放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。4月11日(日)の放送では、料理研究家の土井善晴さんをゲストに迎え、お届けしました。


(左から)小山薫堂、土井善晴さん、宇賀なつみ



土井さんが料理人を志したきっかけは、料理研究家として活躍していた父・勝さんの存在でした。土井さんは「“(料理人に)なろう!”と思う以前に、暮らしと仕事がつながっていましたからね。家庭料理というのは、その場で作ってすぐに食べるでしょ? まずくなっているヒマがないんですよ。ものとものが加熱され、その瞬間から変化が始まっているので、家庭料理にはおいしいものができる条件がものすごくあってね。シンプルであっても、けっこう楽しめるんです。そういうことを考えながら、ずっと大きくなったみたいな感じ」と振り返ります。

小山は、土井さんの自宅でカレーの作り方を教わったことがあるそうで「すごくシンプルだったんですけど、めちゃくちゃおいしかった」と振り返ると、土井さんは「カレーもとにかく煮込んでおいしくする。私もフランス料理でまかないを作っていた頃は、週に1回くらいは作るんです。玉ねぎをしっかり褐色になるまで炒めること、それと煮込む時間でさらにおいしくしていくみたいなことがあったんですよ。いまのカレーはルーを足すから、炒め物とすれば10分でカレーができてしまう。カレーの構造を考えると、合理性のあるいますぐに食べるカレー、煮込んでおいしいカレーはその都度違うわけですから。そういうことを考える仕事ですね」と話します。

宇賀は手間ひまかけて煮込むカレーのレシピに興味津々で「レシピが知りたいです」と懇願すると、土井流カレー作りのコツを教えてくれました。

「玉ねぎをゆっくり超強火で炒めて、なにもしないでほったらかしにするんですよ。そうしたら玉ねぎって焦げるじゃないですか。でも焦げた玉ねぎって、ちゃんと上側の焼き色がついていないところにも火が入っているわけです。それを油と乳化させて、小麦粉をしっかりと炒めて。(そこにカレー粉を投入するわけですが)ポイントは、いかに油と乳化させるかいうことでしょ。意識して焦がすことで、真っ黒焦げになったとしても、それが水分の中に出てきたら、いわゆるコンソメの醤油色みたいになって、あれが旨味のメイラード反応でおいしくなるんです。原因をたくさん作る感じですね」

ポイントの“乳化”とは、「油と水が混ざること」。そのため、「強火で加熱するときに、乳化は意識しないとダメ」と説明します。そして、メイラード反応とは「焼き色がつく、焦げっていうことね。そうするとやっぱり醤油でも、フレーバーがパッと出ておいしさが高まるということですね。それを意識的にやるということ」と土井さん。

料理をしていると、つい焦がしちゃいけないと思いがちですが、土井さんは「ホワイトソースも、真っ白よりも少し焦げたルーのほうがはるかにおいしいから、ホワイトソースはクリーム色になってもいいんですよ」とキッパリ。


土井流カレー作りのコツを興味深く聞く宇賀なつみ



また、道具も大事だそうで「(厚さ)2ミリの鍋よりも3ミリの鍋のほうが火のあたりがやさしいんですよ。だから、みそ汁を作るにしても、薄っぺらい100円ショップのアルミの鍋よりも、土鍋がいい。土鍋って鈍いからね。火をつけてもやさしく包み込むようにしますので、それだけでもおいしくなる」と言います。

さらに「(土鍋は)1つの例えですけど、ゆっくりやさしく。なんでも早くっていうのが重要な世の中じゃないですか。だけど全部強火にして、フルスロットルにしたら事故になるでしょう? だから安全運転でやさしくすると、みんな傷つかないんですよ。水だって強火にすると傷がつくんですよ。出汁に傷がついたら、私の心にも傷がつくんです(笑)」と運転に例えながら解説も。

土井さんが料理をするときは、大切な食材が傷つかないよう、いつも食材の気持ちを考えながら作っているそうで「料理は対話。人間って言葉でしゃべることを対話だと思っているけど、“あれ、大丈夫かな?”と目で見て感じているわけでしょ。これはすでにもうしゃべっているんですよ」と持論を述べます。

また、土井さんと手紙にまつわるトークも。普段から手紙を書くそうで、土井さんは「“この人に会いたい”と思ったら、その人になんで会いたいのかを手紙に書いて会いに行くとかね。ずっとそれをしてきています」と語ります。その手法で会ってきたのは、グラフィックデザイナーの田中一光さん、解剖学者の養老孟司さん、書家の石川九楊さんなど名立たる人たち。そんな自身の経験から「誰でも“会いたい”と思ったら、若い人は行動することやね」と笑顔をのぞかせます。

逆に、つい先日、AIと未来の食について論文を書いている中学生から手紙をもらったそうで、その学生と「Zoom」でAIの未来について1時間ほど語り合ったことを明かし、「やろうと思えばみんなできると思います」と若者に向けてエールも。


土井善晴さん



最後に、小山が「よく『人生の最後になにを食べたいですか?』という類の質問がありますけど、土井先生は人生で最後になにを作りたいですか?」と問うと、土井さんは「作るとしたら、私は日本料理人として鯛をさばきたいですね。きれいな鯛を、お刺身で。あったかいご飯と、わさび醤油で食べられたらいいなと思いますね」と回答。

食材に“鯛”を選んだのは理由があるようで「私、『吉兆』におったんですけどね、『吉兆』の先輩はみんな純粋なんですよ。他愛もない『何色が好きか?』みたいな話があるじゃないですか。みんな赤とか具体的に言うんですけど、『吉兆』の先輩は『僕は鯛の色や。天然の鯛の色が大好きや』と言う人がいて。それを聞いてすごくうれしかった。そういう答えができるように、いつもいたいですよね」と話していました。

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「レターソングプロジェクト with YOASOBI」



“「ありがとう」を伝える手紙”をテーマにリスナーに募った手紙を原作に、音楽ユニット・YOASOBIが楽曲を制作するコラボ企画「レターソングプロジェクト with YOASOBI」。新たなコラボ企画として、「LETTER FOR YOASOBI」がスタート。これは、ファンレターを送っていただくと、YOASOBIから全員に返事が届く文通企画。ぜひ、曲を楽しみにしている気持ちや、YOASOBIへのエールを手紙に書いて送ってください。

また、「LETTER FOR YOASOBI」の専用のレターブースが、「代官山 蔦屋書店」3号館2階の音楽フロアに登場します。レターブースにはジュークボックス型のMUSIC POSTが設置されていて、手紙を入れるとここでしか聴けないYOASOBIのメッセージが聴けるので、ぜひここで手紙を書いてみてください。

次回4月18日(日)の放送も、どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年4月19日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時:毎週日曜 15:00〜15:50
パーソナリティ:小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/post/