2020年、新たな年代が幕を開ける。ここで改めて、各チームの過去10年間の戦績を通信簿形式で評価してみたい(通信簿は「よくできました」「まずまずです」「可もなし不可もなし」「がんばりましょう」の4段階)。今回は長く続いた低迷期を脱した広島の歩みを振り返ってみよう。

■2010年代通算成績
720勝674敗41分(勝率.516)/リーグ2位(12球団5位)
日本一:0回 リーグ優勝3回 CS進出:5回

通信簿:よくできました

 カープの2010年代は、1998年から12年連続Bクラスという暗黒時代の真っ只中で幕を開けた。この年、メジャー流の自主性重視の指導を行ってきたマーティ・ブラウン監督から、カープ一筋17年で球団伝統の猛練習を知る野村謙二郎監督にに交代。4年目の前田健太が史上最年少で投手三冠に輝き沢村賞を獲得したが、球団史上ワースト2の84敗を喫した。
  続く2年間も低迷したが、浮上への礎は徐々に整いつつあった。11年に丸佳浩がレギュラーを獲得すると、12年はドラフト1位ルーキーの野村祐輔が新人46年ぶりの防御率1点台の活躍で新人王を獲得。後半戦には同じく新人の菊池涼介も正二塁手に定着した。

 そして迎えた13年、前田、ブライアン・バリントン、野村、大竹の10勝カルテットを擁する強力先発陣の活躍でついに16年ぶりのAクラス入り、球団史上初のCS進出を果たした。この年限りで「天才打者」として人気と尊敬を集めた前田智徳がバットを置いた。なお、この年に球団高卒新人野手では14年ぶりの一軍出場を果たし、前田の引退試合に背番号51を背負って1番・右翼で先発出場したのが鈴木誠也だった。

 14年は再び3位でCSに進むもファーストステージで敗退。シーズン後、野村監督から緒方孝市監督にバトンが渡る。メジャーから黒田博樹、阪神から新井貴浩と低迷期を支えた投打の顔が復帰した15年はまさかの4位に沈んだが、16年ついに大輪の花を咲かせる。
  開幕前は前田のメジャー移籍で投手陣が不安視されていたものの、いざシーズンが始まると序盤から好調で6月以降は首位を独走。田中広輔、菊池、丸のいわゆる“タナキクマル”トリオの上位打線が確立され、22歳の鈴木誠也が3試合連続決勝弾を放つなど大ブレイク。球団の人気も全国区となり、「カープ女子」なる言葉も生まれて社会現象を巻き起こした。9月10日、多くのカープファンが詰めかけた東京ドームでついに25年ぶりのリーグ優勝。黒田も新井も、そして多くのファンも涙を流して喜んだ。

 働き盛りの20代の主力が投打の軸となり、17〜18年もセ界の頂点に立って球団史上初のリーグ3連覇を達成、黄金時代を築き上げた。ただしその間、日本一は一度も果たせず、本当の意味での歓喜を味わうことはまだできていない。18年を最後に攻守の要だった丸がFAで巨人へ移籍すると、昨年はBクラスに転落して緒方監督は辞任した。

 以前から育成力には定評がある球団だったが、低迷期を脱して黄金期を迎えた要因もやはり育成にある。特に丸や菊池、鈴木はドラフト時にそこまで高い評価を得ていたわけではなく、改めて才能を見抜く力と指導力に注目が集まった。
  眼力の確かさは助っ人外国人の発掘でも大いに発揮された。北米ルートでは球団外国人選手史上最長の7年間にわたって在籍したブラッド・エルドレッドを筆頭にバリントン、クリス・ジョンソン、デニス・サファテ、ジェイ・ジャクソンらが活躍。さらに、サビエル・バティスタやヘロニモ・フランスアらカープアカデミーからも優れた選手が現れた。単に優良助っ人が多いだけでなく、多くの選手を安いコストで連れてきている点も見逃せない。

 マルが抜け、タナキクにやや衰えが見える今、次代のチームを担う選手の台頭が求められている。小園海斗や坂倉将吾、森下暢仁らを主力に育て上げられるかどうかが20年代前半を占うカギになる。

文●城ノ井道人

【著者プロフィール】
しろのいみちと。会社勤めの後、渡米してMLB記者として全米を飛び回る。。日米問わず若手有望株への造詣が深く、仲間内で「日本版ファンタジーリーグ」を毎年、開催して次代のスター発掘に余念がない。

【カープPHOTO】第1クール最終日。シート打撃では鈴木、小園、正随がホームラン!
 

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— WBSC ⚾ #Premier12 (@Premier12) November 17, 2019