ヵ所に集約することで「(スマホアプリで)どの交通手段を使えば、目的地まで最短で行けるか計算して教えてくれる」と言います。

そして、「MaaS」の革新的なところは「市民の方に対して定額で乗り放題のサービスにしたこと」。小泉さんによると、一部距離制限などがあるものも含まれますが、日本円にして定額数千円であらゆる交通手段の利用が可能に。

フィンランドは高齢化が進んでおり、もともとは高齢者の交通機関の利用が無料だったそうですが、「全部無料にすると、高齢者が増えれば増えてくるほど財政難がより悪化してしまう。なので、少額でもいいから支払ってくださいということ」とサービスの背景を説明します。

それにより、交通機関の充実を図ることに一役買っているそうで、「私たちが年老いたときに移動手段がなかったら困る。(高齢者の利用を)無料にした結果、その交通会社が(経営難で)潰れて足がなくなってしまうと、みんな困ってしまう。だから“みんなで支え合いましょう”という発想なんです。これは素晴らしい」と評します。

あらためて、小泉さんは「都市生活を支えるインフラを、みんなでお金を払っていく代わりに、みんながそのメリットを享受できる」と主張。そのキーワードとなるのが「シェアリング」と声を大にします。

日本は超高齢社会に突入しており、高齢者のなかには運転免許証を自主返納する人も。移動手段の1つがなくなることで、不便を強いられてしまう高齢者がいるかもしれませんが、「フィンランドでは、高齢者を乗せて養護施設などに運ぶクルマがあるんですけど、必ずしも(定員に対し)満席じゃないんですよね。一部、座席が空いていることもあって、その空席情報をインターネット上に公開することで、誰でもそのクルマに乗って利用できるサービスをやってる企業がある」と対策事例を紹介。

そして、こうした取り組みは「社会問題の解決につながる」と評し、「いろいろな方が一緒に(サ―ビスを)使うようになれば、1台のクルマでより多くの人が運べるので、CO2排出問題などの解決策になり得る。この“シェアリング”という考え方を重要視していくようなあり方がいいと思う」と話していました。

----------------------------------------------------
▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2021年4月18日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
----------------------------------------------------

<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN 笹川友里のDIGITAL LIFE
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/digitallife/