禁酒法の時代に、こっそりひそかに経営していたBAR『SPEAKEASY』。2020年の東京の街にも、そんなひそかなバーがありました。月曜から木曜の深夜1時にOPENする“ラジオのなかのBAR”『TOKYO SPEAKEASY』。各界の大物ゲストが訪れ、ここでしか話せないトークを展開するとか、しないとか……。

5月5日(火・祝)のお客様は、お笑い芸人のマキタスポーツさんと劇作家の宮沢章夫さんです。


(左から)マキタスポーツさん、宮沢章夫さん


◆“お笑い”の本質
宮沢:シティボーイズと僕が、何年か前に舞台を久しぶりにやったんですね。それで、やっぱりお客さんがすごく笑うんで、ちょっと僕も驚いたんですよ。“みんな、笑いたくて来てるんだな”と。だから、「あー、こういうことでもウケちゃうんだ」とかっていうのもありましたけどね。

マキタ:お笑いは、本質的にそういう問題がずっとありますよね。“笑いに来てる”っていうことが。

宮沢:うーん、ありますね。

マキタ:“笑いには抑圧が必要”みたいな話もありますよね。

宮沢:ありますね。飢えていなければ、お笑いとして享受しようとは思わない、ってことはあるでしょうね。幸福なことは、もちろん良いわけですよね。僕たちの生活が幸福であるということは、もちろん良いんだけど、そういうとき、そうじゃないときに、いかに私たちに何か“喜び”をもたらすかっていうのに、“笑い”は1つの役割かなと思いますけどね。それと、不幸な時代の観客は笑いに厳しいですよ。少々のことでは笑わないから、芸人さんを鍛えるでしょう。

◆“毒”のある笑い
マキタ:いま、新型コロナで緊張状態っていうか。でも、お笑い的には、そういうのも1つのチャンスかもしれないですね。だけど、それ自体がちょっとためらわれる世の中なのはちょっと苦しいですけど。

宮沢:僕はね、80年代のタモリさんやたけしさんについて“毒のある笑いだな”って当時は言っていたんですよ。でも、いまじゃなかなか“毒”っていうものが許されない時代じゃないですか。

マキタ:そうですね。

宮沢:ある芸人さんが、風俗の女性のことをラジオで話して問題になる。これは、確かに問題だと思うんです。ただね、そうじゃなくて、“笑いとして面白いか?”っていうと、そんなに面白くないんじゃないか、と。あのことは僕は否定しますけど、ただ、“毒を言ってはいけない何か”ですね。もう1つ別の何か、批評性とか、悪意とまでは言わないけど、何か、笑いにもう1つスパイスが入った……スパイシーな笑い(が欲しい)。

マキタ:スパイシーな(笑)。いま思いついただけじゃないですか?

宮沢:はい。その通りです。何故思いついたかと言うと、昨日、下北沢の曽我部恵一さんがやっているカレー屋さんのカレーをお弁当で買いまして、それがスパイシーカレーだったんです(笑)。

マキタ:そこに置いてあったから、言っちゃっただけじゃないですか。

宮沢:はい、すいません(笑)。

◆宮沢章夫の仮想敵は“ドリフターズ”
マキタ:僕なんかは、“宮沢さん”って何なんだろうって思うんですよ(笑)。いまって、お笑いを学校に行って学んだりできる時代じゃないですか。それで、80年代に漫才ブームとかがあって、新しい人たちがワッと出てきた。だけど、演劇なのか笑いなのか、何だかよく分からないところからワッと、全然新しくて面白いことをやろう、ということを志していたわけじゃないですか。

宮沢:そうですね。

マキタ:あれって“お笑い”というか、何というか……。

宮沢:でも、“笑いは笑いだ”と自覚はしていましたけどね。“笑わせるんだ”と。ただ、仮想敵っていうのがいるわけですよ。

マキタ:そのときの仮想敵は?

宮沢:ドリフターズですね。

マキタ:ドリフかあ。

宮沢:「ドリフになっちゃいけない」っていうことを、しばしば口にしていたような気がするんですよ。「これだとドリフだな」と。

マキタ:でも、明確に筋道があってオチがあるとか、そういうことではないものをやられていたじゃないですか。“全然オチがない”とか。

宮沢:何故、オチのあるコントが面白くないのか、っていうことを、あるとき気が付いたんですよ。それは、“オチのために我慢しなきゃいけない人たちがいる”って。

マキター:あー。

宮沢:それは、“オチに奉仕する”って呼んでいたんですけど、そうじゃなくていいんじゃないかと。最初から面白いことをして、生き生きとして良いんじゃないかって。オチのためにずっと黙っている人とか、オチのために何かジッとしてる人とか。

マキタ:そういう風に聞くと、だいぶ様子がおかしいですけどね(笑)。オチのために我慢をしている人がいる、っていう状況はかなりおかしいですよね。

宮沢:実はね、10年ぐらい前だったかな。ワークショップをやっていて、非常に上手いコントを作っちゃったグループがいたんです。オチのある。それで、(コント中)1人がずっと黙っていて。

マキタ:あいつ黙ってるぞ(笑)!

宮沢:だけど、(オチの前に)時間がきちゃったから、「はい、そこで終わり」って言ったら、すごいガッカリしちゃってた(笑)。

マキタ:そりゃガッカリしますよね(笑)。よくできてたコントだから黙っていたのに。

宮沢:“そういうのは損じゃない?”って思っちゃうんですよね。

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5月20日(水)のお客様は、東野幸治さん×結さんがご来店。一体どんな話が飛び出すのか……!? お楽しみに!

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<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00〜26:00
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/speakeasy/