作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの特別番組「村上RADIO」。12月20日(日)の放送は「村上RADIO〜マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます〜」と題して、村上さんが愛聴する名盤をスタジオに持ち込み、村上さん本人の曲解説とともにお届けしました。また今回は、リスナーから届いた多彩なメッセージにユーモアたっぷりに答えました。この記事では、メッセージコーナー(後半)でお話された概要を紹介します。


■熊本県 事務職 女性 26歳
大好きだけど、どうしてもお別れせざるを得ない人とお別れしました。どうやったら、その人のことを考えないようになり、この喪失感と孤独を乗り越えることができますか?

お気の毒です。そういうのって、つらいですよね。どうやったら「この喪失感と孤独を乗り越えることができるか」ということですが、結論から言うと、そんなの乗り越えなくていいんです。喪失感と孤独を抱えて生きていくのって、ある程度大事なことです。人はそうやって成長していくものです。というか、そのような期間がどこかでないと、人はうまく成長できません。「つらいなあ、きついなあ」と思ったら、「でもこれは私にとって必要なことなんだ」と思ってください。魂の筋トレみたいなものです。がんばって強い筋肉を身につけましょう。そうしているうちに、喪失感と孤独も自然に薄らいでいきます。

僕にもそういう経験はありますけど、そういうときって、いろんなものが身にしみます。音楽とか文学とか、あるいはただの風景でもいいんだけど、そういうものを前にして、いつもとは心の響き方が少し違ってきます。その違いをじっくり噛みしめてください。それがきっと、あとになってあなたの役に立ちます。がんばってね。

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■埼玉県 57歳 男性 会社員
私には高校生の息子と中学生の娘がいます。本好きに育てようと手を尽くしました。しかし、すべてがゲームとスマホに駆逐されてしまいました。カメラと時計もスマホに駆逐され、高級品のみ生き永らえています。音楽や文学も形あるメディアは壊滅的な状況で、やはり高級路線が生き残る道でしょうか? 文学も音楽も平等であることが価値の1つだと思います。

うーん、最近電車に乗っても、本を読んでいる人ってほとんど見かけませんね。新聞を読んでいる人もいない。みんなスマホの画面をじっと睨んでいます。たしかに音楽や文学は駆逐されているみたいです。

でもね、もともとスマホに駆逐される程度のものだったとしたら、そりゃ駆逐されてもしょうがないんじゃないでしょうか。厳しいことを言うようだけど、僕はそう思います。

僕はいつも言うんですけど、本当の音楽とか、本当の文学とかを理解する人の、あるいは理解しようと努める人の数って、だいたい全人口の5%くらいなんです。その5%のコアな人たちは、流行り廃りに関係なく、日常的にしっかり腰を据えて本を読んだり、音楽を聴いたりします。たった5%かって思われるかもしれませんが、でも日本の場合、5%だとだいたい600万人くらいになりますよね。そういう人が600万人もいれば、それでまあ十分じゃないですか。けっこう豊かなマーケットになります。そういう意味合いで、僕は今の状況に対してそれほど悲観的ではないんです。

この番組だってね、僕の気持ちとしては、その「5%の人たち」に向けて発信しています。マーケット・リサーチみたいなものとは、ほとんど真逆をやってるわけです。それでもちゃんとこうして続いていますから、ありがたいですね。



■栃木県 38歳 男性
オンライン・ライブをやっていただけないでしょうか? 「村上RADIO」の生中継でも構いません。映像でも楽しめたら、感無量です。猫山さんもゲストでぜひ。

去年、「村上JAM」というライブをやりまして、好評をいただきました。僕も楽しかったです。今年もまた「村上JAM2」をやりたいねと言ってたんですけど、ご存じのようにコロナ状況で残念ながらそれは叶いませんでした。でも同じように、「村上JAM」をまたやってもらえないか、というリクエストがけっこうたくさん届いております。

そこで一念発起しまして、「村上JAM」オンライン版というのをやろうということに決まりました。日時は来年の2月14日(日)、バレンタインデーですね。前と同じように、僕と坂本美雨さんが会場で進行役をつとめます。でも完全オンラインだともうひとつ盛り上がりませんので、100人限定で会場チケットを発売したいと思います。

今回は「ボサノヴァ・ナイト」、アントニオ・カルロス・ジョビンさんへのトリビュートが中心になります。出演メンバーは追ってお知らせしますが、あっと驚く意外な人たちが登場します。お楽しみに。

詳しいことは「村上RADIO」のオフィシャルサイトをご覧になってください。猫山さんの予定も聞いてみましょう。

「みゃ〜〜お」

そんな先のことは分からないとおっしゃっています(笑)。

さらに、もうひとつサプライズがあります。
2020年、今夜が最後の放送……と思っていたんだけど、急きょ「年末年始年越し特番」をやろうじゃないかということになりました。大晦日の夜の11時から、年明けの午前1時まで、生放送で「村上RADIO」をお届けします。「村上RADIO」も次で20回目になるんですけど、生放送ってこれが初めてです。やはり緊張しますよね。緊張して何か変なことを口走らないといいですけどね。

こちらの番組も、やはり坂本美雨さんが手伝ってくれます。お正月ですから、リスナーのみなさんにも何かお年玉も用意しましょう。素敵なゲストもお呼びしています。最高の音楽とともに年を終え、最高の新年を迎えられるといいですね。

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■今年の年越しは「村上RADIO」で

JFN年末年始特別番組として、12月31日(木)に年越し特別番組「村上RADIO年越しスペシャル〜牛坂21〜」をオンエア。同番組では村上さんが「明るい2021年を迎えるための選曲」をお届けします。番組にはスペシャルゲストとして、霊長類学者・前京都大学総長の山極壽一先生、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥先生も出演。豪華な対談をお届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限:2020年12月28日(月)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:村上RADIO〜マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます〜
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時:12月20日(日)19:00〜19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/