笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月23日(土)の放送は、Dropbox Japan株式会社 代表取締役社長の梅田成二(うめだ・せいじ)さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)梅田成二さん、笹川友里


梅田さんは、1989年、京都大学大学院精密工学科修了後、住友金属工業に入社。その後、アドビや日本マイクロソフトでクラウド、デバイス事業に従事。そして、日本マイクロソフト執行役員デバイスパートナーソリューション事業本部長などを経て2021年7月より現職に就いています。

◆Dropboxが高い支持を得ている理由

Dropbox Japanは2007年創業で、同社が提供している代表的なサービスの1つがクラウドストレージ「Dropbox」です。デバイスを問わずファイルを保存、閲覧、編集、共有することができ、多くのビジネスパーソンに活用されています。

近年さらに機能が向上しており、「ファイルのバージョン履歴はプランによって長さが異なりますが、最長で360日まで過去のバージョン履歴を残している」と梅田さん。例えば、ファイルが意図しない形で改稿されていたり、誰かが誤って削除してしまった場合でも、「バージョン履歴が残っていることによって、比較的簡単に前のバージョンに戻すことができる。(ファイルが)消えても巻き戻せるのが強み」と説明します。

現在、世界180ヵ国以上で7億人を超えるユーザーに愛用されている「Dropbox」。梅田さんが2021年7月に現職に着任した際、「お客さまを訪問して使い心地などいろいろとお話を伺ったところ、支持が高かった一番の理由が『ものすごく使いやすいこと』だった。パソコンを使っている人であれば、マニュアルを読まなくてもすぐに使える。現場に投入してすぐに使ってもらえて、効果が上がるのがいいところ」と語ります。

そして、もう1つDropboxの支持が高い理由として挙げたのは「同期スピードの速さ」。例えば、海外で撮影した映像を転送して日本ですぐに編集したい場合など、容量の大きいデータを取り扱うユーザーにとって同期スピードの速さは定評があります。

◆コロナ禍は「爆速の追い風だった」

コロナ禍によってリモートワークなど働き方が多様化しましたが、同社への影響を尋ねると「爆速の追い風だった」と梅田さん。緊急事態宣言に伴ってリモートワークに舵を切った会社が多くなったことで「軽くて持ち運びやすいパソコン、ビデオ会議のツールやチャット、我々Dropboxのようなクラウドストレージが一気に広がった」と言います。

また、いまだコロナの収束が見えぬなか、リモートワークを2年以上継続している人もいて、梅田さんがヒアリングしてみると「リモートワークならではの使い方やラーニング(学び)が溜まってきている。最初は会社のパソコンを持ち帰っていたが、自宅で長く仕事をしていると、小さい画面ではなく大きな画面が欲しくなって拡張ディスプレイを付けてみたり、インターネット回線のスピードが気になったり、クラウドストレージのスピードも気になるということで、リモートワークを快適にするための環境整備が期待されている」とユーザーの声を紹介し、「そうしたお客さまの果てしない要望に応えるべく頑張っている」と話します。

◆「バーチャル ファースト」とは?

前述の通り、住友金属工業に入社以降、数社を渡り歩いてきた梅田さん。Dropbox Japanの社風について、「若くて活気のある元気な会社。本社がサンフランシスコということもあり、カルチャー的にも西海岸のスタートアップのように生き生きとしていて、社員同士がお互いに助け合うことをすごく大事にしている。その辺りがとてもユニークなところで、すごく風通しがいい」と話します。

ところがコロナ禍となってリモートワークがベースとなってきた頃、社員にヒアリングしたところ、「前(の出社ベース)に戻るよりもリモートで働きたい」と言う声が多くある一方で、「リモートでバラバラの働き方だと、Dropbox Japanの良さである助け合うカルチャーが維持できないのではないか」「出社して働く人とリモートで働く人で分断してしまうのでは」「業績やパフォーマンスの評価に差が生まれ、不公平感が出てしまうのではないか」といった懸念の声もあったそう。

そこでDropbox Japanでは、リモートワークをベースとしつつも、お互いのカルチャーや公平な評価を維持した新たな働き方として、全従業員がリモートワークを基本とする「バーチャル ファースト」を打ち出し、昨年4月から実践してきました。この「バーチャル ファースト」には3つの特徴があると梅田さんは言います。

「バーチャル ファースト」の特徴①「同期と非同期の使い分けルール」

同期とは、社員同士がコミュニケーションを取るにあたって、直接面と向かって会話する、またはビデオ会議や電話などで話すこと。インタラクティブ(相互作用)ですごくいい反面、相手の時間を占有してしまうという側面もあります。一方、非同期とは、eメールやチャットツールなどのように相手の時間を占有しないもの。

どちらが良い・悪いではなく「(状況に応じて)両方を組み合わせていかなければならない」と梅田さん。例えば、会議をする際、事前に“何について”“どんなことを打ち合わせるのか”など、できる限りの情報を出しておき、会議の場ではディスカッション(議論)、ディベート(異なる立場に分かれての討論)、デシジョン・メイキング(意思決定)のみに絞り込みます。

このように、双方のメリット・デメリットを踏まえたうえで、同期する時間と非同期の時間をそれぞれルール決めして、時間の有効活用、生産性向上を目指しました。

「バーチャル ファースト」の特徴②「社員の交流専用スペースを開設」

2つ目は“スタジオ”と呼ばれる社員の交流専用スペースの開設。例えば、ソファなどが用意されていて、社員はどこに座ってもいいというルールになっており、「より化学反応を起こしやすいようなインテリアや構造にしている」と説明します。

「バーチャル ファースト」の特徴③「明確なルールの明示」

梅田さんは、リモートで働きながら、かつてオフィスに出社していたときのような一体感を維持したうえで全社員の行動を変革していくには、「行動の指針となるガイドラインやルールブック的なものが必要」と声を大にします。

そこで「バーチャル ファースト ツールキット」なるものを作成し、社員に対して啓発。さらに、実践・バージョンアップをしてルールをはっきり明示することで、社員の不安を取り除き業務に集中しやすい環境を整え、上長はリモートワークであっても正当な査定・評価が下せる仕組みづくりを可能にしました。

また、この「バーチャル ファースト」を推し進めてきたなかで、働く社員の満足度も向上したそうですが、梅田さんは“外から入ってきた方の反応”に大きな驚きがあったと言います。

求人への応募者数が去年に比べて1.9倍に増えたそうで、“なぜDropbox Japanを選んだのか”と尋ねたところ「『バーチャル ファースト』があるから」と答えた人が多かったそう。

「『親の介護のために実家近くに戻って働きたい』という人や、『子どもがまだ小さくて手が離せないので、なるべく子どもと一緒に過ごしながら仕事も家庭生活も送りたい』という人もいて、ライフステージによって働き方のスタイルのニーズって違うんだなと感じた」と話していました。

次回7月30日(土)の放送は、株式会社レシカ CEOのクリス・ダイさんをゲストに迎えてお届けします。いま話題になっている「NFT(ノンファンジブル トークン)」についてなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2022年7月31日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/