俳優の佐藤二朗がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「いい部屋ネット presents 佐藤二朗のいい部屋ジロー」。佐藤が「いい部屋ジロー」の“大家”、リスナーは“住人”となり、日ごろの悩みや疑問に答えます。2月13日(土)の放送では、映画評論家の松崎健夫さんがゲスト出演。佐藤の初監督・脚本作品「memo」(2008年)について語ってもらいました。


(左から)松崎健夫さん、佐藤二朗


◆佐藤の初監督作、映画評論家の総評は…
映画にまつわるトークで盛り上がるなか、佐藤が子どもの頃から大好きで影響を受けた作品として挙げたのは、松田優作さん主演・村川透監督の「野獣死すべし」と、高倉健さん主演・山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」。

その2作品の魅力を熱弁した後、佐藤の「memo」の話題に。本作の主人公は、女子高生・繭子(韓英恵さん)とその叔父・純平(佐藤)。同じ心の病を抱えた2人が、奇妙な交流を通じて自らの病と向き合っていく姿を、自身の強迫性障害の体験をもとに描いた人間ドラマの作品になっています。

松崎さんは「『memo』でも主人公がなんらかの事情を抱えているけど、外にはわからない。それが徐々に明らかになっていって……。でも世の中で生きている人って、すれ違う人の事情なんてわからないじゃないですか。人って誰しもがなんらかの事情を抱えてみんな生きていると思うんですよね。『野獣死すべし』や『幸福の黄色いハンカチ』の主人公もそう」と語り始めます。

「人を表層的に見ない。だから僕は、『memo』を観て、しばらく経ってもう1度観直したんです。そして“世の中の人はどんな感想を抱いているんだろう”と思って、調べてみたら『変な人が出てくる映画だ』という感想がある一方で、『自分のことを描いてくれていた』と星5つをつけている人が結構いらっしゃった」と振り返ります。

あらためて、松崎さんは「健常者として、なんの苦労もなく生きている人にとっては、もしかすると『memo』で描かれている佐藤二朗さんや韓英恵さんが演じているキャラクターは特異に見えるかもしれないけど、その人は別にふざけているわけじゃない。その人のなかでは一生懸命に生きているけど“周りにうまく合わせられない”という悩みを抱えていることを描いている映画じゃないですか。それってやっぱり、二朗さんがお好きな映画の本質を突いている気がします」と分析。

それを聞いた佐藤は、「そんなことを言われたのは初めて! でも言われてみれば、そうかも」と驚きます。さらに松崎さんは「映画ってね、『時間を描く芸術だ』と言われますけど、体感って観客によって違うじゃないですか。自分とは違う時間の長さを感じたとき、単純に“長い”と思うかもしれないけど、なにか不穏さのようなものを感じることは重要だと思う。

劇中でも後半にショッキングなシーンがあるんだけど、その前に繭子が純平に会いに行くシーンでなにも台詞では説明されていないし、不穏な音楽を流しているわけでもないのに“不穏さ”を感じるじゃない? 僕はあのシーンの演出が本当に“素晴らしい!”と思った」と絶賛。

さらに「主観ショットで撮っているから、観客も同じように韓英恵さん演じる主人公と同じようなものを観ることによって、“追体験”することを意図されて演出されたんだと思う」と続けると、佐藤は「そんなことを言われて『そうです!』って言ったら、ものすごく後出しじゃんけんみたいだけど……そうです(苦笑)」とキッパリ。

松崎さんが「人が感じる時間というのはもちろんあるけど、それによって生まれてくるものがあるのが“映画だな”という感じがするんですよね」とまとめると、佐藤も大きくうなずきながら「映画は、それができるメディアですよね。テレビだと(長いと感じると)チャンネルを変えられることもあるから。今日はいい話が聞けたな〜!」と満足顔でした。

番組では、住人の皆さんからのメッセージを受け付けています。番組Webサイトからどしどしお寄せください。

次回2月20日(土)の放送も、どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年2月21日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:いい部屋ネット presents 佐藤二朗のいい部屋ジロー
放送日時:毎週土曜 11:00〜11:25
パーソナリティ:佐藤二朗
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/jiro/