1946年の創設から74年。その長い歴史の中でNBAは何人ものスーパースターを輩出し、ファンを楽しませてきた。では、各チームの「歴代ベスト5」を選出したら、一体どんな選手が並ぶのか。『THE DIGEST』では、NBAに精通する識者に依頼し、全30チームのベストメンバーを選んでもらった。今回は1977年にプレーオフ初出場初優勝を成し遂げ、1983〜2003年には歴代3位となる21シーズン連続のプレーオフ進出を果たすなど、長くウエスタン・カンファレンスの強豪として君臨してきた「ポートランド・トレイルブレザーズ」編をお届けしよう。
 【ポイントガード】
デイミアン・リラード
1990年7月15日生。188cm・88kg
在籍期間:8シーズン(2012〜)
成績:607試合、平均24.0点、4.2リバウンド、6.5アシスト

 現時点では、ブレイザーズ史上最高の選手はクライド・ドレクスラーだろう。だが、数年後にはリラードが取って代わるかもしれない。

 ルーキーシーズンに平均19.0点をマークし、満票で新人王を獲得。2年目から7シーズン連続で平均20点以上稼ぎ出している得点能力が素晴らしいのは言うまでもなく、なにしろ1試合最多得点の球団記録ベスト3はリラードが独占(1位:61得点、2位:60得点、3位:59得点)しているくらいだ。

 しかし“デイム”の一番の魅力は、並外れた勝負強さにある。プレーオフのシリーズ突破を決めるブザービーターを2度以上決めたことがあるのは、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)とリラードの2人だけ(2014年と2019年の1回戦)。「どんな場面だって緊張なんてしない。勝つときは勝つし、負けるときは負けるんだ」と言う冷静さと達観がその源泉になっていて、2018年には選手たちの投票により、現役最高のクラッチプレーヤーに選ばれた。また、古典的なポイントガードではないものの、通算アシスト数もテリー・ポーター、ドレクスラーに次ぎ球団史上3位にランクされている。
 【シューティングガード】
クライド・ドレクスラー
1962年6月22日生。201cm・101kg
在籍期間:11シーズン半(1983〜95年)
成績:867試合、平均20.8点、6.2リバウンド、5.7アシスト

 球団創設期のスターだったジョフ・ペトリー、ポートランドのファンに強烈な印象を残したビリー・レイ・ベイツ、そして2000年代後半にエースとして活躍したブランドン・ロイ。ブレイザーズには優れたシューティングガードが何人もいたが、みな短命に終わっている。

 しかしドレクスラーは違う。11シーズン半の在籍で8度オールスターに出場したほか、初代ドリームチーム入りも果たし、通算1万8040点をはじめとして数多くの球団記録も保持。1983年のドラフト指名は14位と、当初の評価はそれほど高くなかったが、1986−87シーズンからは6年連続で平均20点以上を稼ぎ出している。

 名前をもじってつけられた“グライド”のニックネーム通り、空中を滑空するように叩き込むダンクは実に華麗だった。1990、92年のファイナル進出時もエースとして活躍したが、いずれも敗れアイザイア・トーマス(デトロイト・ピストンズ)とジョーダンの引き立て役に。ブレイザーズではリーグ制覇を経験できなかったものの、1995年に故郷ヒューストンに戻り、ロケッツの一員として優勝を味わっている。
 【スモールフォワード】
ラシード・ウォーレス
1974年9月17日生。208cm・102kg
在籍期間:7シーズン半(1996〜2004年)
成績:544試合、平均16.8点、7.0リバウンド、2.0アシスト

 1990、92年のファイナル進出時にも、ジェローム・カーシーやクリフ・ロビンソンといった優秀なスモールフォワードがいたが、オールタイムの5人に選ぶには少し物足りない。また“ジェイルブレイザーズ”のメンバーも1人は入れたいと考え、本来はパワーフォワードのウォーレスをこのポジションに回した。

 異常にキレやすい性格で、テクニカルファウルを食らうこと317回。これはカール・マローン(元ユタ・ジャズほか)、チャールズ・バークレー(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)に次ぐ歴代3位の個数で、1位でないのが意外なくらいだろう。ただ退場26回は3人のなかで群を抜いて多く、また2000−01シーズンだけでテクニカルファウル41回と“内容”は実に濃い。アルビダス・サボニスの顔にタオルを投げつけた事件もあった。

 当たり前だがそればかりの選手ではなく、イン&アウトの両方で得点でき、ド派手なアリウープでローズ・ガーデンの観客を沸かせたこともしばしば。イメージとは違いプレースタイルは自己中心的ではなく、長い腕を生かしたブロックを得意とし、どんなビッグマンでも1対1で守れるほどの有能なディフェンダーでもあった。
 【パワーフォワード】
ラマーカス・オルドリッジ
1985年7月19日生。211cm・113kg
在籍期間:9シーズン(2006〜15年)
成績:648試合、平均19.4点、8.4リバウンド、1.9アシスト

 一番濃厚なキャリアを送ったパワーフォワードは、ビル・ウォルトンの用心棒的存在のモーリス・ルーカスだが、在籍期間が3年半では短すぎる。そこで9シーズンにわたり安定した成績を残したオルドリッジを選んだ。

 入団当初は同期のロイが華々しい活躍を披露し、その陰に隠れがちだったが、徐々に存在感を高めて2011−12シーズンからは4年連続でオールスターに選出。サンアントニオ・スパーズ移籍後も含め、ここまで7回の球宴出場を果たしている。高い打点から放たれる独特のジャンプショットを武器に、ブレイザーズ在籍時のラスト2年は平均20点&10リバウンド超えをマークした。

 しかしながら自身がエースを務めた時期は、チーム成績は今ひとつ。リラードが入団してからは、再び2番手的存在に回った。スパーズでの立場もカワイ・レナードのナンバー2だったし、2006年のドラフトでブルズに指名された時も2位。ただし何もかもが2番目ではなく、通算リバウンド5434本はブレイザーズ史上1位である。
 【センター】
ビル・ウォルトン
1952年11月5日生。211cm・95kg
在籍期間:4シーズン(1974〜78年)
成績:209試合、平均17.1点、13.5リバウンド、4.4アシスト

 ウォルトンがブレイザーズでプレーしたのはたった4年、しかも出場試合数は209で、フルシーズンに換算すれば2年半程度。それでも1977年、ポートランドに唯一の優勝をもたらしたこの男は絶対に外せない。

「ウィルト・チェンバレン(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)のオフェンス力とビル・ラッセル(元ボストン・セルティックス)のディフェンス力を兼ね備えた選手」と呼ばれ、UCLA時代からスーパースター街道を邁進。1974年のドラフトでは当然のように1位指名を受けたが、故障がちで最初の2シーズンは計78試合に欠場した。

 だが1976−77シーズンは平均14.4リバウンド、3.2ブロックで両部門のスタッツリーダーに輝くと、プレーオフではますます手がつけられなくなる。シクサーズとのファイナルでは平均18.5点、19.0リバウンド、3.7ブロックに加え、5.2アシストもチーム最多。ファイナルMVPに輝いたのも当然のハイパフォーマンスだった。

 翌1977−78シーズンには球団史上唯一のシーズンMVPにも選ばれたが、ケガでプレーオフには2試合しか出場できず。翌年も全休したのち、1979年にポートランドを去った。

文●出野哲也

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