昨季は60勝22敗(勝率73.2%)、そして今季も56勝17敗(勝率76.7%)で2年連続のリーグ最高成績をマークしたミルウォーキー・バックス。しかし、1年で最も大事なプレーオフの舞台で、天敵マイアミ・ヒートの前に不名誉な形でNBA史に名を刻んでしまうかもしれない。

 9月4日(日本時間5日、日付は以下同)に行なわれたヒートとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第3戦。ここまで対戦成績は0勝2敗、3連敗だけは避けたいバックスは、第3クォーター終了時点で12点のリードを奪っていた。

 ところが、第4クォーターに入るとヒートが繰り出すアグレッシブなディフェンスの前に徐々に失速。特に残り4分40秒を切ってからは1点しかあげられず、最後の12分間のスコアは13−40と大差をつけられ、100−115で大逆転負けを喫してしまった。
 『AP』によると、今季バックスが残した勝率は歴代37位。彼らを上回る36チームのなかには、プレーオフ1回戦で敗退した例もいくつかあったものの、“4連敗の”スウィープでシーズンを終えたチームはこれまでいなかったという。

 リーグベストの戦績を残したチームがプレーオフでスウィープ負けを喫した前例は、なんと1948−49シーズンのロチェスター・ロイヤルズ(現サクラメント・キングス)まで遡る。ロイヤルズはそのシーズンに45勝15敗(勝率75.0%)の成績をマークするも、ディビジョン・ファイナルでミネアポリス(現ロサンゼルス)・レイカーズの前に敗北を喫した。

 とはいえ、当時は7戦シリーズではなかった上(0勝2敗で敗退)、リーグの名称もNBAではなくBAA(バスケットボール・アソシエーション・オブ・アメリカ/NBAの前身)。もしバックスが6日に行なわれる第4戦でヒートに敗れてしまえば、NBAでは初となる不名誉な記録を樹立してしまうことになる。

 第3戦終了後、シリーズトップの平均27.7点をマークするヒートのエース、ジミー・バトラーが「俺たちの仕事はまだ終わっちゃいない」とコメント。対するバックスの大黒柱ヤニス・アデトクンボは「俺たちならできる。きっとできる」と語ったものの、どちらのチームが優位かは火を見るより明らかだ。
 「NBAの歴史のなかで、バブル(リーグによって隔離された開催地)でプレーするのは初めてのこと。それなら、0勝3敗からカムバックする初のチームが現われるかもしれないじゃないか。俺たちは互いを信頼しなきゃいけないし、信じ続けなければならない。俺たちのシーズンは終わったわけじゃない」

 ベテランのジョージ・ヒルはそう話すも、プレーオフが4戦先勝のシリーズとなって以降、0勝3敗から4連勝したチームは皆無。バックスが絶対的に不利な状況にあるのは間違いない。

 第3戦で右足首を捻挫したアデトクンボについて、球団は第4戦の出場が“questionable(疑わしい)”と公式発表していたものの、試合終了後に本人が「俺を悩ませることは一切なかった」と話していることから、チームの窮地を救うべく、第4戦でもコートに立つことだろう。
  だがこのシリーズのアデトクンボは平均22.7点、13.3リバウンド、7.0アシスト、1.3ブロックという好スタッツを残しているとはいえ、フィールドゴール(FG)成功率45.1%(23/51)、フリースロー成功率54.1%(20/37)とショットが不調で、思うようにプレーできていない。3試合を終えた時点の出場時間帯における得失点差は、なんとチームワーストの−34だ。

 クリス・ミドルトンが平均23.0点、5.0リバウンド、6.7アシスト、ブルック・ロペスも平均20.7点、1.7ブロックと気を吐いているものの、ヒートはジェイ・クラウダーやバム・アデバヨ、アンドレ・イグダーラ、バトラーという屈強なディフェンダーをアデトクンボにマッチアップさせ、ペイントエリアに入ればすぐさま周囲を囲む守備戦術でスローダウンさせることに成功している。第4戦ではミドルトン、あるいはシリーズ平均12.0点、FG成功率34.8%と不振のエリック・ブレッドソーがヒートの守備網をかき回し、アデトクンボ以外の選手でもっとプレーメークしていかなければ、白星を掴むのは難しいと言わざるを得ない。

 はたして、バックスはここから奇跡を起こせるのか。もしこのままスウィープ負けとなれば、アデトクンボの今後の去就にも大きな影響を及ぼしかねないだけに、第4戦はバックスというフランチャイズにとって正念場の一戦となるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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— Miami HEAT (@MiamiHEAT) September 5, 2020