アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」。3月18日(木)の放送は、エッセイストの内田也哉子さんがゲストに登場。ここでは、内田さんが翻訳を手がけたイギリスの絵本「こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり」(L.J.R.ケリー (著)、たなかようこ (絵)/早川書房)について語りました。


(上段から)坂本美雨、内田也哉子さん


◆内田也哉子「いろんな捉え方ができる作品」

坂本:早川書房から出版されたイギリスの絵本「こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり」の翻訳を也哉子さんが担当されました。

この絵本の作者は、イギリスの児童文学作家・L.J.R.ケリーさん、絵を担当されたのはイギリス在住の画家・たなかようこさん、その翻訳を也哉子さんがされたということで。とってもかわいいタッチの絵本ですね。

内田:ありがとうございます。L.J.R.ケリーさんは(映画「チャーリーとチョコレート工場」の原作となった「チョコレート工場の秘密」などの)児童文学で有名なロアルド・ダールさんのお孫さんなんですよね。

坂本:ビックリしました!

内田:同時期ではないのですが、娘が行っていたイギリスの学校にはロアルド・ダールさんの娘さんやお孫さんたちも通っていたみたいで、ロアルド・ダールさんの作品を大事にしていた学校でした。「これもご縁だな」と思って翻訳をさせていただきました。

「こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり」は、現代の物語でありながら、絵のタッチが懐かしさを感じる絵本なんです。ある意味、古めかしいというか、いぶし銀のような味わいがあるというか。

この絵本は、ある夫婦のもとで生まれた男の子と、そのときからあったぬいぐるみのテディベアと毛布が登場する物語です。少年の成長を共にしていたテディベアと毛布ですが、ある日を境に少年と離れ離れになってしまうんですね。そこからはベアたちが少年の元に戻る旅が描かれています。

おもちゃではあるのですが、小さい頃に直面する、大切にしていた存在との別れを描いた切ない作品です。美雨さんは、読まれてどんな気持ちになりましたか?

坂本:娘が今5歳なんですけど、ちょうど絵本のようなことがありまして。

内田:ええー! どんなことですか?

坂本:娘とカナダのバンクーバー沖にある島に滞在したことがあるのですが、娘が大切にしていたウエストポーチを公園に置き忘れてしまったんです。帰りの船で忘れたことに気付いて、遠ざかっていく島を見ながら号泣していました。

内田:あらら、かわいそう。どうやってなだめたんですか?

坂本:そのときの私は、あまりにも悲しんでいる娘の姿を見て一緒に泣いてしまって……。

内田:かわいい親子!

坂本:「また、あの島に行こうね」って娘と話していたら、夫がInstagramにウエストポーチを公園に忘れたことを投稿したんです。そうしたらミラクルが起きまして。島に住んでいらっしゃる日本の方が、たまたまその投稿を読んでくださって連絡をしてくれたんですよ。

内田:すごい奇跡が起きていますね。

坂本:その方がすぐに公園に向かってウエストポーチを見つけて、送ってくださったんです。ミラクルでした。絵本の場合ですと、「たとえ大事な存在が戻ってこなかったとしても、ちゃんと別の世界で仲間と暮らしているよ」というメッセージに続いていくんですよね。

内田:いろんな捉え方ができる作品だと思います。残念なことだけれど、ものでも人でも、大切なものとの別れはいつか訪れる。そういうときに、共にしたひとときが、まるで奇跡のようにかけがえのないものとなる。そう思えるのは、終わりがあるからこそかもしれませんね。そして、だからこそ今、目の前にある存在を愛でることができる。

あるいは、「大切な存在はずっと心のなかに生き続けているよ」ってことかもしれない。大事なのは、一緒に過ごしたひとときを自分の心のなかでどう捉えていくかがテーマなのかなと思います。

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内田さんが翻訳を手がけたイギリスの絵本「こぐまとブランケット 愛されたおもちゃのものがたり」(L.J.R.ケリー (著)、たなかようこ (絵)/早川書房)は現在発売中です。ぜひ、チェックしてください!

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次回4月5日(月)のゲストはゴスペラーズ・酒井雄二さん、6日(火)は山田邦子さん、7日(水)はTENDREさん、8日(木)は崎山蒼志さんです。どうぞお楽しみに!

<番組概要>
番組名:坂本美雨のディアフレンズ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:毎週月〜木曜11:00〜11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/dear/