本部長・マンボウやしろと秘書・浜崎美保がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「Skyrocket Company」。毎月第2水曜日に、我々が知っているようでよく知らない「お金」や「経済」の仕組みなどを、専門家の方に詳しく解説してもらうコーナー「スカロケ資産運用部」をお届けしています。

9月8日(水)の放送では、愛と経済の伝道師“宗さま”こと三井住友DSアセットマネジメントの宗正彰(むねまさ・あきら)さんに、「デジタル庁の発足に伴う日本版DXと2025年の崖」というテーマでお話を伺いました。

(左から)マンボウやしろ、宗正彰さん、浜崎美保


◆デジタル庁の具体的な動きとは?

浜崎:今回は「デジタル庁の発足に伴う日本版DXと2025年の崖」について、お話しいただけるということですが。

やしろ:9月1日(水)に発足したばかりのデジタル庁ですが、まずはその機能と体制を教えていただけますでしょうか。

宗正:デジタル庁の発足は菅内閣の目玉政策の1つです。政府が推進するデジタル改革の司令塔としての役割を担います。これまで縦割りになりがちだった各省庁や自治体が進めるデジタル行政において、勧告権や管理・監督権などを駆使して、総合的な調整をおこないます。その体制は約600人。そのうち、なんと3分の1の約200人が民間人なんです。

やしろ:これはすごいことですよね。他の省庁の体制は、その多くが公務員ですからね。

宗正:この国のデジタルやIT分野は、特に民間優位ですからね。企業や専門家の意見をどんどん取り入れていく体制にしたということ。政府の本気度がうかがえますよね。

やしろ:デジタル庁は、具体的にどのようなことから着手するのでしょうか?

宗正:分かりやすいところでは、マイナンバーカードの活用促進。2016年に始まったこの制度、カード自体の普及率は8月1日の時点で36.0パーセント。約3人に1人ということで、まだまだ浸透しているとは言えない。マイナンバーカードを活用する関連サービスが少ないことも、低い普及率の一因でしょうね。

ただ、ここから先は新たな関連サービスが急速に拡がる予定です。例えば、口座をあらかじめ登録しておけば、被災時の給付金などが自動的に振り込まれる。これは、来年度からの開始が目標。

やしろ:去年の1人10万円の新型コロナ給付金のときも大変でしたもんね。その他には何かありますか?

宗正:この10月からは、マイナンバーカードを健康保険証として使える医療機関や薬局などが出てきます。さらには令和6年度の末までには、運転免許証との一体化を目指す。その他には、新型コロナのワクチン接種を示す、いわゆるワクチンパスポートとしての機能を持たせる、これは年内の実用化を予定しています。デジタル行政にはスピード感も求められますからね。

やしろ:マイナンバー対応以外に、デジタル庁が手がけようとしていることは?

宗正:国や全国の自治体のITシステムの統合、そして改善ですね。今現在、各省庁のITシステムはバラバラと言っても過言ではない状況。この国の過去20年間のIT関連の歴史が急速に進化する過程だったので、ツギハギだらけになってしまったのは致し方ないとも言えるのですが。

もっとバラバラなのが全国の自治体、つまり都道府県や市町村です。昨年の新型コロナの1人10万円給付のときの大混乱、あの状況はそうなるべくしてなったと言わざるをえない。

やしろ:国や全国の自治体のITシステムの統合や改善が進むと、具体的にはどのような便利なことが考えられますか?

宗正:例えば転居を伴う引っ越しのとき、やたらと届出が多いですよね。電気・ガス・水道・郵便局の転送届、あれもしてこれもやってみたいな。あの届出を一度で終わらせることも可能になります。

やしろ:それは楽だな!必要な届出を落とすこともないし、間違いもない。

宗正:同時に、人的そして財政的な負担を削減できるので、自治体はその分、他の住民サービスに力を振り向けることができる。大きなメリットですね。

◆デジタルトランスフォーメーションが不可欠である理由

やしろ:日本のデジタル行政は先進国のなかで遅れているとよく言われますが、主な理由は何だと思いますか?

宗正:「個人情報が流出しそうで怖い」っていう国民感情と、それを受けて慎重にならざるを得なかったデジタル行政の遅れ、これが大きな理由の一つだと思います。国内でITが本格的に普及する過去20年の間で、実際にそういった事故も発生しましたからね。

やしろ:ITを活用する場合、結局のところ情報流出を防ぐことができないのではないかって思っちゃう部分もありますね。

宗正:その部分をカバーすることは、デジタル行政を推進する上で、欠かすことができない。発足したデジタル庁には、政府や自治体などのITシステムにセキュリティ監査などを実施することで、国民の個人情報を保護する役割も期待されています。

やしろ:そして、今日のテーマでもある日本版DX、これはデジタル庁の発足とどのような関係が?

宗正:DX、デジタルトランスフォーメーションは、ただ単にITやデジタルを活用するだけではなく、それを活用して世の中の仕組み自体を変えるということです。最終的にデジタル庁が目指すべき役割は、日本版DXの実現だと思います。

政府や自治体の仕組みを積極的に変えることで、同時に民間の仕組みも変わっていきます。特にこの日本では少子高齢化が加速することで、この先ますます労働力が細っていきます。そこで何が必要かというと「労働効率を高める」ということ。つまり、1人当たりの労働生産性を高めるということです。経済的な観点からも、デジタルトランスフォーメーションは、この国に不可欠なんです。

◆「2025年の崖」に言及

やしろ:そして、もう1つのテーマは「2025年の崖」ということなのですが、これは初めて聞きました。“崖っぷちの崖”っていう意味での2025年の崖ということなのでしょうか?

宗正:その通り“崖っぷちの崖”です。国内の既存のITシステムをこのままの状態で使い続けていると、老朽化や肥大化がどんどん進む。その結果、膨大なメンテナンスコストが発生することになります。そして想定外の事故が生じる可能性も高まる、これは危険ですね。

仮にデジタルトランスフォーメーションを進めることができなかった場合、2025年以降、毎年最大で12兆円もの経済損失がこの国では発生すると言われています。

やしろ:毎年ですか? そんなにですか!?

宗正:ええ。これは2018年に経済産業省がまとめたレポートのなかで明らかにされています。2025年は4年後、すぐですよ。これは、何とかしないといけない。

やしろ:デジタル庁も、それに向けて動いているということですか? なんとかなりそうなんですか?

宗正:これには、国をあげて国策として対応しなくてはいけない。デジタル庁に求められる役割が実現に向かえば、おのずと国をあげての動きになると見ています。そうならなきゃいけないことなんです。

今の時代、私たちの日常生活や業務フローは、その多くがITに紐づいています。デジタル庁が発足した今こそ、これらを見直す良いタイミングだと思いますね。

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<番組概要>
番組名:Skyrocket Company
放送日時:毎週月〜木曜17:00〜19:52(※コーナーは毎月第2水曜18:15ごろ〜)
パーソナリティ:本部長・マンボウやしろ、秘書・浜崎美保
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/sky/