試合において真っ先に投手と対峙し、攻撃の口火を切る1番打者。出塁してチャンスメイクを行い、俊足でかき回すことも求められる彼らの重要性は、“核弾頭”や“切り込み隊長”といった比喩表現にも現れている。今回は、プロ野球史上最強の1番打者10人をランキング形式で紹介しよう。

●1位 福本豊(元阪急)
2401試合 2543安打 打率.291 208本塁打 884打点 1065盗塁 OPS.819

 歴代ダントツの通算1065盗塁を残した史上最速のリードオフマン。彼に対抗するためにクイックモーションが編み出されたと言えば、彼の足がどれだけ投手にプレッシャーを与えていたかが分かるはずだ。また、盗塁成功の秘訣を聞かれて「塁に出ること」と答えるほど出塁に対する意識が高く、シーズン最多四球を6度記録している。加えて通算208本塁打とパンチ力も備え、あらゆる意味で理想的な1番打者だった。

●2位 広瀬叔功(元南海)
2190試合 2157安打 打率.282 131本塁打 705打点 596盗塁 OPS.737

 福本以前の球界最速男で、通算596盗塁は歴代2位。「チームの勝利のために走る」が身上で、通算盗塁成功率82.9%は福本(78.1%)を上回り、300盗塁以上では歴代1位。昨年、山田哲人(ヤクルト)が更新するまで31連続盗塁成功の日本記録も持っていた。また、超投高打低時代だった1960年代にあって高い打率を残し、66年は89試合目まで4割を維持。最終的に.366の高打率で首位打者も獲得している。
 ●3位 真弓明信(元阪神ほか)
2051試合 1888安打 打率.285 292本塁打 886打点 200盗塁 OPS.805

 攻撃型1番の代表格で、通算292本塁打は主に1番を任された打者としては異例の多さ。クラウンライター(現西武)時代はシーズン30盗塁を記録したこともある俊足タイプだったが、79年に阪神へ移籍すると長打力が開花。チームが日本一となった85年はわずか8盗塁だった一方で、リーグ5位タイの34本塁打を放つ猛打で“史上最強の1番打者”と恐れられた。先頭打者本塁打41本は歴代2位の記録だ。

●4位 秋山翔吾(西武)
1207試合 1405安打 打率.301 116本塁打 513打点 112盗塁 OPS.829

“山賊打線”の火付け役は、今季からレッズでも1番を務める。最大の武器はそのシュアなバッティングで、2015年に放った歴代最多のシーズン216安打を含めリーグ最多安打が4回。16年以降は毎年70四球を選ぶなど選球眼にも優れている。17〜19年は3年連続20本塁打と近年はパワーも備え、2ケタ盗塁を7度記録するなど足も速かった。
 ●5位 柴田勲(元巨人)
2208試合 2018安打 打率.267 194本塁打 708打点 579盗塁 OPS.747

 通算579盗塁はセ・リーグ記録で、V9巨人の核弾頭として日本一に貢献し続けた。盗塁王6度もセ・リーグ最多で、赤い手袋をはめて颯爽と塁上を駆け回る姿は人気が高かった。打率3割は1度もないが、これには投高打低時代の影響が大きく、打率ベスト10には3度名を連ねている。なお余談だが、3番・長嶋茂雄、5番・王貞治の“ON砲”に挟まれて1試合だけ4番を打ったことがある。

●6位 与那嶺要(元巨人ほか)
1219試合 1337安打 打率.311 82本塁打 482打点 163盗塁 OPS.831

 8度のリーグ優勝、4度の日本一に輝いた50年代巨人のリードオフマン。ハワイ出身の日系人で、首位打者3度の打撃もさることながら、アメフトで培った俊足や、本場仕込みのスライディングやセーフティーバントで“走塁革命”を起こし、日本球界に多大な貢献を成した。通算ホームスチール11回は歴代最多。

●7位 大石大二郎(元近鉄)
1892試合 1824安打 打率.274 148本塁打 654打点 415盗塁 OPS.749

83年に60盗塁を記録し、それまで13年連続で盗塁王を獲得していた福本からキングの座をもぎ取った。その年も含めて盗塁王を計4度獲得し、93年には史上最年長タイの34歳で戴冠。身長166センチと小柄ながら近鉄の選手らしくパワーも備え、84年には29本塁打&46盗塁とあわや30−30にあと一歩まで迫った。
 ●8位 高橋慶彦(元広島ほか)
1722試合 1826安打 打率.280 163本塁打 604打点 477盗塁 OPS.749

俊足巧打の赤ヘル打線のトップバッター。コンスタントに3割を残せる安定した打撃で、79年に日本記録の33試合連続安打を放っている。83〜86年には4年連続20本塁打とパンチ力もあった。通算477盗塁は歴代5位で、盗塁王も3度獲得しているが、通算206盗塁死は歴代2位と失敗も多かった。

●9位 イチロー(元オリックスほか)
951試合 1278安打 打率.353 118本塁打 529打点 199盗塁 OPS.943 ※NPB通算成績

 94年に彗星のごとく現れ、1番を務めて当時歴代最多のシーズン210安打を放った安打製造機。「四球をあまり選ばない」と言われるが、安打での出塁が多いため最高出塁率は5度獲得している。言わずと知れた俊足でまさに理想の1番だが、オリックスで1番を務めたのはわずか2年半ほどだった。

●10位 松永浩美(元阪急ほか)
1816試合 1904安打 打率.293 203本塁打 855打点 239盗塁 OPS.837

 1番での出場試合が576試合とやや少ないが、シーズン20本塁打&20盗塁を3度記録するなど打てて走れるリードオフマンとして活躍。だが、最大の強みは出塁能力。出塁率4割以上を4度記録し、常に打率より1割近い出塁率を維持していた。89年には96四球、出塁率.431で最高出塁率のタイトルも獲得した。

文●筒居一孝(SLUGGER編集部)

【PHOTO】ファンの心を鷲掴み!イケメンプロ野球選手を厳選!