作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの緊急特別番組「村上RADIO ステイホームスペシャル 〜明るいあしたを迎えるための音楽」が、5月22日(金)に放送されました。

「村上RADIO」シリーズの「緊急特別版」となる本番組は、「新型コロナウイルスをめぐる厳しい状況やつらい気持ちを、音楽の力で少しでも吹き飛ばせたら……」という村上さんの思いに応えて立ち上がった企画。約2時間にわたり、村上さんが選曲した楽曲やリスナーから寄せられたメッセージを紹介しました。本記事では、後半3曲についてお話しされた概要を紹介します。


◆Bob Marley & The Wailers「Sun Is Shining」
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「Sun Is Shining」。僕はボブ・マーリーの『Natural Mystic』というアルバムで、この曲を知ったんですけど、このCDは自分で買ったんじゃないんです。ずっと前にハワイのマウイ島でレンタカーを借りたら、カーステレオにこのCDが残されていたんです。前に借りた人が取り忘れたんですね。よくあることです。で、それを聴きながらずっとマウイを回っていて、すっかり音楽が気に入りまして、車を戻すときに何も言われなかったので、そのままいただいてきました。でもね、そんなわけでケースなしの、裸のCDだけを持っていたんです。ところが、その2年後のある日……。ホノルルの「グッドウィル」という救世軍みたいなショップで、この『Natural Mystic』のケースとライナーノートだけ、中身なし、っていうのを見つけました。ついていた値段は1ドルでした。きっとマウイでCDを忘れてきた人が、ケースとライナーだけをそこに寄付していったんですね。もちろん僕は1ドル払って、それを買ってきました。というわけで、今では中身と容れ物が揃った完全な『Natural Mystic』を、ここにこうして所有しています。巡り会いというのは、本当に面白いものです。うん、人生の幸運を信じましょう。

◆Louis Armstrong「What a Wonderful World」
ルイ・アームストロングの晩年の名曲「What a Wonderful World」(この素晴らしき世界)です。素敵な曲ですが、レコードを販売したABCパラマウントの重役が、なぜかこの曲が大嫌いで、まったく宣伝をしなかったんです。だからアメリカではぜんぜん売れなかった。でもイギリスを始め、他のいろんな国で大ヒットして、それからアメリカでもだんだん知られるようになりました。世の中、捨てたもんじゃないですね。しかし、映画『グッドモーニング、ベトナム』でのこの曲の使い方、皮肉がたっぷりきいていて、実に素晴らしかったですよね。

◆Kate Taylor「Happy Birthday Sweet Darling」
コロナウイルスのせいで、いろいろとつらい思いをされている方も多いでしょう。とくにこの時期に誕生日を迎えた人、あるいは近く迎える人は、きっとすごくつまらないですよね。こんな状態だから、みんなに祝福されるというのもむずかしいだろうし、美味しいものもなかなか食べにいけないし、プレゼントもそんなにもらえないかもしれない。そういう人たちのために、僕がバースデー・ソングをプレゼントします。ジェームズ・テイラーの妹、ケイト・テイラーが「Happy Birthday Sweet Darling」を歌います。これ、なかなか素敵なんです。僕は自分の誕生日によく聴いています。古いLPでおかけします。

お誕生日おめでとう。You're a little bit older now. ――君は少しだけ歳を取ったんだね。うん、来年の今頃はきっと、たくさんいいことがありますよ。

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聴取期限 2020年5月30日(土) AM 4:59 まで

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<番組概要>
番組名:村上RADIO ステイホームスペシャル 〜明るいあしたを迎えるための音楽
放送日時:2020年5月22日(金)22:00〜22:55(PART1)、23:00〜23:55(PART2)
放送局:TOKYO FM/JFN全国38局フルネット
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/