UoC UNIVERSITY of CREATIVTY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。

6月15日(水)の放送では、元NHKの制作ディレクター、小国士朗(おぐに・しろう)さんがゲストに登場。社会問題を解決するヒントや、世界的な広がりを見せるプロジェクトについて語ってくれました。

(左から)Misa、小国士朗さん、Hide


小国士朗さんは、NHKでドキュメンタリー番組を制作するかたわら、スマホアプリや動画配信サービスの編集長を務め、2018年に退局。その後、認知症の方がホールスタッフをつとめる「注文をまちがえる料理店」などを手掛けています。

現在はフリーランスのプロデューサーとして活動しており、社会問題を解決するヒントをまとめた書籍「笑える革命 ――笑えない『社会課題』の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説」(光文社)を2022年3月に出版しました。

◆“笑いの力”で社会問題を解決するヒントを探る

Hide:僕は元々「注文をまちがえる料理店」ってすごい企画だなと思っていたので、今回の書籍(「笑える革命 ――笑えない『社会課題』の見え方が、ぐるりと変わるプロジェクト全解説」(光文社))も読ませていただきました。革命って言うと古臭く感じるんだけど、そこを“笑える”ことに変えるのって、大きなクリエイティブのポイントだと思うんですよ。文章に線を引きまくって読ませていただきました(笑)。

小国:あはは(笑)。

Hide:今回は改めてお話を聞きたいなと思ってお呼びしました。まず、書籍を出版した思いを教えていただけますか?

小国:僕は元々NHKのディレクターとして、社会課題を取材して多くの人に広く伝えていたんですね。「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」「プロフェッショナル 仕事の流儀」といった番組を手掛けていました。

そういう番組を作っていたなかで、33歳のときに突然心臓病になり、番組を作れなくなったんですよ。わりとショックなことではあったんですけども、逆に言うと“チャンス”でもありました。「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、現役世代に向けて作っていた番組だったんですけども、実際にデータを取ってみると、一番観てくれていたのは60代の独居男性だったんですよね。

Hide:そうだったんですか。

小国:(観てくれているのは)嬉しいんだけど、狙っていた層に届いていないっていうギャップがすごくありました。病気になって番組が作れなくなったとき、「テレビ番組で届けきれないのであれば、テレビじゃない方法で情報を届けられないだろうか」と思って、そこからは「番組を作らないディレクター」と名乗るようになったんです。

さまざまなプロジェクトを手がけながら、なかには世界中の方に知ってもらえるようなものも生まれたりしました。そんななか、いろんなプロジェクトを見てくれた人から「小国さんのやっていることって“笑える革命”ですよね」と言ってくれたんですよ。

Misa:おお!

小国:企画をしている僕だったり、一緒に作っている仲間だったりが笑っている。それを世の中に出して、企画に触れてくれた人も笑っている。みんなが手を取って、笑って、社会の風景が段々と変わっていく。その光景を見て、“笑える革命”と言ってくれたんですよ。言い得て妙だなと。「笑える革命をまとめてみてもいいのかな」と思って、2年半ぐらいかけて本にした感じですね。

◆「注文をまちがえる料理店」の誕生秘話

Hide:「注文をまちがえる料理店」はわかりやすいプロジェクトだと思うので、内容を改めてご説明していただけますか?

小国:「注文をまちがえる料理店」は、注文を取って配膳をするホールスタッフがみんな認知症という、イベント型のレストランです。スタッフのみなさんは認知症の方なので、注文を忘れたり、間違えたりすることがある。だけど、「注文をまちがえる料理店」という店名なので、間違いが起きてもお客様が誰も怒らないんですよ。むしろ、間違いが起きちゃってもみんなが受け容れてくれる。「間違えちゃったけど、まあいいか」をコンセプトにしたレストランですね。

Hide:このプロジェクトは、世界的にも広がったんですよね?

小国:そうですね。日本では30ヵ所以上で展開していて、海外では東アジア、ヨーロッパ、カナダでも展開されています。

Hide:プロジェクトを広げていく上で気を付けたポイントは何でしたか?

小国:「認知症の人がキラキラ輝く社会を作りましょう」って言うと、立ち止まってくれる人が少ないんですよね。僕は「この指とまれ」と言っているんですけども、子どもの頃の遊びのように、ワーッと集まることもあれば全然人が来ないことがプロジェクトにもあると思っているんですね。いろんな人がとまることのできる指を作らないといけない。その指に込めるメッセージが一番大切だと思ったんです。

「認知症の人がキラキラ輝く社会を作りましょう。この指とまれ」って言うと、おそらく介護の専門職やその世界ですごく頑張ってこられた方は立ち止まってくれると思うんです。だけど、僕みたいな“にわか”は、「認知症のことをもっと勉強しないとだめなんじゃないか」みたいなことを思いがちなんですよ。広げるときにはビギナーにも「とまってもいいんだ」と思えるメッセージを考えないといけないんです。

Hide:うんうん。

小国:それで、僕たちは「間違えちゃったけど、まあいいか」というメッセージを込めて指を掲げました。間違えることは誰にだってあることですからね。

Hide:「指にとまる話」と「にわかの人を大事にする話」は本のなかでも書かれています。そもそも、小国さん自身もにわかだっていうスタンスなんですよね。ソーシャルアクションをいろいろやって、もちろんそれに対する勉強はするんだけども、「自分はにわかだ」っていうスタンスから始めたのは大きなポイントですよね?

小国:大きいですね。「注文をまちがえる料理店」をやったのは、NHKに所属していた頃だったんですけど、「プロフェッショナル 仕事の流儀」で取材したときに思いついたプロジェクトだったんです。(認知症は)難しいテーマなので、僕なんかが扱ってはいけないテーマなんじゃないかと思っていたんですけども、実際に関わってみるとマイナスの側面だけじゃないことがわかったんですよ。思わず「ふふっ」と笑っちゃうようなシーンがあるんですよね。何もわかっていなかった素人の僕が笑ってしまう、その場面がすごく大事だと思いました。

僕は間違いが起きたとき、「指摘して正す」って方法しか知らなかったんですけども、間違いが起きたときにその場にいた人たち全員が受け容れちゃえば、「間違いがなくなる」っていうことに気付いたんですよ。コロンブスの卵みたいな発見でした。

(左から)Hide 、Misa、小国士朗さん


◆“素人の違和感”が社会創造を生み出すヒントになる

Misa:小国さんにとって、ワクワクする社会創造のタネって何ですか?

小国:僕は「素人の違和感」なんじゃないかなって気がします。素人の人たちが熱狂したり、前のめりになったり、手に取りたくなっちゃうモノが、社会創造のタネになるんじゃないかなと思っています。注文したハンバーグが餃子になるってことが、素人の僕にとっては“面白い”と思ったわけです。そういった、素人が思わず掴み取りたくなることに社会創造のタネがあるのかなって気がします。

Misa:初心を忘れないようにしたいですね。勉強になりました。

Hide:素人の違和感を大事にしているからこそ、素人がたくさん(プロジェクトに)乗りたくなっちゃう。それを今回のお話ですごく感じましたね。



次回6月22日(水)は、UoCテックフィールドディレクターの須田和博とUoCメタバースゼミ担当者のエリカさんがゲストに登場します。お楽しみに!

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聴取期限 2022年6月23日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala