作家・村上春樹さんと坂本美雨さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FM/JFN全国38局フルネットの年越し生特番「村上RADIO年越しスペシャル〜牛坂21〜」が、2020年12月31日(木)23:00から2021年1月1日(金・祝)1:00まで放送されました。この記事では、スペシャルゲストの霊長類学者・京都大学前総長の山極壽一先生、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥先生とのエンディングトークの概要を紹介します。


村上RADIO



番組初・村上さん初の生放送となった「村上RADIO年越しスペシャル〜牛坂21〜」。いろいろあった2020年を締めくくり、明るい気持ちで新年を迎えるべく、大晦日の京都のスタジオから2時間の生放送でお届けしました。今回は、村上さんによる「明るい2021年を迎えるための選曲」や、ゲストに京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授、霊長類学者の山極壽一京都大学前総長を迎えたスペシャル対談をオンエア。また、メッセージテーマ「2020年で一番よかったこと」を募集し、メッセージが採用されたリスナーには、村上さんから特製ラジオネームの“お年玉”がプレゼントされました。

*  *  *

◆Chet Atkins+Mark Knopfler「I'll See You in My Dreams」

美雨:JFN年末年始特別番組「村上RADIO年越しスペシャル〜牛坂21〜」。村上春樹さんと坂本美雨がJFN38局を結んで生放送でお送りしてきました。今回は、京都のFMラジオ局「α-STATION(アルファステーション)」にご協力いただきました。春樹さん、いま流れている「クロージングナンバー」は?

村上:これは「夢で会いましょう」、“I'll See You in My Dreams”。1924年に作曲されたとても古い曲ですが、チェト・アトキンズとマーク・ノップラーが仲良くギター・デュオで演奏します。

「ダイアー・ストレイツ」のリードギター、ノップラーはカントリーギターのレジェンドであるアトキンズさんを昔からリスペクトしていて、強く望んでこのギター共演アルバム『Neck And Neck』を実現させました。みなさんもどうか楽しい初夢をみてください。夢のなかで素敵な人に会えるといいですね。



今日の最後の言葉はアルゼンチンの作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges)です。彼は自分では気づかずに、昔書いたのとまったく同じ詩を書いて発表してしまいました。そのことを指摘されて、彼はこう言っています。

「詩人にはほんとうに言いたいことは5つか6つくらいしかない。一生掛けてそれをただ言い換えているだけなのだ」

その気持ち僕にもよくわかります。そう、詩人にかぎらず、僕らがほんとうに言いたいことなんて、結局5つか6つくらいしかないんです。でも、それをきちんと見つけるのはけっこうむずかしいです。みなさんもがんばって見つけてください。



美雨:さあ、この番組もあっという間で、残り時間もわずかになってきました。スタジオには、もう一度、山中伸弥さん、山極壽一さんにお越しいただきました。いかがでしたか、一緒に年越しをさせていただきましてありがとうございました。

山中:本当に、2時間があっと言う間でしたね。こんな素敵な2021年の始まりを迎えられて、きっと丑年の今年は素晴らしい年になると確信しています。

(モウ〜〜)

山極:いやあ、牛とゴリラは相性がいいと思いました。牛の歩みで、ゴリラのドラミングで、良い1年にしましょう。

村上:「AB型の伊勢エビ」さんと「ゴリラの背後霊」さんでした(笑)。

美雨:私は、ゴリラのドラミングが掌であることを初めて知りました。

村上:今度、「猿の惑星」を観るときは注意して観ましょう。

美雨:春樹さんにとっても初めての生放送でしたけれども、いつもと違いましたか?

村上:いつもと違って、緊張しました。

美雨:でも、春樹さんの選曲で年を越せたのは、とても豊かな気持ちになりました。

村上:「紅白歌合戦」を抜いているといいですね。

美雨:何で抜きましょうか(笑)。今年は丑年ということで、「牛」は誠実さや勤勉さの象徴ということなんですね。春樹さんはもちろん勤勉さはありますよね。

村上:僕は、「丑年でやぎ座のA型」という超勤勉型なんです。すごいでしょ。

美雨:今年もたくさん書いていかれるんですね。年男ということで、今年も春樹さんの年になりそうです。

村上:はい。がんばって仕事します。

美雨:山極先生も……今年は走られますか?

