10月10日(日本時間11日、日付は以下同)、トロント・ラプターズのニック・ナースHC(ヘッドコーチ)が『ESPN』の取材に応じた。

 連覇を懸けて今季に臨んだ前年王者ラプターズは、プレーオフ・イースタン・カンファレンス準決勝でボストン・セルティックスと激突し、第7戦の末に惜敗。ナースHC自身は最優秀コーチ賞に輝き、その後複数年に及ぶ延長契約を手にしたものの、ファイナル進出を逃したことで「我々はあそこで複数の試合に勝利できていたかもしれない。私はこのチームがファイナルにいるべきだったと感じるね。本当に、残念だったとしか言えない」と悔やんだ。

 そして「我々はおそらく、(マルク)ガソルと(パスカル)シアカムの本来のプレーを引き出すことができていなかった」と発言した。
  ガソルはプレーオフ全11試合に先発センターとして出場するも、平均20.7分のプレータイムで6.0点、4.4リバウンド、2.6アシストと低調なパフォーマンス。FG(フィールドゴール)成功率39.1%、3ポイント成功率18.5%とシュートタッチにも苦しんだ。

 昨プレーオフの数字(平均30.6分、9.4点、6.4リバウンド、3.0アシスト、1.1ブロック、FG成功率42.2%、3ポイント成功率38.2%)と比べてもわかるように、今年はプレーに精彩を欠いていたことは否めない。

 指揮官はガソル不調の要因に、家族が側にいなかったことを挙げた。

「彼にとっては辛いものとなった。彼は家族が近くにいることで、もっと多くの仕事をすることができるんだ。でも(第二幕では)快適にプレーできなかった。彼の家族は遠く離れた場所(スペイン)にいたからね」

 一方のシアカムは、約4か月間に及んだシーズン中断期間がリズムを狂わせたようだ。シーズン中断前こそリーグ15位の平均23.6点に加え、7.5リバウンド、3.6アシスト、1.0スティール、FG成功率45.9%、3ポイント成功率35.9%をマーク。しかしシーディングゲーム(順位決定戦)では平均16.9点、5.7リバウンド、2.3アシストに成績がダウンしていた。
  プレーオフでも不調は続き、平均17.0点、7.5リバウンド、3.8アシスト、1.1スティール、FG成功率39.6%、3ポイント成功率18.9%と完全に不発。敗退後に「間違いない。僕は上手くならないと。この瞬間、ここで得た経験、チームメイトたちを助けることができなかったこと、そこから学ばなければいけない。僕には多くの責任がある」と来季に向けて奮起を誓っていた。

 ナースHCは「彼は本来の状態ではなかった。活気を失っていたと私は見ている。アスレティックでもなかったし、強靭さも、速さもそう。3月は万全のコンディションだったけど、3、4か月の中断期間で失われてしまった。(第二幕で)それらを取り戻すことができなかったんだ」と評した。

 とはいえ、約4か月間に及んだシーズン中断は、第二幕でプレーした選手たち全員が経験したこと。「(ロサンゼルス)レイカーズと(マイアミ)ヒートも中断期間はあったが、彼らはそこで失速することはなかった。だからこそ、ファイナルでプレーしているんだ」とナースHCは語る。
  新型コロナウイルスのパンデミックによって前代未聞のシーズン中断となったNBA。フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内に設けられたバブルという開催地で、約100日間にも及んだ第二幕は、10月11日にレイカーズがヒートを4勝2敗で下し、ファイナルを制したことで幕を下ろした。

 現時点で来季の開幕時期は決まっておらず、早くても来年1月とアダム・シルバー・コミッショナーが話していることから、これから来季に向けて議論を重ねて調整していくことだろう。

 はたして、昨季王者のラプターズは覇権を奪回することができるのか。今季終了後にガソル、サージ・イバカ、フレッド・ヴァンブリートが完全FA(フリーエージェント)となるため、彼らの処遇によっては戦力ダウンが避けられない。競争力を保つための最大のポイントは、シアカムのさらなる成長にかかっていると言っていいだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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