2010年以来、フランチャイズ史上17度目のNBA制覇に王手をかけたロサンゼルス・レイカーズは、10月9日(日本時間10日、日付は以下同)に行なわれるファイナル第5戦で決着をつけるべく、プレーオフで4戦無敗の“ブラックマンバ”ジャージーで臨む。

 昨季レイカーズに入団し、2年でNBAファイナルまでたどり着いたレブロン・ジェームズは、8日に行なわれた会見で「俺がレイカーになって学んだことのひとつは、このチームの忠実なファンの皆は過去を気にしたりはしないということだ」と口にした。

「レイカーになるまで、彼らはそれまでの経歴を気にかけることはないんだ。レイカーとして優勝することができれば、そこで彼らはリスペクトしてくれる。俺はそのことを学んだのさ」とレブロンは言う。

 マイアミ・ヒートに3勝1敗と王手をかけたレイカーズにとって頼もしいデータがある。『Elias Sports Bureau』によると、レブロンはファイナルで王手をかけた試合でこれまで3戦無敗。また、プレーオフのクローズアウトゲーム(シリーズ突破を決める試合)では38勝10敗、歴代トップの勝率79.2%を記録している(※25試合以上出場が条件)。
  一方で、今季レイカーズはウエスタン・カンファレンストップの52勝19敗(勝率73.2%)を記録しながら、レブロンはMVP、アンソニー・デイビスは最優秀守備選手賞の記者投票でいずれも2位に終わっている。8日に発表された最優秀エグゼクティブ賞でも、ロサンゼルス・クリッパーズのローレンス・フランクが選出され、ロブ・ペリンカ(バスケットボール運営部門代表兼ゼネラルマネージャー)は7位に終わったため、個人賞を獲得することはなかった。

 だがデイビスは「俺たちがあと1勝すれば、アウォードなんて誰も気にしないさ。俺たち全員がチャンピオンになるんだから」と語り、自身初の栄冠に向けてモチベーションを高めていた。

 ここまでのファイナルで、レブロンはシリーズトップの平均27.8点、11.0リバウンド、8.5アシスト、一方のデイビスが25.8点、9.3リバウンド、3.3アシスト、1.75ブロックをマーク。レイカーズが勝った場合、ファイナルMVPの投票は両選手の間で割れることが予想される。
  もっとも、3度の優勝経験に加え、数々の記録を保持するレブロンにとって、個人賞はさして重要ではないようだ。「俺はそのことについて考えすぎることはないんだ。自分のレガシーについても、人生の中で特に考えていない。俺にとってはフロアでやっていることよりも、フロア外でやることの方が大きな意味を持つんだ」とレブロン。

 ビジネスマンとしてもNBAの最前線を走るレブロンは、2018年7月に故郷であるオハイオ州アクロンに“I Promise School”という学校を設立し、経済面や学力面で苦しんでいる大勢の子どもたちやその家族をサポートしている。

「バスケットボールはいずれ俺のことを通り抜けていく。そこには若い選手やベテランたちが新たなグループを形成していくだろう。フロアにいる限り、俺はそのことについて心配はしていない。それよりも、自分がどのように活動してきたか、どうやって歩んできたか、どんなことを話してきたか、そして次の世代へどれだけ影響を与えてきたか。俺にとってはそれこそが最も重要なことなんだ」
  キャリア17年目の35歳ながら、依然としてリーグトップレベルのパフォーマンスを披露し続けるレブロンは、このまま引退したとしても最短でバスケットボール殿堂入りを果たすに違いない。

 だがバスケットボール界のキングは“Strive For Greatness”(偉大さへの探求)、“More Than An Athlete”(アスリート以上の存在)を掲げており、コート内外で唯一無二の存在となるべく、今後もプレーを続けていく。

 今年のファイナルでレイカーズを優勝へと導いたとしても、この男がゴールに到達することはない。ただ、異なる3チームで頂点に立ち、ファイナルMVPも手にすることになれば、レブロンへの歴史的評価はさらに高まることは確実だ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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