山極:いや、僕は走るのは慣れてないんですよ。アフリカで走ってるのは、悪いことをした人だからね(笑)。歩くのがいちばん。僕も若い頃は走ってましたけどね。ゴリラは走らないんです。歩く。ゴリラは、子どもが危険になったときだけ走る。やはり、走ることには相当な意味があるんです。悪いことをしたか、自分のいちばん大切なものが危険にさらされているか、どちらかです。

村上:僕はギリシャの島に住んでいたとき、朝ジョギングしていると、よく呼び止められました。そんなに急いでどこへ行くんだと。そのころ、「ただ走っているだけなんだ」と言っても分かってもらえませんでした。ジョギングしている人はほとんどいなかったから。

美雨:何のために走るのかということで言うと、山中先生は?

山中:僕は瞑想、メディテーションです。とくに、こういうコロナの時期は、走ることで心身を整えるというか、ピンチをチャンスにということで、海外に行けない分、時間がたくさんありますからいっぱい走っています。

村上:僕は走っているときには、何も考えてないですけど(笑)。

山中:何も考えないのがメディテーションになっているんだと思います。

美雨:今年も計算通りにいかない日々が続いていくかもしれませんが、楽しいことを見つけて、好きなものを愛でていきたいですね。

村上:山中先生も山極先生も、好きなことに人生を賭けている方ですからね。

山中・山極:(うなづく)。

美雨:2021年が、みなさんにとって素敵な1年になりますように。「村上RADIO年越しスペシャル」、ここまでのお相手は、坂本美雨と……

村上:村上春樹でした。それではまた。

*   *   *

▼2月14日(日)開催! 村上春樹さんのイベント「MURAKAMI JAM」オンライン配信チケット好評発売中▼

「MURAKAMI JAM」は、村上春樹さんがTOKYO FMをはじめとするJFN38局で隔月放送している番組「村上RADIO」から生まれた音楽イベントで、初回は2018年6月に開催。その際は完全招待制で、150名の招待枠に対して、12,000通を超える応募が集まるプレミアイベントとなりました。

音楽監督・大西順子さんを中心にジャズ界の一流ミュージシャンが集い、村上さんとの豪華競演が実現し、大盛況となりました。

そして今回、TOKYO FM開局50周年の記念事業として、村上さんとのタッグのもと、「MURAKAMI JAM〜いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova〜 supported by Salesforce」と題して、2月14日(日)にボサノヴァのライブイベントを開催、オンラインで配信します(100席限定の会場チケットはすでに完売)。開局50周年の節目は奇しくもコロナ禍と重なり、今回が記念事業として開催する唯一のライブイベントとなります。

今回のテーマは「ボサノヴァ」。音楽監督には前回に引き続き、大西順子さんを迎えるほか、小野リサさん、村治佳織さん、坂本美雨さん、さらにスペシャルゲストのピアニスト・山下洋輔さんを始め豪華アーティストが多数出演し、ラグジュアリーな時間をお届けします。もちろん、DJ村上春樹さんによるライブ・トークもたっぷりと予定しています。

このような時期だからこそ、「“愛”を持ち寄って、素敵な音楽を楽しむ喜びを分かち合いたい」という想いのもと、バレンタインデーに開催する1日限りの豪華スペシャルセッションに、どうぞご期待ください!

「MURAKAMI JAM〜いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova〜 supported by Salesforce」オンライン配信チケットは現在発売中。配信時間は2021年2月14日(日)19:00から。



■前売り券:3,500円(税別)(※2月13日(土)23:59まで販売)
■当日券:4,000円(税別)(※2月14日(日)0時以降<日本時間>)

英語字幕付きオンライン配信チケットは、
■前売り券:4,000円(税別)(※2月16日(火)23:59まで販売)
■当日券:4,500円(税別)(※2月17日(水)0時以降<日本時間>)

配信時間は2021年2月14日(日)19:00から予定(※変更可能性あり)。
配信後1週間アーカイブ視聴が可能です。

チケット販売については、こちらの公式ページもご覧ください。

<ライブ概要>
公演名:「MURAKAMI JAM〜いけないボサノヴァ Blame it on the Bossa Nova〜 supported by Salesforce」
配信日時:2月14日(日)19:00〜
司会:村上春樹、坂本美雨
ゲスト:大西順子(音楽監督)、小野リサ、村治佳織 ほか
スペシャルゲスト:山下洋輔
主催:TOKYO FM
特別協力:Salesforce
制作協力:DNP大日本印刷
公式サイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/jam/