1946年の創設から74年。その長い歴史の中でNBAは何人ものスーパースターを輩出し、ファンを楽しませてきた。では、各チームの「歴代ベスト5」を選出したら、一体どんな選手が並ぶのか。『THE DIGEST』では、NBAに精通する識者に依頼し、全30チームのベストメンバーを選んでもらった。今回は1994年アキ―ム・オラジュワンを中心に初のリーグ制覇。翌95年は第6シードからプレーオフを勝ち上がり、連覇を成し遂げた「ヒューストン・ロケッツ」編をお届けする。

【ポイントガード】
カルビン・マーフィー
1948年5月9日生。175cm・74kg
在籍期間:13シーズン(1970〜83年)
成績:1002試合、平均17.9点、2.1リバウンド、4.4アシスト

 このチームのPGは優秀な選手がいても、あまり長く在籍しない傾向がある。スティーブ・フランシスは5年、クリス・ポールも2年しかいなかったので、13年のキャリアをすべてロケッツで過ごしたマーフィーを選ぶのが順当だろう。身長はたった175cm、出身大学も弱小のナイアガラだったが、とにかく強気にゴールを狙うスタイル。ボールハンドリングもパスセンスも最高級でありながら、ゲームメークそっちのけでシュートを打ち続け、平均5アシスト以上の年は2度だけだった。

 主にSGを務めた77−78シーズンはリーグ5位の平均25.6点、身長6フィート(183cm)未満の選手の25点超えは初めて。特にフリースローが正確で、80−81シーズンの成功率95.8%は史上2位だった。同年は78回連続成功の新記録も樹立したが「誰にも破られたくないから、この記録に近づくヤツは失敗しろ」と公言するなど、良く言えば負けず嫌い、悪く言えば大人げない態度を見せた(結局その後更新されている)。
 【シューティングガード】
ジェームズ・ハーデン
1989年8月26日生。196cm・100kg
在籍期間:8シーズン(2012年〜現在)
成績:606試合、平均29.6点、5.3リバウンド、6.3アシスト

「彼はマイケル・ジョーダンやウィルト・チェンバレンと同じレベルにある」とアキーム・オラジュワンがつい最近語った通り、こと攻撃力に関して言えば、この“髭男”がNBA史上有数であるのは間違いない。17−18シーズンに平均30.4点で得点王となり、MVPも受賞すると、続く18−19シーズンは36.1点。86−87シーズンのジョーダン(37.1点)以来となる高数値を叩き出した。

 相手が少しでも隙を見せれば3ポイントを打ってくる(ただし成功率は特別高くない)かと思えば、ペイントに切り込んでファウルを貰い、フリースローに持ち込むのも得意中の得意。中断している今季も含めると、15年から6年連続で最多フリースロー試投&成功、3ポイントも3年続けて最多試投&成功となっている。17年にはアシスト王に輝き、通算アシスト数でもロケッツの球団記録保持者であるように、単なる点取り屋ではない。かねて批判の多いディフェンスも本気で取り組めば水準以上と評価されている。
 【スモールフォワード】
ルディ・トムジャノビッチ
1948年11月24日生。203cm・98kg
在籍期間:11シーズン(1970〜81年)
成績:768試合、平均17.4点、8.1リバウンド、2.0アシスト

 ロケッツの歴史を振り返ると、最も人材が不足しているのはこのポジション。04年から6年間在籍したトレイシー・マッグレディ(平均22.7点、5.5リバウンド、5.7アシスト)はSG寄りで、純粋なSFから選ぶとロバート・リードになってしまう。というわけで、PFでの起用が多かったけれどもSFでも起用された“ルディT”が適任だ。ヘッドコーチ(HC)として94〜95年の2連覇に導いた印象が強いが、現役時代もロケッツの花形フォワードとしてオールスターに5回出場。レフトサイドから放つ正確なバンクショットが得意技で、このシュートの使い手としてはリーグ史上5本の指に入るとさえ言われている。

 オーランド・マジックなどでHCを務めたマット・グーカスは「現代ならきっと優秀な3ポイントシューターになっていたはず」と考えていて、平均20点以上を4回、10リバウンド以上を2回記録した。78年に乱闘でパンチをまともに食らい、選手生命どころか本物の命さえ危ぶまれるほどの重傷を頭部に負いながらも、無事にコートに戻ってきたことでも知られている。
 【パワーフォワード】
モーゼス・マローン
1955年3月23日生。208cm・108kg
在籍期間:6シーズン(1976〜82年)
成績:464試合、平均24.0点、15.0リバウンド、1.5アシスト

 ロケッツ創世期のスターだったエルビン・ヘイズも捨てがたいが、やはりロケッツ時代に2度MVPを受賞したマローンのインパクトが勝る。本来のポジションはセンターだったけれども、身長208cmでサイズ的にもPFに近い。ペイントでの支配力は圧倒的で、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ移籍後も含め、リバウンド王に輝くこと6回。自他ともに認めるハードワーカーはとりわけオフェンシブ・リバウンドに強く、78−79シーズンに奪った587本は史上最多。年間本数リストの1〜3位を独占している上、5位と7位にもランクされている。

 得てしてこの手のタイプはリバウンドに特化し攻撃力が弱かったりするが、マローンは攻撃面でも脅威だった。シュートレンジは狭くとも、多彩なポストムーブに加えてこぼれ球を次々に拾って得点を重ねていった。81−82シーズンは平均31.1点、14.7リバウンドで、75年以降では例のない年間30点&15リバウンドまであと一歩に迫った。
 【センター】
アキ―ム・オラジュワン
1963年1月21日生。213cm・116kg
在籍期間:17シーズン(1984〜2001年)
成績:1177試合、平均22.5点、11.1リバウンド、2.5アシスト

 ロケッツは伝統的にビッグマン中心のチームで、ヘイズにマローン、近年では中国の巨人ヤオ・ミンもいたが、No.1はオラジュワン以外にあり得ない。全盛時はパトリック・ユーイング、デイビッド・ロビンソン、シャキール・オニールらの名センターが誰も太刀打ちできなかった。母国ナイジェリアでサッカーをしていた頃に鍛えられたフットワークは、身長213cm、体重116kgの体格から想像できないほど機敏。華麗なステップを踏みマッチアップ相手のセンターを翻弄するムーブは、“アキーム・ザ・ドリーム”のニックネームから “ドリーム・シェイク”の異名がついた。
  ルーキーイヤーから13年連続で平均20点以上を記録しながらも、得点王とは無縁だったが、リバウンドは2回、ブロックでは3回リーグ1位となり、最優秀守備選手賞を2度受賞。94年はレギュラーシーズンとファイナルの両方でMVP、続く95年もファイナルMVPでロケッツ2連覇の原動力となった。

文●出野哲也

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